令和5年公認会計士試験合格体験記【論文編・開示答案あり】


論文編です。
ワイの体験記などなんの再現性もなく、参考にもならないだろうとは思いつつ、ネット上に転がっている過去の受験生の体験記を調べて参考にしていた通信生だったので、これも誰かにとってのそれになればいいと思いつつ書いてみました。
先に答案と成績をのせて、そのあとで勉強法その他もろもろな構成にしてみます。




答案・成績開示


TAC論文全国模試①→未受験
TAC論文全国模試②→51.5 C
直前答練→だいたい48~49

会計学(午前)

①素点33.5 偏差値52.00
②素点14.0 偏差値62.00
Σ57.0

1-1で平均、1-2で微勝ちできたかなってイメージ
こんなスカスカ答案で偏差値62…2-2の問1-設問3正答できたのがでかい気がする


会計学(午後)

③素点42.0 偏差値57.00
④素点41.5 偏差値63.29
⑤素点23.0 偏差値41.79
Σ53.88

3-1大の苦手なキャッシュフローで8/10は耐えた…
3-2リース4/9取れてはいるけど、だいぶ時間を投入してしまってもったいなかったな~
理論苦手マンなので、大問4で素点41は模試・答練でも取ったことない
リースで時間を使いすぎて力尽きた…計算3/18しか取れてないんじゃ偏差値41も納得


企業法

①素点23.5 偏差値57.50
②素点25.5 偏差値62.10
Σ59.80

模試・答練でも常に偏差値50前後の耐え科目だったのが謎に伸びた


監査論

①素点19.0 偏差値52.40
②素点15.5 偏差値44.70
Σ48.55


租税法

①素点13.0 偏差値52.88
②素点30.0 偏差値56.67
Σ55.15

いつも理論は答練でも24~32ぐらいだったのに過去最低点…
法令基準集の該当ページ周辺がごっそり落丁してたのいまだに許せん
概ね想定通り


経営学

①素点27.0 偏差値50.00
②素点36.0 偏差値61.20
Σ55.60

当日もあんまりできた気がしなかったけど、手応え通り。
計算に助けられるワイ氏


得点戦略

理論で耐えて計算で逃げる作戦は短答と変わらず。
監査論は偏差値50でも十分、企業法は最悪足切りさえ回避できればいいと思っていたぐらいには期待していなかったし、それなりの勉強しかしていませんでした。

個人的には、短答はボーダーが高くて理論でも失点できないのに対して、論文ではそもそもの合格素点が約4割程度だから、理論で多少厚めに失点しても計算でカバーできる分、ワイの戦法とは相性が良かったと思います。

概ね結果的に、理論でそんなに大きくこけず、計算でしっかり逃げたような得点の仕方になっていたのでイメージ通りでした。

本試験では例えば同じ素点20でも、簡単な問題の時には偏差値が低く出ますし、問題が難化した時には偏差値が高く出ます。
簡単な問題の時に空欄を作ることは致命傷となります
し、難しい問題の時に空欄を恐れて時間を投入しすぎることも同様に致命傷となります

従って最終的には、試験中に「この問題は時間をかけてでも解くべき!」「これだけやってきた自分が解けないってことは埋没!」と勇気をもって決断をする必要があります。
この取捨選択能力を高めるために答練や模試を活用する事と、自信をもって判断を下せる程度の勉強量を積んで試験に臨む必要があります。



勉強時間と時期ごとの内容

12月短答で72.4%得点、各予備校の本命予想ボーダーが73%だったので、毎日そわそわして勉強が手につかず、短答合格後から勉強開始しました。
(短答合格ラインは71%でした)

1月~2月
監査:CPA松本レジュメInput、CPA論文対策集
租税:TAC映像講義消化
経営:TAC映像講義消化

3月~4月
財務:CPAコントレ6冊(論文◎〇△)
管理:CPAコントレ6冊(論文◎〇△)、CPA理論論文対策集(4月)
企業:TAC論文問題集1分冊、TACテキスト
監査:CPA論文対策集1周(4月)
租税:TACトレーニング問題集、TAC論文アクセス(2023)
経営:講義消化、TACトレーニング問題集(財務管理)

5月
財務:TAC論文アクセス(2022&2023)
管理:TAC論文アクセス(2022)
企業:TAC論文問題集2分冊、TACテキスト通読
監査:CPA松本レジュメOutput1周
租税:CPAコントレ4冊1周
経営:CPA個別問題集1周(財務管理)、CPA速習講義レジュメ(経営管理)

6月
財務:TAC論文基礎答練、応用答練、CPA理論論文対策集
管理:TAC論文基礎答練、応用答練、CPA理論論文対策集
企業:TAC論文基礎答練、応用答練(2022&2023)
監査:TAC論文基礎答練、応用答練(2022&2023)
租税:TAC論文基礎答練、応用答練(2023)
経営:TAC論文基礎答練、応用答練(2023)、
   CPA個別問題集(財務管理)前回ミス問題のみ
   CPA速習講義レジュメ1章/日(経営管理)

7月
財務:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA直前答練①②、CPA理論論文対策集
   コントレ連結3冊+総合問題編
管理:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA直前答練①、CPA理論論文対策集
企業:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA全国模試、CPA直前答練①②③④
監査:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA全国模試、CPA直前答練①②③④
   CPA松本レジュメ通読
租税:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA直前答練①、CPAコントレ(法・消)
経営:TAC全国模試、TAC直前答練、CPA直前答練①②③④
   CPA個別問題集(財務管理)1周目ミス問題のみ
   CPA速習講義レジュメ1章/日(経営管理)

8月
財務:TACアクセス答練解き直し、CPAコントレ6冊1周、CPA理論論文対策集
管理:TAC答練解き直し、CPA理論論文対策集
企業:TAC、CPA答練模試解き直し、TAC論文問題集
監査:TAC、CPA答練模試解き直し、CPA松本レジュメ通読
租税:TACアクセス答練解き直し、コントレ(過去に誤答した問題)
経営:CPA個別問題集(財務管理)1周
   CPA速習講義レジュメ1章/日(経営管理)



教材と勉強法

財務会計論

CPA コンプリートトレーニング
CPA 理論論文対策集
TAC 計算アクセス
TAC 基礎・応用・直前答練
TAC 論文式全国模試②
CPA 直前答練

計算で逃げる作戦である以上、財務は稼げる科目にしたかったので、短答対策に引き続きコントレをひたすら解きまくる受験生活でした。
1回解いた問題は、計算過程を翌朝もう1回さらっと追って、さらに1週間ぐらい置いてからもう1回見返して、間違えたポイントを思い出すようにして使っていました。
体感ですが1~2週間以上まったく見ないでおくと、次にまた同じ間違いをすることが多く、記憶がリセットされてしまう印象でした。

理論は6月頃まで放置した結果、答練で何も書けないことに気付いて慌ててCPA論文対策集を1日1章ずつ開始。
前日やった章は食事中にどれぐらい覚えてるかざっと確認(お行儀が悪い)
当日やる章はちゃんと時間をとって別途やっていました。

間違えたら正の字で記録、ABは問題文だけ見て論証が思い出せるように、Cはとりあえず毎回論証に目を通す。
理論では平均点程度が取れれば十分だと思っていたので、答練、模試で出た問題は論文対策集に記録したり追加で書き込んで特にケアしました。

7月の全国模試②で計算も大してできず、理論ほぼ空欄だった結果、財務で偏差値43を叩き出したので、7月と8月はだいぶ時間を振りました。
財務は配点が他科目の2倍なため、財務で偏差値1落とすと他科目で2上げなければいけなくて負担が大きいので、どうにか平均を超えたい科目ではあると思いました。

今年はキャッシュフローがアツい!とどこの予備校も言ってたのに、キャッシュフローは最後まで苦手な分野No.1だったので、本試験前日はコントレのキャッシュフロー範囲だけ一通りやって寝ました。助かりました。


管理会計論

CPA コンプリートトレーニング
CPA 理論論文対策集
TAC 計算アクセス
TAC 基礎・応用・直前答練
TAC 論文式全国模試②
CPA 直前答練

短答期にコントレを何周かやり、論文期でも3~4月頃に1周やったぐらいでしたが、答練、模試で偏差55~60前後を取れていたので、5月以降はアクセス、答練と模試の復習だけで本番に臨みました。
コントレは異常に負荷の重い教材でしたが、それなりに実りがあった教材だと思います。

理論はCPA論文対策集が、論証とその理由や背景まで丁寧に解説してくれていて使いやすかったです。論証部分以外に、解説部分でも理解の助けになりそうなところは暗記するようにしていました。


企業法

TAC テキスト
TAC 論文問題集
TAC 基礎・応用・直前答練(2022,2023)
TAC 論文式全国模試①②
CPA 直前答練
CPA 論文式全国模試①②

TAC論文問題集の各問題の解説を読みながら、論述の構成を把握することと、関連条文を法令基準集で引く練習がメインでした。
偏差値50が取れれば十分だと思っていたので、

①第一関門となる条文を絶対に外さない
②第一関門の条文と、問題のケースを丁寧にあてはめる
③自分なりの結論を導出

こんなイメージでした。

①論文問題集を触っている過程で、よく出てくる条文番号とその内容や、どの条文が基準集のどの辺に載っているかが分かってくるのでこれを頼りに条文探しゲーの感覚でした。

②は論述の書き方として法的三段論法(IRAC)という専門用語があるようですが、受験生の頃はそんなこと知りませんでした。

ただ、第一関門としてよく出てくる423条を例にとると

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHKAI000000/423.html

こんな条文がありますが、この条文を例えば
(i).役員等が
(ii).任務を怠った場合で
(iii).株式会社に損害が生じて
(iv).(ii)の任務を怠ったことと(iii)の損害に相関性があること

の4条件に分解して、問題のケースをこの4条件に当てはめて


問題文より、"~~~"は(i)に該当する。
”~~~”だから(ii)にも該当する、
”~~~”だから(iii)にも該当し、
(ii)の結果(ii)が生じているから(iv)の相関性もあると考えられる。
よって423条が適用でき、賠償責任が発生する。


こんな文章構成にして、会社法の何条が関わる問題なのかなぜその条文が問題になるのか結果どのような判断になるのか、を明示することは意識していました。

③は、本試験でどう判断されるかはわかりませんが、模試や答練ではこのあてはめ作業が丁寧に行えていれば、その後の条文解釈によって模範解答と違う方向の回答になっても得点はもらえている印象でした。

相対試験で、他の予備校の答練や模試問題が的中した場合に大きく不利になると思ったので、企業法はTACだけでなくCPAの答練、模試も全て構成や論点の流れを暗記して、特に頻出の条文については「この条文が来たらこう書く」という論述構成のテンプレートを頭の中で形成していました。

結果的にテキストの精読はしませんでしたが、このあたりの暗記作業のおかげでテキストに書かれている論点は概ね知っている状態にはなっていました。本来はテキストから攻めるのが正攻法だと思いますが、より計算に時間を割きたかったので答練側から攻めることになりました。


監査論

CPA 松本論対レジュメ
TAC 基礎・応用・直前答練(2022,2023)
TAC 論文式全国模試①②
CPA 直前答練
CPA 論文式全国模試①②

松本レジュメ一択だと個人的には思いました。それぐらいに分かりやすくて使いやすかったです。
偏差値48でしたが、むしろまつこレジュメのおかげで48で耐えたと言っても過言ではない。
あとは両校の答練、模試で特に第1問の理論部分については、まつこレジュメ精読とともに日々の暗記教材として、問題文を見ただけで思い出せるように使用していました。

全国模試②の時点ではたいしてまともな対策をとっていなかったので、大問1の理論部分が弱く、大問2の事例問題ではそれっぽい部分を監基報からひたすら引用しまくる方法で偏差値50を少し上回る程度でしたが、

7月以降に松本レジュメを毎日読み込んだ結果、変に知識がついたことと、初日1時間目で手が震えるほど平常心を失っており、本試験は大問1でそれなりに暗記の成果が出たものの大問2で監基報をほぼ見ずに雰囲気回答したのがしっかりバレているような気がします。
監査論って何をしたらできるようになるんでしょうか。


租税法

TAC テキスト
TAC トレーニング
CPA コンプリートトレーニング
TAC 計算アクセス
TAC 基礎・応用・直前答練
TAC 論文式全国模試①②
CPA 直前答練
CPA 論文式全国模試①②

1月からはとにかく講義の消化。2月までに講義の消化は終えて、4月ぐらいまでにTACトレーニングを2周程度と、配布済みのアクセスまで手を付ける。

租税も得点源にしたかったのと、財務、管理コントレが自分的にとても良かったので5月から租税もコントレを始めましたが、コントレに触れずとも、TACアクセス+答練類を完璧にするだけで合格には十分だったのかなぁと思ったりもしています。

ただ、コントレは細かいところまで問題として収録されていたので「これだけやったワイが出来ないってことは没問!」と本試験でも自信をもって回答できたと思います。そのわりに成績大したことないとか言わないで…。


経営学

<経営管理>
CPA 速習講義レジュメ
CPA 個別問題集

<財務管理>
CPA テキスト
CPA 個別問題集

<共通>
TAC 基礎・応用・直前答練
TAC 論文式全国模試①②
CPA 直前答練
CPA 論文式全国模試②

TACの映像講義、トレーニング問題集をとりあえず1周解いた後、「経営学はCPAが強い」とかいうネットの評判を鵜呑みにしてとりあえずCPAの教材一式を買って見比べて、取っつきやすいと感じたCPAの教材でその後学習しました。

本格的に学習開始したのは5月からでしたが、個人的にはCPAの速習レジュメ、個別問題集が手広く網羅してくれてる印象で、短期間の勉強でしたが最初から最後まで偏差値の引き上げに貢献してくれる相性の良い科目でした。


おもいで


論文期は何かと不調が顕在化してたような気がします。
あんまり緊張しないタイプの人間なのに、夜色々考えてしまって寝付くのに1時間とか平気でかかる状態が2月ぐらいからずっと続いてました。

短答は客観採点ができる分、進歩も退化も見えやすいけど、論文は記述だから勉強しても知識が増えているのか分かりづらいし、要点を拾って書けたような気がしても得点になってなかったり、試験日はどんどん迫ってくるし本当にこれでいいのかな、、、って常に思い続ける日々だから本当にメンタル勝負。

たまにSNSで観測される優秀な方は、会計学と租税でしっかり稼いでるパターンが多いイメージがあって、これは論文の中でも客観採点できる部分を特に丁寧に学習しているってことなのかな、と思ったりもした。



これはワイが年寄り受験生なのも一因ですが、同じ計算、同じ論証を何回やってもぜんぜん入ってこないし、入ったと思ったらすぐ忘れるしこの試験ほんとなんなんだ…と思ってましたね。。。



3桁の数字を見たら会社法の条文に思えたりね…この手のエピソードは色々ありました。



ラスト1か月の直前期は、目を通したものが短期記憶の端っこに少しでも残ってくれればいいと思ってひたすら多くの問題、論証に触れるようにしました。それでも電卓はきっちり叩くし理論だって最低限の理解も欠かさない。
超優秀な一部の層を除いて、最後は気合とパワープレイだと思った。



この日は朝の数時間、勉強が手につきませんでした。
講師の方が、試験に落ちる夢をたまに見るって講義で言っていたけど受かる夢もそれはそれできつい。



初日の1時間目、手が震えすぎて利き手じゃない方の手で文字を書いてるような状態になったり、租税法の法令基準集に落丁があったり、極度の緊張感と、問いに回答することにのみ神経を集中させている中、本試験は想定外が色々と発生してメンタルを削ってきた。
脳が熱を帯びて、冷静な判断ができなくなっていると感じたらその度にトイレに立って顔洗った。



これは2日目の財務会計論、大問3の埋没問題とされたリースでだいぶ時間を消費した結果、大問5突入時点で時間があまり残ってなくて冷静に文字が追えなくなり「もうダメかも…」って1回心が折れた時のこと。

毎日勉強してきたのになぁ、、、って日々の光景が浮かんできた後に、こんな日々をもう1年続けるのなんか絶対に嫌だ…って、過去の自分に支えられたような気持ちになった。
大問5単体では偏差値41で結局ダメだったんですが、全体を見ればちゃんと勉強してきたなりの結果は出ていたから、窮地に陥った時に自分自身を支えてあげられるぐらいの努力、してきてよかったな…って思った出来事。


最後の1か月は「今すぐ勉強やめたい…けどやらなきゃ」とか「2年間よく頑張ってきたなぁ」とかいろんな感情が込み上げて勉強中に涙が出てきたり、外出できないようにまゆ毛そったり色々おかしかった。
こんだけやって落ちるんだったらもう無理やろ、、、って、試験後はテキスト類もすぐに処分した。
2年間のうち論文ラスト1ヶ月、特に本試験の3日間が一番きつかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?