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あらたな可能性

泣きたい気もちを
静かに
じっと
感じている。

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5月14日午後

大学病院にて
今後の治療についての話を
聞くために受診。

この日も
一人では不安だったので
父に付き添ってもらうことに。

診察前に
二人で
病院内のレストランで昼食をとる。

ずっと
お腹の調子がいまいちで、
常にどーんとした痛みがある。

少し歩くだけで
「はぁ~」
と大きなため息がでる。

そんな状態。


身体はしんどいが、
こころは
わりと落ちついているな、
と自分自身を観察する。


今日の医師は
わたしが通う大学病院の
消化器外科
大腸グループの
トップだと聞いている。

先日診察してくれた医師は
「とてもいい医師だな」
と感じたので、
その人の先生ならば、
きっといい人なんだろう、
と当たり前のように
思っていた。

勝手に信頼。



先日撮った
CTの画像を
見せてくれながら、
腫瘍のある場所や
大きさを
細かく教えてもらう。

腫瘍は
思っていたよりも
大きかった。


「手術では
ここを切りとります」
と絵を描いてくれる。

腫瘍部分と
その上部、
さらに左右の
リンパ節を切除して
人工肛門(ストーマ)を
造設する。

腹腔鏡での
オペになると聞いて
すこしだけホッとする。

以前ネットで
開腹手術よりも
腹腔鏡手術の方が
身体に負担が少なく
回復が早いと書いてあるのを見たから。

それでも
何があるかはわからない。
必要であれば
開腹することもある、
と告げられる。

ふむふむ。


前回の受診後
今回の手術後には
人工肛門(ストーマ)を
造設することになると知り
日々
様々な感情を
味わいながらも
随分と
その覚悟を
持ち始めたわたし。

医師の話は
冷静に聴いていた。

が、
ここでまた
衝撃的な言葉が・・・

「MRIの結果次第なんですが…」
と前置きをして
「肛門の場所がですね
すぐ隣に膣があるんですよ」
「今回の腫瘍が
膣の方まで浸潤していた場合
膣も取ることになるんですが、
ただ
できれば
膣を取ることは避けたいので
その場合は
抗がん剤や放射線の治療をして
少しでも腫瘍を小さくして
膣を残す方向でいきたいとは
考えています。
ただ、
抗がん剤治療が
効くかどうかというのは
半年たたないとわからないのでね
その間にがんが大きくなってしまっては
元も子もないですし
判断が難しいところですが、、、」



目の前が真っ暗になった。


膣?

膣まで
なくなっちゃうの?


なんということだろう。。。


言葉を失った。


予想外すぎて
想定外すぎて
どう反応したらいいかすら
わからなかった。


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はぁ。
まさかそんな可能性まで
出てくるとは…

おちこんだ。

おちこんだわたしに
父が
「まぁ
しゃあないわな」
「まぁもう子どもも
産むこともないだろうし
いいじゃないか」
と言った。


父は
わたしを
励まそうと
してくれたんだろう。

言える言葉が
見つからなくて
つい
出てしまった
言葉かもしれない。


でも…

「そういうこと
じゃないんだよ」



わたしは
これから先も
機会があれば、
めくるめく
愛の体験をしたい!
と思っていた。

ストーマになろうが
そんなことと関係なく
身も心も愛し合いたい、と。



そこまでは
父親には
あえて
言わなかったけれど。


だから
膣を失うことは
わたしにとっては
ほんとうに
ほんとうに
かなしいこと。

だから
「しょうがない」
なんて
言ってほしくなかった。



「しょうがない」なんて

わたし以外の人が
言っていい言葉ではない
と強く思った。


腹が立ったし
かなしかった。


いろいろ感情が動く。

ただ
ただ
涙がぽろぽろと
流れる日もあった。

そんなときには
音楽が
わたしに
スペースを与えてくれた。



とはいえ、
肝心のMRI検査は
まだ受けていないので
膣を失うかもしれないという話は
あくまで
可能性のひとつ。


5月20日に
MRI検査をすることになった。

それまでの間は
自分のカラダについて
考えたり
感じたり…

わたしが
本当に
望むことって何だろう?
ということを
見つめていた。



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