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恒星ノート~しし座~ ヘラクレスのものがたり・中:12の大業

12の大業①・⑦・⑧・⑨・⑩

レグルス・ゾスマ・デネボラ・(スブラ)・(アルジャー)

主な登場キャラクター:ヘラクレス

 ヘラクレスがエウリュステウス王のもとで成し遂げた12の大業のうち、王が最初に要求したのは、①ネメアのライオン退治でした。鉄でも貫くことのできない毛皮をもった獣でした。この大獅子は人や家畜を食い荒らしていました。大獅子に襲われて、すみかの近くに住む人は激減し、ヘラクレスを大獅子のもとに案内できる人がいないほどでした。

ヘラクレスは弓とこん棒をもって森に向かい、獅子と対峙します。ようやくみつけた大獅子は血で汚れていました。ヘラクレスは矢を放ちましたが、すぐにはねかえされてしまいます。剣を向けても、剣が曲がってしまいます。こん棒で鼻をねらっても、こん棒が粉々になってしまいます。

ヘラクレスは、獅子がねぐらにしている洞窟の出入り口のひとつを網でふさぎ、入り口から入っていきました。獅子をみつけると、ヘラクレスは獅子の首に腕をまきつけました。戦いのさなか、ヘラクレスは指を一本噛みちぎられてしまいます。三日三晩の戦いの末、ヘラクレスの怪力で獅子の首を絞め殺し、とうとう勝利を収めました。

獅子のかぎ爪で、獅子の皮をはぐと、その皮を鎧にしました。獅子の頭部は兜としてかぶるようになりました。

獅子の兜と獅子の鎧を身につけて現れたヘラクレスを、エウリュステウス王は心から恐れ、ヘラクレスを街の中に入れませんでした。王は青銅の瓶のなかに隠れたといわれています。

獅子とヘラクレス:ヘラクレスは養父のもとで戦車操縦術・格闘技・弓術・剣や槍の使い方などを修めました。ある日のこと、彼が音楽を習っているとき、師匠リノスから叱られたことに腹を立て、竪琴でリノスを打ち殺してしまいました。そのために彼は田舎に送られて牛の番をすることになりました。ここで彼が18歳になったとき、付近の牧場で牛を襲ったキタイロン山のライオンを50日間にわたる狩りのすえに退治し、そのライオンの皮をはいで身にまとったといいます。ヘラクレスにとって獅子は強い結びつきがある動物です。

ヘラクレスは次の難題、②うみへび退治に向かいます。{詳細は恒星ノート「かに座」。(③~⑥もあり)}ヘラクレスの大業は続きます。

⑦クレタの牛退治

クレタ島では一頭の凶暴な牡牛があばれまわっていました。この牡牛はミノス王がポセイドンから贈られた牡牛でした。かつて、この牡牛と王妃が交わり人身牛頭の怪物ミノタウルスが生まれました。

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