30年ぶりに釣りをしてみようと思う (8)

2020/06/23 9pm〜2am 上げ8分〜満潮〜下げ3分
夕方、連日の太平洋水族館。完全に上客になってしまった気がする。まずはロッドだ。折れたロッドはワランティがきくので修理に出すことにして、もうなんでもいいからそれまでのつなぎになる安物がほしい。探しに探して29ドルのいちばん安いグラスロッドを買った。店の若者に「こんな安いロッドどこにあったの?」と聞かれるが、お前んとこのカオス在庫のなかだよ…。

そして昨日得た教訓に従い、小さいワームとフックちょうだいな。でも反対される。「何を釣る気なの? (他の客を指差して)ほら彼を見て。あれがストライパーの道具だよ」。見るとその客は、5インチグラブとでっかいジグヘッド、あとエサ釣り用のでっかい針を持ってる。「僕が今年ブルックリンのピアで釣ったストライパーは17パウンド。それが掛かるかもしれないのに、こんな細いフックありえない。もちろん最終的には好きなように(up to you)したらいいけど」。

結局押し切って、店にあるいちばん小さいワームフックと、小ぶりな4インチグラブを買う。あとは流されないためのブッコミ仕掛けだ。三又サルカンと2オンスのオモリを4つずつ買う。あとリーダーも細くしたい。フロロの8ポンドある?「うちにあるいちばん細いのは16! 8ポンドって何釣るの? ブラックバスにすら細い。何でわざわざ全部小さくするの?」まずは釣りたいからだよ! 16ならいま持ってる20とたいして変わらないから諦めた。

ピアに出てみると驚き。6/15に見たのと同じくらい釣り人がいっぱいいる。推測の域を出ないけど、どうやら 1)満潮いっぱいに絡む、2)夕方〜日にち跨がない時間帯で、3)悪天候じゃない、のいう3つの条件を満たしたとき、この埠頭には釣り人がズラリ並ぶようだ。なんだか人間の行動のほうがサカナの習性っぽい。

周りの人たちの仕掛けを真似して、イシダイのブッコミ仕掛けにワームが付いたやつ(日本でいう三又ヘヴィキャロの超重いやつ。英語だとシンプルに3 way rig)を作って、周りの人たちみたいに遠投せずに放り込んで、周りの人たちはそのまま待ってるけど、さすがにそれだと退屈すぎるので、ズル引きハンドル1回転→ステイ1分を繰り返す。なんだかキスの投げ釣りをしてるみたいだ。

あまりにスローな釣りなので、ぼんやり対岸の灯りを眺めながら、完全に心ここにあらずって感じで巻いてたら、モワンと竿が重くなった。根掛かりだといやだな、と思って外そうと竿をしゃくり上げたら、ブルンブルンとサカナの振動。か、掛かった〜。フッキングのためアワセを1発いれ、あとはポンピング。けっこう強いけど、多摩川の鯉に比べたらそこまででもない。

波止場の基礎部分に逃げ込まれると確実に糸が切れるので、ドラグを締めて、強引に水面まで浮かせる。上がってきたのは35はあるけど40はない、ってくらいのストライプドバス。本命だ。ルアー、小さくして正解じゃん。思わずガッツポーズが出た。ガッツポーズなんてしたこと一度もなかったけど、その時が来たら出るタイプの人間だったんだなー。やりましたん。思わず自撮りしました。

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手で持って至近距離からまじまじと見るストライパーは、思ったよりスズキに似ていない。体躯はフッコより厚みがあり、口はスズキより小さく、顔はちょっと青物に似ている。あわてて写真だけ撮ってさっさとリリース。タモがないからボッチャンリリースしかできず気が引けたけど、あっさり泳ぎ帰ったので安心した。

満潮を挟んで潮の向きが変わると、流心方向に向かって釣っていたおじさんたちがいそいそと場所を変え、下流に向けて釣るようになる。この90度の方向転換も、流れをどういなして釣っていくか、試行錯誤のなかで培われていったものだろう。私も下流に向けて釣っていたら、20cmくらいのシャッドが2匹、立て続けに釣れた。小さい針にしたせいで、対象魚のエサになる魚が釣れてしまったということ。しばらくすると誰ひとりパッタリ釣れなくなり、潮時かなと思って撤収。

家に帰ってから調べたら、どうやらヒッコリーシャッドって種類っぽい。サッパと似てるのはみかけだけじゃなくて、すぐウロコが剥がれるのも強烈なサカナ臭さもそっくりだ。思い出してみると、ストライパーが釣れたのは周りのサビキの人たちにシャッドがポコポコ釣れてる時間帯でもあった。魚種を超えて釣れる時間帯と釣れる時間帯がある、と考えていいのだろうか。もしそうなら、シャッドが釣れ始めることはストライパーチャンスの合図ってことになるだろう。

もしくはシャッドの群れにストライパーが付いて回遊してくる? でもドムが言ってたように、20cmのベイトを食ってるとなるとかなりの大物に限られてしまう。そんなのがこのピアまで回ってくるんだろうか。もし来るとして、どうやったら釣れるだろう。よくマッチザベイトって言うけど、こんな大きなルアー放っても釣れる気はまったくしない。つぎシャッドタイムになったら、ライズにミノーを投げてみようかと思う。


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