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全国1位に至るまでの道のり

皆さんこんにちは!rook7(るーく)です!

この度、気が遠くなるような長く険しい道のりを経て、雀魂の四人麻雀全国ランキング1位(実際は海外のプレイヤーもいるので実質世界一位)を達成しました。そこで、記憶が風化しない内にnoteを書こうと筆を取った次第でございます。

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本当は1位を取ってすぐに出そうと思っていたのですが、最初に書いた文章(『麻雀歴20年間を振り返る』という内容)を数日経って冷静に見返してみたところ、「読者はこんな自分語りに興味ないのでは?」と思いとどまり書き直すことにしました。そんな自分語りよりも、「もっと麻雀の魅力や奥深さを伝えられるような文章にしよう!」と考えて今に至ります。

閑話休題。とは言っても、今年Twitterとyoutube等のSNSを始めたばかりの時代に乗り遅れているrook7です。麻雀界では全くもって無名であり、多少の自己紹介をしておかないとイメージが希薄すぎるかと思うので簡単に説明させて頂きます。
私は大学院で心理学を修めた身です。麻雀のスタイルとしては「人読みが得意なアナログタイプの雀士」を自称しておりますが、こと人読みに関しては職業柄、自然と身に着いたスキルのように感じます。大学院まで出ていると紹介するとインテリっぽくなってしまいますが、実物はそんなことはなく、割といい加減な人間です。

例えば、私は中学生の頃にL'Arc~en~Cielというバンドにハマったのですが、「自分の金で買ったギターじゃなきゃロックじゃねぇ」と妙なこだわりを見せ、家族にも内緒で居酒屋でバイトをして安いギターを買うということがありました。
しかしながら、冷静に誰かに弾き方を教えてもらうことはロックに溢れた状態の自分には出来なかったため、ひたすら我流で弾いていました。結果は無様なものだったのですが、一例を挙げると、ギターの弦をバッキングする時は↓↑↓↑という感じに上下にストロークすることが一般的なのですが、そんなことは露知らず、全て↓↓↓↓という風にやっていたのです。
高校に入学して軽音楽部の人が上手に弾いているのを見て初めて気が付きました。今でこそ、youtube等で何でも無料且つ独学で学べる時代になりましたが、そうです、当時は簡単に情報が手に入らない時代だったのです。

そんな時代だからこそ、麻雀も正しい技術を知ることが難しく、オカルトな理論が今よりも多かったように思います。
現代麻雀はyoutube等のインターネットや麻雀AIの普及により、正確な技術を学びやすい時代になりました。「麻雀を初めて1年で全国ランカーになりました」ということも現実的に起こり得るようになったと思います。
このような素地がある故に、技術面での麻雀の全体的なレベルは明らかに向上しているのではないでしょうか。
ただ、この話の行き着く先として「結局は囲碁や将棋のように人間はAIにほぼ勝てなくなる、麻雀もついにそのステージに来たのか」と昔では信じられなかったことが現実味を帯びてきたような気がします。

段位別の人口分布(牌譜屋様の引用)

しかし!!
世界一登録ユーザー数の多い(1000万人突破)ネット麻雀のプラットフォームである雀魂で、その内の上位1~2%程しか入れない王座の間(参考画像の聖1以上しか入場出来ない部屋)で、最も多く打ち込んだ(約5000半荘)自分は、麻雀には画一的ではない可能性や奥深さがあると感じました。
今麻雀の勉強をしている人で、「結局は最適解をAIが教えてくれるんだから、それだけ覚えていけばいいんでしょ?」と思っている方もいるかもしれません。もちろん、それも一つの正解であり、普通に強くなれます。
ただ、自分が出会った名も無きネット雀士のランカー達(有名プレイヤーやプロの方も含む)は本当に色んなタイプが居ました。もちろん、AI的な打ち方をして強いタイプもいるのですが、「何だこの打ち方は!!」と見たこともないセオリー無視の打ち筋を繰り広げる雀士も数多く居ました。むしろランキング10位以内だけ見ても、全員打ち方が違うと言っても過言ではありません。それぐらい、麻雀の戦略は自由度が高いように思います。もちろん、ベタオリしている時なんかは上級者の打牌はみんな同じになりますが、門前で仕上げるか、鳴いて仕上げるか、押し引き判断、リーチ判断、自分が和了に向かうか、他家にアシストするか、ここらへんはトッププレイヤーでも意見が一致しません。
将棋を例に出すと「AIの評価は居飛車の方が良いが、振り飛車も普通に強い」という感じです(すみません、将棋はアマ初段くらいの少しかじったぐらいなので、説明間違っていたらごめんなさい)。
「何が言いたいの?」と思った方もいるかもしれません、説明が下手でごめんなさい。つまり、将棋は「四間飛車」「居飛車穴熊」「美濃囲い」等々、戦法にわかりやすく名前がついているので、「あっ、色んな戦略があるんだな~」とわかりやすいのですが、麻雀は「門前派」「鳴き派」「攻撃型」「守備型」ぐらいしか戦略を形容する分類がなく、門前派や鳴き派と一口に言っても一人ひとり全然違うタイプの強みを持つ雀士がいるのですが一般プレイヤーには理解し難いし、その人独自に磨き上げてきた芸術的な戦略は数ある牌譜にひっそりと埋もれてしまいやすいのです。
最近はMリーグやyoutubeの配信等で、ハイレベルの打牌を観戦することが出来るようになりました。もちろんプロ雀士の方々は非常にレベルが高いです。自分が研究した中では、特に多井隆晴プロの打牌が最も自身の考え方に近いと感じ、リスペクトしています。
なので、決してプロ雀士の方々を軽んじている訳ではないことを前提にした上での私見ということに、ご了承頂ければ幸いです。

話を戻します。前置きの通り、ネット麻雀の上位ランカーの対局と、プロ雀士の方の対局、どちらがハイレベルかの優劣をつけたり、比較したりしたい訳ではないと改めて補足します。どちらもハイレベルです。
ただ、ネット麻雀の性質上、誰にも触れずにガラパゴス進化して爪を研ぎ澄ましてきたクレイジーな雀士が多いせいか、異質な打ち方で強いタイプはプロの方々より多いように感じました。
例えば、ランキング一桁順位の方で、普通の先制テンパイで誰しも即リーチする手格好なのにも関わらず即リーせず、リーチ宣言牌をぼかすという技を得意とする雀士が居ました。AI的には大悪手の打ち方ですが、この方は王座の間でTOP率が約29%という異次元のTOP率を誇る方です。2や8の数牌を早い巡目で先切りして、1や9の牌をつり出すというのは上級者あるあるテクニックですが、わざわざ「一発自摸を逃すリスクを背負ってまでもリーチ宣言牌に迷彩をかける」という技を使っている方はほとんどいないかと思います。並の雀士がこの技を使っていたとしても「これはカモが来たわ(笑)」という感想しか出ないのですが、その人だけにしか見えていない、期待値がプラスになる条件下が存在するということが、勝利という結果に出ていました。
これはいわゆる「579の形から5を切って即リーすると、もろひっかけと言われるバレバレのスジひっかけになってしまうから数巡置く」という話とは次元が違います。AI研究された現代麻雀では、特に手替わりがない場合は即リーこそ期待値が最大化されることが統計的に証明されています。なので、並の雀士がこのような特殊な打ち方をしても期待値が下がるだけで負けが増えます。しかし、そのような打ち方がプラスになる特殊な条件下を直感的、もしくは何らかの理論によって捉えられる雀士がいるということです。
自分も王座の間で約5000半荘(局に換算すると約30000局)も打ち続けたせいか、集中している時は山の中に眠る牌が透けて見えるような感覚を得る時がありました。「オカルト雀士発言きたww山なんか見える訳ねえだろww」と荒れそうな発言になってしまいますが、要するに山にいる牌さえわかれば牌効率を無視しても収支がプラスになる訳です。山読み自体は普通のテクニックですが、山読みが異常に鋭かったり、人読みが異常に鋭かったり、待ち読みが異常に鋭かったり、尖ったものがあって初めて牌効率やセオリーを無視してもプラスになるという状況が作り出されるというのが自身の結論です。なので、超一流の尖った技術を持たない人が、小手先でこれらの技を使ったとしても、期待値は統計通りにマイナスになるかと思います。

上述したように、ネット麻雀のトッププレイヤーの中には無名で終わるのが本当にもったいない程、唯一無二の強みを持っている人が何人もいました。自分は人読みが得意な方だったため、相手によって打ち方を変えるという手法を取っていました。その関係で、他の雀士以上に、色々なタイプの打ち方を分析する機会が多かったです。おかげで私しか気づいていないかもしれないトッププレイヤー達の強みをたくさん気づけたように思います。
そんな芸術的で感動的な技術も、100万人の雀士の中で1人しか持っていないような強みも、残念ながら無名のネット雀士という特性上、誰にも知られずにひっそりと埋もれてしまうのが現実かと思います。「たかがゲームだろ」と思われる方もいるかもしれませんが、いかなるジャンルにおいても「100万人の中の上位100名、つまり1万人に1人の逸材」と考えると並大抵の覚悟で辿り着けるものではないかと思います。
全国ランカーの雀士との対局は、画面越しでも気迫が伝わる程で、「たかがゲーム」と考えている人は誰一人居なかったように思います。私は全国一位を達成したものの、純粋な雀力はランカーの中でトップレベルではないかと思います。鬼打ちしたり、地獄モードで9連ラス引いたりしても崩れないメンタル面や人読みといったやや盤外戦術的な強さでカバーした部分が大きいように感じます。だからこそ、麻雀と向き合いひたすら技術を磨き続け、麻雀の奥深い可能性に気づかせてくれた対局相手達には最大限の敬意を表したいと思います。対局中は修羅のような気持ちで戦っておりましたが、今は憑き物が落ちた気分で、感謝の気持ちでいっぱいです。

全国1位という目標を達成したため、今後は恩返しの気持ちも込めて、麻雀の魅力や奥深さを皆さんに伝える活動の方に力を入れていきたいなと考えております。
Mリーグ等の影響で少しずつ麻雀のイメージも良くなってきていますが、やはりまだ麻雀はマイナーなジャンルを抜け出せていないと思います。自身を振り返っても、「ネット麻雀で全国1位になった」と言っても所詮、麻雀を知らない人からすると「へぇ、すごいね~」ぐらいの反応が関の山かと思います。

そんな中ですが、20年前に共に牌効率を学び、切磋琢磨してきたA君(雀魂のアプリを勧めてくれたのも彼)は自分のことのように驚き、喜んでくれました。お祝いに1万円以上もするマウスをわざわざ郵送してくれて、青春時代を麻雀に捧げ、共に牌効率を学んだ同志であり、ライバルでもある彼が祝福してくれたことは本当に嬉しかったです。ありがとう、マウスは大切に使います。
ちなみに、A君が当時よく口にしていた台詞は「麻雀は本当に良く出来たゲームだよね。麻雀を作った人は神」「麻雀が強いのにモテないこの世界は間違っている」です。20年を経ても、未だに世界は間違っているようです。

それ以外でも、麻雀はよく知らないけど「おー、すごいじゃん!」ぐらいでリアクションしてくれた友人達も、ついでにありがとう。

そして、何よりも一番迷惑をかけたであろう家族に、最大限の感謝を伝えたいと思います。本当にありがとう。

今後の活動ですが、ひとまず、今年Twitterとyoutubeを始めたので、そちらの方で色々と企画していきたいと考えています。もっとも、当方はyoutuberとしてはど素人でチャンネル登録者数も現状100人いかないレベルです。まずは知名度を上げなければ何を発信しても届かないため、恐縮ですが、麻雀関連でコラボのお誘い等頂ければ幸いでございます。
先日は、ぷりぷりーぐを運営するぷりぷりしゅうじさんにお声かけ頂き、リーグ戦で初めてゲスト解説をするという体験をさせて頂きました。しゅうじさんは大変良いお人柄で、リーグの雰囲気も対局中は真剣だけどそれ以外は和やかで、非常に楽しく解説に参加することが出来ました。その節はありがとうございます。

また、全国1位を達成する2週間前ぐらいからyoutubeのライブ配信を始めたのですが、チャンネル登録者数30名程という中でも常連の方が何度も来てくれて励ましてくれました。常に孤独に戦ってきた者として、非常にモチベーションアップになりました。どうもありがとうございます。また、自分の技術を受け継ぐ者としてrook7の弟子(仮)の志願者も来てくれました。現在は企業対抗戦のキャプテンとして頑張っている人ですが、今後の成長が楽しみです。
加えて、Twitterの方でも1位報告に大勢の人がいいね&おめでとうのコメントをしてくれました。ありがとうございます。

最後に、麻雀は相手がいて初めて成立する競技、ゲームです。対局相手の方々に敬意を表すると共に、麻雀界を発展させる活動に勤しまれている方々に感謝の意を表します。

以上になります!
万感の思いを込めて書き上げたnoteですが、拙筆にも関わらず長文になりすぎました。恐らく最後まで読んでくれた方は相当の麻雀好きか物好きだけかと思います。読んでくれて本当にありがとうございました!


【おまけ】
A君が送ってくれたマウスと、全国1位の前にお参りに行ったフクロウの神社の画像。

A君ありがとう!
栃木と茨城の県境にある鷲子山上神社。お参りした翌日、国士無双で逆転TOPを取れた。





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