30年ぶりに釣りをしてみようと思う (13)

2020/07/08 0AM-3AM 満潮〜下げ6分
またピア35。ひとつ新しい視野が開ける発見があって、それは水には深さがあって、それは海底から見たら高さがあるということだ。どうだろう、伝わる気がまったくしない笑。めげずに続けるが、このピア35は満潮時で足場から1.5mくらい下方に水面があって、そして水深は足下でおよそ7、8m、桟橋から40mほど離れると水深10mくらいになる。それは測ればすぐわかるんだけど、底まで沈めて釣りをしていても、なんとなくのイメージしか持てずにいた。

別の言い方をすると、水を覗き込んでも別に怖くないということだ。1.5m下に水面があるだけで、なんなら飛び込みましょかって感じ。でもこの認知では、海中の様子をうまく3Dでマッピングできない。自分、竿、糸、ルアー、海底、というエレメントを空間にマッピングするためには、水を抜いた状態で高さをイメージしないとダメなのだとわかった。この海の水をすっかり干上がらせてみれば、足下を覗き込むと底は9m下だ。マンションの3階で手すりのないバルコニーから真下を覗き見ている感じになる。これはけっこう怖い。

そこからなだらかに下り斜面が続いて、40m先まで3mくらい下っていく。その場所からいま立っている自分を見上げると、つまり40m離れた坂の上に建つビルの3階から手を振っている人に手を振り返す感じになる。これが投げた先のボトムで動かしているワームからのヴューということ。こうして海の水を抜いたときの感覚でフィールドを捉えるようになって、ようやくルアーと自分との位置関係がはっきり空間のなかにプロットできるようになった。

なんでこれに気づいたかというと、ピア35の脇にはFDRドライブという高速道路が高架で通っていて、高さが15メートルくらいなんだけど、その高架をぼんやり眺めていたとき、あそこから陸上を見下ろしたらけっこう怖そうだなって思ったのだった。それで、あっ、高架から陸上を見下ろすのも怖いけど、この陸上から海底を見下ろすのも(水がすっかり抜けてたら)怖いじゃん、って思って、そしたらぶわっと釣り場の空間がグリッドの入った3Dで見渡せるようになった。ところで何も釣れませんでした。

2020/07/09 4PM-8PM 下げ6分〜干潮〜上げ2分
気分を変えたいのと、あと最近電動キックスクーターを手に入れたので、それに乗って旅に出ることにする。と言っても以前下見に行ったバッテリーパークからハドソンリバー側に回り込んでみるだけなんだけど、見るだけと実際に釣りができるのでは気分も大違いだ。ただ行動規制が緩みまくっている影響もあって、どこも人出が多すぎて、いい感じがしてもロッドを振るスペースが確保できない場所が多かった。

ただ気になっていたピア34は人が少なくて、かつ白人の釣り人がひとりだけいて、いろいろ話せたのは有意義だった。根がかりが多いのに嫌気が差してブッコミ釣りをやめたんだ、と彼は言っていて、日本語でいう飛ばしウキを使った仕掛けでエサ釣りをしていた。本気で釣りたいならバッテリーパークがいい、あそこがベストポイントなんだ。でも混んでてオマツリするのがいやだから、あんまり釣れないけどここで釣ってるんだ、と言っていた。わかる〜。何も釣れませんでした。

2020/07/12 5AM-7AM 下げ2分〜下げ6分
下げ4分くらいからしばらく、潮の流れの緩む時間帯があって、そこなら巻きの釣りでも割と釣りになりそう、という発見があった。たとえば電車をイメージすると、静止からゆっくり動き出し、スピードが乗ってきて最高速度に到達したのち、ブレーキをかけてふたたび静止、という山なりのスピード曲線が描けるけれど、潮流はそんな簡単ではないみたい。潮止まりからモゾーっと動き出したら一気に激流になって、しばらくすると流れが弱まる時間帯があって、また激流になってフッと止まる、そんな感じがしている。科学的エビデンスありません。

そして下げ4分くらいの時間、スイムベイトで中層を引いていたら、ゴンゴンッとひったくるようなバイトがあって、一瞬糸が出たんだけど乗んなかった。ただ割と速巻きだったし、中層でも割と上のほうを泳がせているときだったので、すごい興奮した。

だってさー、これまで話しかけてくる人、みんな「ストライパーは底にしかいない」「エサじゃなきゃ釣れない」「ハードルアーじゃ釣れない」「そんな速く巻いたって釣れない」「そんな遠くに投げたら釣れない。サカナは足下にしかいない」ってさー、みんな親切心なんだけど、あーだこーだ言ってくるわけですよ。そのたび笑顔で応対しながら、うっせーわ、おれはこれで釣りたいんだよ! って心の中で中指立て続けてきたわけです。

ちょっと前にバイブレーションただ巻きでチェイスを確認して、あれで巻きものでも釣れる予感はひしひしと感じていたのだけれど、それがまた一歩近づいた感じ。ちなみに隣のおっさんが2匹立て続けにストライパーを釣って、よくよく考えてみると、自分以外でストライパーを釣ってる瞬間を見るのは初めてなのだった。そしておっさん、条例で許可されたキーパーサイズ以下なのに躊躇なく持ち帰っていた。中華街の人なので英語も通じないし、何も言わなかったけれど、モニョった。何も釣れませんでした。

2020/07/12 6PM〜8:30PM 下げ5分〜下げ8分
朝のバイトに気を良くして、家庭内の不和をもかえりみず、夕方にも釣りに出てしまう。しかしノーバイトだったうえ、FGノットがすっぽ抜けておろしたてのミノーを失った。環境負荷…。ただ明るいうちに出たおかげで、初めて5cmくらいの、ベイトらしいベイトを発見できたのはよかった。こないだ釣れた20cmくらいのシャッドの稚魚だろうか、もしくはぜんぜん別の種類かもしれない。何も釣れませんでした。

2020/07/13 8PM〜11PM 下げ7分〜干潮〜上げ2分
ピア35、干潮なのにやたら釣り人が多いので旅に出ることにする。こないだ人が多くて入れなかったバッテリーパークがなぜかガラガラだったので、ようやく人々が「マンハッタンではベストポイント」と口を揃えて言うポイントで初めて釣りをした。対岸のスタテンアイランドまで遠いので海釣り感覚が強くて、フルキャストしてもぜんぜん距離が出てない感覚に包まれる。何も釣れませんでした。

2020/07/16 5:30AM〜8AM 上げ9分〜満潮〜下げ2分
バッテリーパークふたたび。完全な無が連続すると、場所もルアーチョイスも迷いばかりが増えてくる。何も釣れませんでした。

2020/07/16 6:30PM-9PM 満潮〜下げ4分
ピア35。またもや家庭に暗雲をもたらす朝晩ダブルヘッダーである。何も釣れませんでした。


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