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子宮を失ってまで生きていたくない

A先生の説明は、非常に分かりやすく
元医療従事者の私は、非常に納得がいったし
医療ド素人の夫でも理解しやすかったようでした。

私は(夫も)妊娠を望んでいるし
広汎子宮頸部摘出術を受けたいという気持ちに
変わりはなかったのだけど

『場合によっては子宮全摘になるかもしれない』
という事実が、私にとってはとてつもなく重たく
日に日に手術を受けることが怖くなりました。

そんなある日、私は泣きながら
夫にお願いしたことがあります

「もし、手術中に全摘にしないといけないって
 言われたら、癌はそのまま残ったままで良いから
 子宮を摘出せずに、残して、お腹を閉じてほしい。
 子宮を失ってまで、生きていたいとは思わない。
 だって、赤ちゃんに会いたいから、私は今
 頑張って治療をしているんだもん。
 赤ちゃんに会えないなら手術をする意味はない」

そう言って、わんわん泣いてしまいました。

夫には、怒られるかもしれないと思いましたが
夫は、怒ることはせず、ただ穏やかに

「そうだね。きっと、女の人にとっては
 子宮が無くなるっていうことは
 本当につらいことなんだろうと思う。
 男の俺には、計り知れないけど…
 だけど、俺は生きていてほしいなー」

と、ただ一言そう言ってくれたのでした。

そして、その夫の言葉を聞いた瞬間
『私は、なんて我儘で愚かな人間なのだろう』
と、ハッと気づいたのです。

というのも
私は、誰かに、強制的に今の夫と
結婚させられた訳ではありません

『結婚して、この人と共に生きていきたい』
と思ったから結婚したはずなのです

自分の責任と意思で結婚したのです

それなのに私は、その時の気持ちを忘れ
『共に生きる』ことができる状態なのに
それを放棄し、責任を放棄しようとしている

手術をすれば、命は助かるのだ
それなのに、それを拒否して

今の私は
生きることを放棄しようとしている
結婚の責任を放棄しようとしている
命を粗末にしようとしている

どれだけ傲慢な人間なのか!!と
自分の身勝手さを猛省しました

自分って、最低な人間だなと思いました

そして、ようやく私は肚を決めました

『子宮全摘になっても良い。
 私は、私の命を優先する。
 私は、私が生きることを優先する。
 例え子宮全摘になっても、私は生きる』

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