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恒星ノート~かに座・うみへび座~ヘラクレスのものがたり・上

アキュベンス・アルファルド・(プレセぺ星団)(ノースアッセリ・北のロバ)(サウスアッセリ・南のロバ)

○ヘラクレスのものがたり上:12の大業。②うみへび退治(③~⑥)

主な登場キャラクター:ヘラクレス・ヘラ

英雄ヘラクレスはゼウスとミュケナイの王女アルクメネとの間に生まれた息子でした。ゼウスは妻ヘラとの子ではないたくさんの子に恵まれましたが、ヘラは多くのゼウスの相手とその子を憎みました。なかでも人間であるアルクメネとの子であることに怒り、ヘラクレスを激しく憎みました。アルクメネは英雄ペルセウスとアンドロメダ(→{恒星ノート・アンドロメダ})の孫(娘という説もあり)です。

アルクメネはアムピトリュオンの妻でした。美しいアルクメネをまたしてもゼウスは見逃しませんでした。アルクメネは夫の姿に変えたゼウスと夜をともにします。やがて、アルクメネは双子を宿します。ゼウスとの子はヘラクレス、本当の夫との子はイピレクスでした。

ヘラクレスが生後8か月のとき、2匹の毒蛇を差し向け殺そうとします。しかし、ヘラクレスは逆に蛇をおもちゃにして絞め殺してしまいます。ヘラクレスは皮肉にも「ヘラ」から名づけられたものでした。「ヘラの栄光」という意味。ヘラクレスは生涯にわたって、ヘラに憎まれ続けます。

ヘラクレスが赤子のとき、ヘラは女神アテナはヘラクレスに乳を与えるようにと説いたことがあったといいます。そこで、ヘルメスはヘラクレスを抱いてヘラの寝室に忍び込み、眠っているヘラの乳を吸わせました。ところが、赤子はあまりにも強く吸ったので、ヘラは痛さに驚いて目を覚まし、赤子を払いのけました。ヘラクレスはヘラの乳を飲んだために不死身になり、またそのときほとばしったヘラの乳が天の河になりました。英語やドイツ語で「ミルクの道」と呼ぶようになったのも、このはなしからきているのかもしれません。

ヘラクレスは成長し、テーバイの王女メガラと結婚し、子供も生まれ幸せに暮らしていました。その姿を、憎々しく思ったのはヘラです。ヘラはヘラクレスを一時的に狂わせます。正気を失ったヘラクレスはさまざまな乱暴を働き、妻メガラと子どもたちを敵と思い込み射殺し、弟イピレクスの2人の息子を火中に投げ込んで殺してしまいました。正気に戻った彼は唖然とします。その罪を償うために何をすればいいのか、デルポイに出向き神託を受けます。お告げの結果、ヘラの加護をうけているエウリュステウス王に仕えることになりました。エウリュステウス王は悪名高い王でした。この王のもとで12の過酷な義務を果たすことになります。

ネメアのライオン退治→ヘラクレス勝利。皮をはいで身にまとった。

レルネの化け蛇ヒドラ退治→胆汁から毒をとりだした。

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