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ヴァンフォーレ甲府の2020年をポジティブに書いた

 新型コロナウイルスの感染拡大により、長期的な開催延期を強いられているJリーグも、各県の緊急事態宣言の取り消しに伴い、6月下旬から7月にかけてのリーグ戦再開が現実味を帯びてきた。
 
 今季、3年ぶりのJ1復帰を目指すヴァンフォーレ甲府も全体練習を再開した。各選手たちは、"再開幕ダッシュ"を決めるために準備を進めている。
 今季の選手の顔触れを見ると、若く個性が溢れるメンバーが並ぶ。昨年、5位でフィニッシュし、J1参入プレーオフに進出したものの、4位徳島と引き分け、規定により敗退。あと1歩、2歩J1復帰へは届かなかった。今季よりJリーグからの降格救済金も途絶え、資金減となり、昨季までチームを支えた多くのベテラン選手との契約を満了。さらには、20得点を挙げたピーター・ウタカや、曽根田、佐藤和、小出などのレギュラー組がチームを去った。結局、クラブは若手中心の編成へと大きく舵を切った。選手の保有数も大幅にスリム化を図った。
 各選手の実績でいえば、過去シーズンのメンバーにやや劣るかもしれない。しかし、伊藤監督と佐久間GMが密に連携を取り、監督が目指すスタイルを体現できる選手を多く獲得。中には、過去に伊藤監督や渋谷ヘッドコーチに指導を受けた選手も含まれた。かつて大宮でタッグを組んだ伊藤・渋谷体制のもと、J2を席捲できるだけの要素は整った。
 
 DF陣では、チームの大黒柱である山本英臣に加え、開幕戦でコンビを組んだ今津佑太、中塩大貴の若き両CBに大きな期待がかかる。他にも、現時点では不動のレギュラーのポジションをつかんでいるベテラン左SB・内田健太、右SBにはどちらもスタミナ豊富の小林岩魚や荒木翔などを中心に熾烈なレギュラー争いが展開されている。
 MFは、最も大きなメンバーの入れ替えが行われたポジションだ。ボランチには、野澤英之や武田翔平などの他クラブでも活躍を見せた実力者に加え、即戦力ルーキー中村亮太郎などが名を連ねる。そして、2列目のポジションには、「甲府の太陽」ことドゥドゥや、昨季まで福岡のエースストライカーとして活躍した松田力などが並ぶ。さらには、大宮やG大阪、横浜FMに在籍し、圧倒的なドリブルで攻撃を活性化させる能力を持つ泉澤仁も新戦力に迎えた。また、橋爪、宮崎、中山などの生え抜き組の期待も大きい。
 そして、タレント豊富なのがFW陣だ。まずは、新助っ人のラファエル、J2でNo.1とも称される高いポテンシャルを持つJ・バホスのブラジル人コンビ。そして、ジョーカー・金園英学と、今季急激に力を伸ばし覚醒が期待される太田修介の残留組。極めつけは中断期間中に大きな話題となった甲府のレジェンドFWであるハーフナー・マイクの9年ぶりの復帰だ。このように、FW陣に関しては、昨季以上の顔触れとなった。

 中断前に行われた、開幕戦・アウェー町田戦では、まだまだ戦術の浸透が不十分な点も見られ、多くの課題が残った。だが、苦しい戦いの中で幾度か決定機も作りながら、ドローに持ち込み勝ち点1を持ち帰った。それ以降、5ヶ月近い中断となりそれまで用意してきたものも一度リセットする形になったが、再開後も新たなスタイルを追求することには変わらない。海外サッカーに常にアンテナを立てながら、世界の最新のトレンドを取り入れることができる伊藤監督の手腕にも期待がかかる。

 Jリーグ全体として、試合が開催できない中でほとんどのクラブが経営状況の悪化が心配される。経営規模の小さい市民クラブである甲府も勿論例外ではない。そんな状況でも、多くのスポンサーはこれからもヴァンフォーレを支え続けることに対して前向きな姿勢を見せている。これは、長年、地域密着型クラブとして山梨県のスポーツ界の先頭に立ってきた結果である。ヴァンフォーレ甲府が地域住民との間に築きあげてきたこの信頼関係は、両者にとっての強みであり、大きな財産である。

 リーグ戦が再開すれば、ヴァンフォーレはJ1復帰という大きな目標に向かって勇猛果敢に戦ってくれる。

 山梨県民にとっての最大のエンターテイメントとして、私たちにサッカーの素晴らしさを教えてくれる。

 筆者もヴァンフォーレに魅了され、このクラブを愛する者の一人として、全力で応援していきたい。

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