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計画はすべてが無に帰った。

ありもしない未来はなるべくして現実になった。

今日も今日がある。

今があって今を生きる。

それだけのことだ。

なにも難しいことはない。

正義も理想も矛盾もない。

ただ今ここにいる。

心はひどく静かでただ体が呼吸を続けている。

周りが不思議とすっきりして見える。

にぎやかな音は消え、色とりどりの塵芥が吹き飛ばされていく。

後に残ったのは微かにキラキラと、しかし同時に訴えかけるように力強く光を放つなにかだけだった。

そのいくつかの光を放つなにかは互いに響きあい、それぞれの不完全さの隙間で無数の像が万華鏡のようにきらめいている。

現実から解放されようとして現実へ解放された。

今、ここ、自分が生きていることにすべてがある。

人は根を持つとき限りない空へと向かう翼を手に入れる。

すべてを捨てたとき、すべては満たされる。

限りなく純粋で危険な自我の追求の先にある無我。無我の中に表れる世界。

世界は狂っている。世界は美しい。


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