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恒星ノート~ヘラクレス座・ケンタウルス座 ヘラクレスのものがたり・下:12の大業

ラス アルゲティ・アゲナ・トリマン

ヘラクレスのものがたり下:ヘラクレスとケンタウルスヘラクレスの大業(③)・⑪・⑫

○主な登場キャラクター:ヘラクレス・ケンタウルス族(半人半馬の種族)

 半人半馬のケンタウルス族は狩りの得意な野蛮な存在でした。ヘラクレスが与えられた「12の大業」のひとつ③エリュマントスの猪退治の際、ヘラクレスはポロスというケンタウルスと親しくなりました。

③エリュマントスの猪退治(④という説もある)

エリュマントス山に住みついた一頭の巨大な猪がプソピスの町に害を与えて人々を苦しめていました。エウリュステウス王はヘラクレスにこの猪を生け捕りにして自分のもとに献上するよう命じます。ヘラクレスは猪をすみかから追い出します。山の深い雪の中を追い回し、仕掛けておいた罠にかけてつかまえました。大猪を担いでヘラクレスがその獲物をミュケナイの城に持ちかえると、気の小さい王は恐れおののいて、地中に逃げ隠れたといいます。

ポロスが慕う酒の神ディオニソスからもらった酒をヘラクレスとポロスが飲んでいたときのことです。酒のにおいにつられ、たくさんのケンタウルスがやってきました。ケンタウルスは野蛮な動物。酒を飲んでいるうちに暴れだしてしまいます。怒ったヘラクレスはヒドラの猛毒を塗った矢でケンタウルスを追い払いました。その際、ポロスは誤って毒矢を自分の足を刺してしまいます。ヒドラの毒はたちまち全身にまわりポロスは息絶えてしまいました。ヘラクレスはポロスの死を悲しみ、ゼウスにポロスを天に上げるよう頼みます。この姿がケンタウルス座になったといわれています。

○ヘラクレスの残りの大業⑪・⑫

⑪エウリュステウスはヘラクレスに次の仕事として、世界の西のはずれにあるヘリペリス(夕べの娘の意)たちの庭園から、黄金のりんごをとってくるようにと命じました。ヘリペリデスはティタン神族のアトラスの3人の娘。彼女たちが番をする庭園には黄金のりんごの木が植えられていました。このりんごの木はゼウスとヘラの結婚を祝って大地の女神ガイアから贈られたものでした。この聖なるりんごの木を大怪物テュポンと蛇女エキドナの子で百頭の竜ラドンが見張っていました。

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