だぶるはの短歌を作りながら考えたこと(第17回歌会に出した歌について)


鈴木羽那さんと郁田はるきさんのWINGを読んで、2人のことを考えながら短歌を作った。歌を作るなかで考えたり悩んだりしたことを書いていく。


東京は氷点下二度 触れた手のかたちに沿って水になる雪 / 鈴木羽那

氷点下二度の東京に雪が降り、雪が人の手のかたちに沿って水になっていくのを羽那さんが見ている、といった感じの歌。

WINGのコミュで、彼女の振る舞いによってあらゆる人がものすごい勢いで虜になっていくさまが印象的だった。人の気持ちを上手く読み取り、意識せずとも人に求められる理想的な振る舞いができる彼女の姿が、人それぞれの手のかたちに沿って水になっていく雪のように見えた。

短歌の構成って基本的には「心情+景」であることが多いと思うんだけど、この歌はあえて景の説明のみで構成した。心情を表す言葉を入れずに作ることで、ただそこにいて、ただあるがままにそうしている彼女のことを表したかった。

「平行線の美学」の歌詞を読んだときに、彼女はなにか意図があって人に好まれるように振る舞っているわけではなく、その振る舞いこそが彼女のありのままの姿なのかなと感じた。
降る雪が水になるという自然な現象と同じように、ただそこにある。誰かの手のかたちに沿って水になっていくという状況が意味を持たないように、その言動や行いに理由はなく、人に好かれたいとか寂しいとかそういう感情を含んでいるわけでもないんじゃないかなと思った。

これはかなり勝手で個人的な解釈なので、今後のコミュの内容によっては的はずれな歌になる可能性もある。
でも「平行線の美学」の歌詞を読んでいると、彼女の内面的な部分についてあることないこと考えたり詮索したりするのも野暮な気がしたので、思い切って心情を描かずに景のみを提示して表現することを選んだ。

ちなみにこれは読む会で知ったのですが、東京の気温が氷点下まで下がることはあんまり無いみたいです……地方に住む無知な人間なのがばれてしまった……


吐く息の熱にも色があることを確かめている冬の屋上 / 郁田はるき

歌会でもお話させてもらったけど、はるきさんのWINGで何度かあった、屋上に一人でいるシーンが印象的だったのでそこから着想を得た。

はるきさんがWINGに向けて励むなかで何度か迷いが生じる場面があったんだけど、プロデューサーの力を借りなくても、もやもやの原因が自分の中にあることを自覚できるのがすごいと思った。

原因をはっきりさせたうえで、納得のいく答えが出せるまで自分と向き合い続ける。自分自身の中に原因と答えを見い出そうとする、課題解決のためのアプローチの仕方にものすごく感銘を受けた。きっとはるきさんはシャニPと出会う前から、そうやって前に進んできたんだと思う。

冬の屋外では、吐く息が熱いほど白くなる。自分の息の白さを確かめる姿が、自身の中にある思いや情熱を確かめている様子と重なるような歌になっているといい。
自分と向き合う時間を積み重ねながら、彼女の中にある「色」をこれから見つけていくのかなと思うと、今後もはるきさんのことを見守らせてほしいなって気持ちでいっぱいになった。

だぶるはの歌、初挑戦だったけどすごくすごく難しかった……!
特に羽那さんに関しては、彼女の内面に思いを馳せること自体が彼女を傷つけてしまうような気もして少しためらった。いつか、心の底から納得できて、だぶるはの2人に見せても恥ずかしくないような歌が作れるようになりたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?