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①ハマーン・カーン(コーエー世界史風に数値化してみたシリーズ)

こんなツイートがなんとなく目に留まりました。  

 「いわゆるZガンダム三傑じゃん!」

 この3人の能力というのは昔からよく比較されているが、3人ともガンダムシリーズにおいて「組織の指導者」であり、「MSパイロット」であり、「指揮官」であるという、まさに総合力を比較して盛り上がれるという特性を備えています。
 そこで、昔はやった「歴史上の人物をコーエー風に数値化する」ということをやってみようと思います。

 まず、数値化するのは以下の5つの指標です。

統率・・・組織・艦隊・部隊の統率能力。
武力・・・MS操縦能力(あえてNT能力は除き、特殊能力とする)
知力・・・その時に必要な手を打てる能力
政治・・・組織内、組織間の立ち回り能力
魅力・・・利益抜きで人をついてこさせる能力

以上である、そして、数字の基準は以下のとおりとする。
100~90・・・世界史でもトップレベル
 89~80・・・時代を代表するレベル
 70~79・・・一流レベル
 69~60・・・上手といえるレベル
 40~59・・・普通レベル
 30~39・・・苦手レベル
 20~29・・・ポンコツレベル
 10~19・・・歴史に残る無能レベル
 一桁 ・・・逆にすごいレベル

 なお、評価については原則として映像作品に準拠するが、他の文献も必要に応じて加えます。

 さて、今回は「ハマーン・カーン」です。
 参照作品は映像作品である「機動戦士Zガンダム」に加えて「機動戦士ガンダムC.D.A 若き彗星の肖像」も参考にします。

統率・・・61
 ハマーン・カーンの統率力について考察する。
 統率力については、少なくともアクシズという小惑星集団については、いろいろごたごたはあるものの何とか統率しており、むごいというほどではない。むしろ相当に貧乏な状況で最初のうちは自身の権威も乏しい中よく致命的な反乱者を出さなかったものである。(アステロイドベルトで反乱を起こせなかったというのもあるが)しかしながら、その統治範囲が拡大するにつけ能力に限界が来ているので、それほど優秀ということでもない。弱兵ばかりの艦隊はよく統率しており、上手とは言えますが国家レベルの統率になると最終的にはグレミーの反乱など下手を打っている。よって、統率は「ギリギリ上手といえるレベル」の61とする。

武力・・・97
 ハマーン・カーンのMS操縦能力について考察する。
 MSの操縦能力については、結論から言えばNT能力がほとんどなかったとしても間違いなく宇宙世紀で上位に入るレベルである。キュベレイという「優秀ではあっても1.5世代機程度の機体」で「歴史上最強に近い第4世代機(最強はサザビー)」のZZガンダムに負けるまで(それもジュドーとZZガンダムの「バイオセンサーの奇跡」発動まではほぼ互角だった)ほとんど負けておらず、グリプス戦役ではジ・O、パラスアテネ、ボリノーク・サマーンの3機を相手に十分立ち回っています。同戦役ではグリプス2周辺でシャア相手にも圧勝しており、戦役に登場したパイロットでは最強といってもいいでしょう。同等のMSで一騎打ちで確実に勝てそうなのはアムロ・レイくらいであり、宇宙世紀でもトップレベルの「97」とします。

知力・・・54
 ハマーン・カーンの知力について考察する。
 知力については、少なくとも「地球圏に打って出る」までじっと機を待ち、エウーゴとティターンズの対立が本格化してお互い余力をなくしているタイミングで登場という、絶妙なタイミングでの「進出」を果たしている。この点でもって結構知力は高いといえますが、しかしながら統治範囲が拡大したのちは精彩を欠き、「内政」ができる人材を獲得できず、自分で内政を見ざるを得なくなり、結果タイガーバウムなどの「統治問題」が随所に起こり、グレミーの反乱を招いています。このあたりは「もう少しどうにかならなかったのか」というところで、一流とは言えそうにありません。そもそも、一度はほぼ地球を掌握したにもかかわらずコロニー落としを行って人心を失うという「致命的な失策」をやらかしている。
 よって、知力についてはムラがあるが、「ふつうだけど少しマシ」レベルの「54」とする。

政治・・・84
 ハマーン・カーンの政治力について考察する。
 政治力については、当初の立ち回りこそ相当苦労するものの、地球圏に打って出てからは「圧倒的に強いはずのエウーゴやティターンズ相手に有利に交渉して両者を疲弊させたあげくに一度は地球をほぼ掌握する」までやってのけている。これは世界史レベルでも屈指であり、たとえるなら「三国志で赤壁の戦い直後に劉備が曹操を倒して領土をほぼ併呑し、孫権の統治範囲も半分ぐらい奪い取った」、あるいは「第二次世界大戦で独ソに囲まれたフィンランドがドイツを併呑してソ連をウラル山脈以東までたたき出す」というほどで、「世界的偉業」である。このまま終わればこれだけでも99あってよいくらいですがさすがに内政スタッフの不足から限界が現れ、グレミーの反乱によって「ハマーン政権」は終焉を迎える。このあたりの利害の調整も一応政治の領分なので、15ほど減点する。それでも宇宙世紀と旧世紀に残る偉業を成し遂げたのですから、国家レベルの優秀さである「84」とする。

魅力・・・55
 ハマーン・カーンの魅力について考察する。
 魅力については、アステロイドベルト時代は官職がないにもかかわらずMSのパイロットとして出撃し、そのことでアクシズの士気向上につながるなどの成果を上げている。つまり、一定の魅力はあるといえますが、摂政就任後はいまいち人をひきつけ切れておらず、また、ジオン独立同盟の「カイザス・M。バイヤー」などの協力も得られなかったことから、そこまでの魅力はなかったと思われる。(さすがにシャアと比べるのは酷ですが)とはいえ、アクシズで突き抜ける程度の魅力はあったわけですから、「普通」のなかでも中程度の55とする。

特殊能力
 ニュータイプA ニュータイプ専用MSを文句なく乗りこなせるが、奇跡は起こせない。
 劣勢時の覚悟   自生力より明らかに大きな敵対勢力が存在するとき、知力・魅力が+10

正しい使い方・・・「近衛指揮官」
 文句なしに優れたMSパイロットである。
 標準的な士官メンバーをそろえれば艦隊指揮いちおう無難にはこなせます。小規模な艦隊戦ならいざとなれば「自分で出撃」で対処できますし、必要とあれば和平交渉もでき、近衛指揮官、あるいは決戦戦力の指揮にはうってつけの人材である。
 小規模な部隊だと政治力を持て余し気味になるので大規模な軍の士気や国家運営などの仕事も任せたくなるが、有利な状況になったら解任したほうがいい。有利な状況で任せておくと魅力がいまいちなので野心ある優秀な士官を取りこみ切れずにいろいろと穴ができ、統率が統率がそこまで高くないので組織が瓦解し始め、知力もそこまで高くないので有利な状況から決めきれなくなるとばくちに出て大けがをするという失敗をやらかす可能性が高い。優勢な状況では政治顧問兼近衛指揮官として大事にするべきである。劣勢になった時には総司令官を務めてもらえば苦しい状況でも「耐えて」くれるはずである。
 彼女自身はおそらく「シャアの親衛隊長」といったところが本来の適任役であったが、周りの状況と本人のプライドが彼女を分不相応の「本物の摂政」へと押し上げてしまった。プライドの高さがゆえにアクシズを「ザビ家」にしてしまい、グリプス戦後にエウーゴと不要な対立を起こし、内政スタッフを欠いても無理やり自分で統治しようとした結果、破綻をきたしてしまった。この姿はプライドの高さがゆえに頭を下げるべきところで下げられないというどこぞの政治家や活動家にとって、大いに参考とすべきであろう。

 以上、雑な部分はあるかと思いますが、「ハマーン・カーン」を数値化してみました。