30年ぶりに釣りをしてみようと思う (14)

2020/07/18 5AM〜7:30AM 上げ7分〜満潮
マンハッタンブリッジとブルックリンブリッジの間に、なぜか流れの影響を受けづらい淀んだエリアがあって、干潮なら底が見えるくらいシャローだし、淀みのせいでゴミは浮いてるし、あと陸上の雰囲気まで淀んでいて、高架下でやたら暗く、いつも謎の水たまりがあって蚊が多く、ハドソン側と違って手すりはサビサビで、どうにも気乗りする感じではないので釣りをしたことはなかった。

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ただこないだバッテリーパークへの移動中、そこで釣りしてる人がいるのに気がついて、流れが速すぎてピアでは釣りにならない時間帯にはいいかもしれないな、と思っていたのだけれど、まさに今日ピア35に出てみたらそんな感じだったので試してみることにした。水質は悪そうだけど、驚くと水面をピチピチと飛び回る2センチないくらいのマイクロベイトが見えた。何かの稚魚だろうけど、魚種はわからない。

と、水面を覗き込んだ瞬間、バシャンと水音を立てて40cmくらいの魚が逃げた。目の前、しぶきが腕に飛んできたくらいの至近距離。え、いたの。ここに? まじで? 

おもむろにフローティングミノーを投げて巻いてみると、黒い影がふたつ、足下までチェイスして、パッと散っていった。食わせられなかったけど、これは大変なことになった。なんというかあれだ、釣れてしまうのでは? ただもう次のキャスト以降チェイスがなくなってしまったので、数投したのち、新規投入のシンペンをおろしてポワ〜と引いてくると、ふたたび足下までチェイス。でも食わず。まじか。

シンペンチェイスも1投目だけ。けっこう投げてしまったので、場を休ませようか、どうしようか。次に波動の強いバイブレーションはないよなーと考えていると、そうだった、手応えがないことで自分内ではおなじみ、GOTUREのジグヘッドワームがあった(DUOビーチウォーカーハウルの丸パクリ)。陽が高くなってきたのでナチュラルカラーと思ってクリアブルーのボディを付けて、キャスト。

1投目は何事もなく、フックの位置を直して2投目、着水してすぐにコツン、えっ、って思いながら表層をキープしたくてロッドを立てて巻いてくると、ゴーンっと持っていかれた。40cmに足りないくらいだけど、けっこう引く。魚が潜ろうとするたび、バツ、バツンと糸が張る。ドラグを締め直して、せーの。引っこ抜いた。ハッハー。釣ったった。釣ったったわ。とうとう。

寄せている最中何を思っていたかというと、まあこれぞ霊性の低さと申しますか、畜生の浅ましさ、「フィッシュグリップようやく使える!」ということでした。いまどきの釣り人は魚体に与えるダメージを最小限にするためにフィッシュグリップって道具を使うんだけど、最初の1匹を釣った日、盛り上がってamazonで注文したはいいけど、そのあと3週間、1度も出番がなくて、ちょっと持ってることが精神的にしんどくなりつつあったのだった。

近くでブルックリンブリッジを撮影していたカメラマンの子が近寄ってきて、写真を撮ってくれた。彼も釣り人で、「すげえじゃん、この辺はブッコミのエサ釣りの人しかいないでしょ? ジグヘッドワーム巻いてて釣れるのかなーと思って見てたけど、やったね!」と、おれが言ってほしいことを全部言ってくれた。

前回にも書いたけど、ほんとみんなおれの釣りを見ては、「ルアーじゃ釣れないよ、エサじゃないと」「ミノーじゃ釣れないよ、やるならソフトルアーにしな」「そんなグリグリ巻いてたら魚は食い付けないよ、ゆっくり巻いてたまに誘いを入れるんだ」「表層じゃ釣れないよ、底に沈めなきゃ魚はいない」「そんなブン投げたって何もいない。魚は足下にいるんだ」「明るいうちは釣れない。夜行性なんだ」とか親切心からアドバイスをしてくれるんだけど、全部シカトしてきた。

だってビーチやリバーでめっちゃミノーを追ってるストライプドバスはyoutubeで見れるし、実際メタルバイブにヒットしてバラしてるし、バイブレーションにチェイスしてきたし、表層に浮いてる魚影も見たし、早巻きでバイトしたこともあった。底に沈んでるときは底の釣りをすればいいし、浮いてるときは表層の釣りをすればいいし、足下にいるときは足下を釣ればいいし、沖にいるときは沖に投げればいいはず。という自分の考え(というか普通のメソッド)を信じてきた。なので、うれしいです。ほんとに。

ただあとには続かず、もう1匹魚影を見ていたので、なんとか釣りたくてルアーローテしながら粘ったんだけど、この1匹で打ち止めとなった。帰宅して扉を開けるなり「ふはははははは、ふははははは」とこんな(↓)感じで言っていたら、奥さんからマイナス100度の殺意ビームを浴びました。どっとはらい。



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