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富士チャレでの落車について

先日の富士チャレの100km午後の部で、富士スピードウェイを22周するレースのラスト1周で落車しました。
その原因について色々考えて調べた結果、なぜ落車したか・今後防げるのか、について確信を得られたのでここに記し多くの人にシェアされればと思っております。

当該レースのスタートは13:30頃で天候は曇り。予報では降水確率60%程度だったがレース序盤から雨が降り出して、路面はフルウェット、雨に濡れた身体が冷えるという状況。

気温がすごく低くなるというわけではなかったので防寒着を十分に用意していなかったのは失敗。天気予報以外に雨雲レーダーチェックすればすぐに本降りになるのはわかったはず。
ウェアが濡れて風に当たり身体は冷えてガクガク震えながら走っていた。もちろん意識はしっかりしているし、登りでダンシングして身体を温めると震えは治まる。レースなので最小限の装備で走りたいという気持ちがあるが、冷えによるパフォーマンス低下の可能性を考慮してウェアの判断をすべきだった。

タイヤは28cのクリンチャーで空気圧は5.6bar/5.8barほど極端に高いわけではないが、昼のドライのレースをこれで走っていたので、降水確率見て少し低くしておいた方が良かった。

という反省点はあったけど、決定的なミスは走ったライン(コース取り)であった。

コースの富士スピードウェイは、本来は自動車・オートバイのレーシングコース。ドライだと最速ライン(レコードライン)というのがあり、皆そこを通る。F1がレース中にタイヤを交換するように、レーシングカーのタイヤは溶けながらグリップして走っている。なのでストレートでスピードが乗った直後のコーナーでは削られたタイヤカスが路面に残る。そして逆に路面はタイヤに削られてμ(摩擦係数)が小さくもなっているらしい。
ドライであれば問題ないんだが、雨が降るとタイヤのゴム由来の油が染み出してきて非常に滑る。降雨から1−2時間が一番ヤバいらしく、レコードラインの特定箇所だけ油が浮いて非常に滑りやすくなるスポットになる。半日とか雨がずっと降り続くと全部流れてしまうので、また大丈夫になるらしい。

そしてFSWに関して、その特に危険なスポットが1コーナー(長いホームストレート後の右コーナー)のイン側と、2コーナー(1コーナー曲がって直線下った後の左コーナー)の真ん中らしい。

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(コース図は富士スピードウェイ公式サイトより)

まさに私がすっこけたのが1コーナーの一番イン側。他の参加者もいるのでそれまでは外ー真ん中ー外というラインで走っていたが、最終周だけアウトーインーアウトのラインを取ったのをはっきり覚えている。そして、偶然後ろを走っていた方のカメラに写っていたのだが、コーナーのイン側で前輪が滑って転けている。
決してペースアップがあったとかでそれまでの周回よりも速いスピードで突っ込んだわけではない。むしろ同じような速度で大きく回っているのでバイク・タイヤの倒し方としては小さかったはず。なのに突如前輪が滑った。

上記を聞いた後、なるほどと納得できることが二つあった。
一つは同じレース中盤で前を走っていた、このレースで優勝することになる、井上亮選手が2コーナーの真ん中あたりで後輪を少し滑らせていた点。非常にウェットなので気を遣ってバイクを倒さずに極端に身体をインに入れてリーンインで曲がっていたのだが、↑ご覧の通り非常に直線に近い緩いコーナーでニュルッという怪しい挙動があったので「今後輪滑ったよね?」ってレース中に話していた。それがまさにまこっちが言っていた2コーナーの真ん中あたりだった。

もう一つは以前富士チャレでゲストライダーとして走っていたトッププロ選手が先頭でストレートを牽いてその先のコーナーで1人ゴケしたと聞いていた事。その選手がお世辞にもコーナー上手い選手じゃなかったから特になんとも思ってなかったけど、よく聞いたらそれも雨の1コーナーでイン側で滑ったらしい。
そりゃいくらコーナー下手と言ってもプロ選手がFSWのカーブでコケるとはどういうこと?と思っていたけど、自分が経験してわかった。

このコースで雨が降ってフルウェットになると走っちゃいけないラインがあって、そこ通ると異常にスリップしやすい。

カーレーサーの間では雨ラインというのがあって、通常のレコードラインとは別の走行ラインになるらしい。

そういう情報を知っていれば防げたかもしれない。今回の落車を教訓として活かせばもう同じ事を繰り返すことはないだろう。
また他のコースでも雨が予想されるなら経験者に話を聞いたら、非常に滑りやすい路面とかの情報を得られるかもしれない。SNSでそういう情報が拡散されれば、落車の減少にもつながるだろう。

今回自分が落車したことにより多くの人に迷惑をかけてしまった事は大変申し訳なく思い、反省している。
せめてこの経験が今後に活きて、またこの情報が多くの人にシェアされてこのような落車が減る一助になればと願っている。

Roppongi Express 高岡亮寛

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