【詩】雨粒ぴちょんくん

今夜もコーンスープを暖めていた
とんとんピチョン
とんとんピチョン
キッチンの窓ガラスに雨粒が当たり出した
冬の最後の雨

トーストにクリームチーズを塗って
ブルーベリージャムをつける
朝はマーマレードをつけたけれど
クリームチーズにはブルーベリーが合う

「わぁ!それ、雪?」
声がした方を見ると テーブルに水色の水滴が人差し指1本ほどで 居た
「ねえ 僕たちは寒くなると雪になるんだよ」
「君は雨粒くんだね?」
北風ピューと遊んだ私は 驚くこともなく言った
「そうさ 僕は雨粒ぴちょん」
「今夜は君の仲間がたくさん降っているね」
「僕たち冬の最後の雨なんだ これからは春雨さん達が来るんだよ」

雨粒ぴちょん君の仲間が 奏でる音楽
耳に心地よく 心が落ち着く
「雨粒ぴちょんくん 私 君たちの音楽スキだよ」
「僕たち あなたの傘に何度も降り降りしたんだ」
「そうだよね 雨の日でもお散歩が楽しいもの」
「うん 何度もこのアパートに降り降りしてるんだ」
「なるほど 昔居た物件よりも雨の日が心地良いわけだ」
この街で10回目の春を迎える

「ねえ あなたの好きなコーンスープは秘密があるって知ってる?」
「暖めていると 君達と話せるの」
「そうなんだよ!コーンスープは冬の国からの贈り物なんだ」
コーンスープは子供の心結に戻るアイテムなのかな…

ダイニングで 軽めの夕飯の お客様
とんとんピチョン
とんとんピチョン
雨粒が落ちる隙間に 子供の頃熱を出すと母がコーンスープを暖めてくれたことを思い出した 3月の終わりの雨の夜

とんとんピチョン
とんとんピチョン

雨粒ぴちょんくんの足跡がクリームチーズの中に残っていた



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