裁判所職員試験ってどんな感じ?

お久しぶりです。いよいよ4月に入り新年度となりました。
既に試験の申込期間に入っているものもありますので、受験する予定のある試験には確実に申し込みを行いましょう
社会情勢を考えると、現時点で発表されている通りの日程で行われるかは確実ではないですし、集中しにくい状態かと思いますが、できることをやっておきましょう

さて、今回は本日4/1から申し込みが始まる裁判所職員試験のはなしをします。なお対象は一般事務についての内容になっております。調査官補は難易度が高すぎて私には解説できません(´;ω;`)

まず試験日程ですが、2020/3/31の段階で
4月1日(水)~4月9日(木) インターネット申し込み
1次試験(筆記) 5月9日(土)
1次試験合格発表 5月28日(木)
2次試験(人物) 6月8日(月)~7月3日(金)
最終合格発表 7月31日(金)
となっています。また採用案内ページにて、コロナウイルスに対する現時点での対応も発表されていますので、合わせてご確認ください→https://www.courts.go.jp/saiyo/vc-files/saiyo/2020/020331oshirase.pdf
(リンク先は2020/3/31発表のものです。ご自身で最新のものを必ずご確認ください)
試験延期後の日程が公開されました(2020/5/19)ご自身でご確認ください
→(https://www.courts.go.jp/saiyo/vc-files/saiyo/2020/sikennittei2020e.pdf)

裁判所職員試験の難易度は、公務員試験の中でも上位クラスであるといえるでしょう。最終的な内定に到達するまでは、国家総合職の次ぐらいのレベルかと思います。試験は午前中に筆記の教養試験が3時間、午後に専門試験が1時間30分で行われ、教養論文、専門論文がそれぞれ1時間で行われます。
これらの日程を1日でこなす上、朝は9時前には集合、最終的な終了時間は18時を超えるという試験としてはかなり長丁場な試験となっています。

まず筆記試験の教養試験ですが、試験時間は3時間と長丁場です。文章理解10問(現代文5問、英語5問)と数的が17問、知識分野が13問となっております。出題形式に関しては他の試験と変わっているわけではありません。
しかし文章理解の本文の量もそれなりのボリュームがあったり、数的もすぐに答えがでるような簡単な問題は非常に少なくなっております。問題の難易度が全体的に高く、テンポよく解いていかなければ恐らく最後まで到達することができません。
私の考えとしては、別に満点をとらなければいけないわけではないですから、多少は捨ての問題も作っていかないといけないと思います。解きやすい問題から解いて、点数を稼いで行った方がいいですね。試験時間は3時間と長いからといって、時間に余裕を感じることはできないと思います。試験後の疲労感が続いて行われる専門試験や論文試験に残らないようにしていただきたいです。

専門試験に関しては、午後のはじめに1時間30分で行われます。問題は憲法が7問、民法が13問が必須回答になります。残りは経済or刑法が10問出題されますので片方を選択し、合計30問を回答します。経済を回答するか、刑法を回答するかについては、試験問題は冊子で配られて1冊の中に全ての問題が記載されています。ですから問題を確認したうえで最終的にどちらかを選ぶことができます。
問題難易度でいうと憲法は簡単なので点数の稼ぎどころ、民法の出来が合格を左右する、経済は中の上程度の難易度、刑法は近年の傾向ではかなり簡単になっているといったところです。

ここで悩ましいのはやはり経済を選ぶか刑法を選ぶかとだと思います。経済は他の公務員試験でも出題される内容と特別違うことは出てきませんので、併願で受験する方は選びがちです。
一方で近年の刑法の問題難易度はかなり低めに設定されており、点数のとりやすさでは刑法の方が上であるといって良い状態になっています。しかし、刑法という科目自体が公務員試験全体としてみればマイナーな科目となっているため、出題があるのは労基と地上の一部であるぐらいで併願先の勉強にもなるといったことがほとんどありません。
どちらが正しいということはないですが、ほぼ裁判所職員試験のためだけに刑法も勉強するか、経済をさらに勉強して実力をつけておくかは受験生それぞれの判断が必要になるでしょう。
なお、試験問題は憲法・民法・経済・刑法の全てが一冊にまとめられて配布されます。問題を見てから経済を選択するのか刑法を選択するのかを選ぶことができます。ですので、場合によっては経済も刑法もどちらも勉強していき、当日に問題を解く前に確認してから、あるいはどちらも解いてみてから科目選択をするのも一つの手です。ただし試験時間が特別長いわけではないので、どちらも解くのは時間配分に十分注意してください。
裁判所職員の志望度が高い方には一応おすすめしておきます。

論文試験に関しては専門→教養の順に行われます。どちらの試験も1時間で行われますが、最大の特徴は黒のボールペンで回答を記入することです。つまり書き間違いがあると、消しゴムで修正するといったことができません。万が一書き間違えた場合は、所定の訂正の仕方によって訂正を行いますが、あまり訂正箇所が多いとそれだけで回答用紙の見栄えが悪くなってしまいますので、できる限り避けるようにしないといけません。

専門論文に関しては、出題のヤマをはるのも1つの手ではあります。数年前までは大抵人権のテーマと統治のテーマが隔年で出題されていました。それを元にすれば、令和元年は司法権の独立が出題されましたので、次は人権ということになります。しかし隔年の法則は崩れることもありますので、やや人権にテーマを絞りつつも統治のテーマも見ておかないと痛い目を見ます。

私は勉強方法として、論文試験は結局のところ択一式の延長線上にあると考えると良いと思います。知識自体は択一式の勉強で学んだものをそのまま生かせばいいわけで、難しいのはそれを文章にうまくまとめることだと思います。知識としては出題テーマが争点となった重要な判例や、争点となっている学説、或いはそれに付随するキーワードをいくつか拾うことが大切です。憲法の何条のはなしであるかについては書けるのであれば書いてもいいですが、間違っていた場合は知ったかぶりになりかねません。自身がなければリスクを冒して書く必要はないと思います

教養論文に関しては、なんというかつかみどころがありません。出題テーマもこれといって傾向があるわけでなく、小論文というよりも作文にちょっと近いかなと思います。テーマにヤマをはることはまず難しいと思いますので、ある意味出たとこ勝負になるかもしれません。
教養論文は最後に行われますので、1日の疲労で頭が回りにくくなっているかもしれませんし、専門論文で文字を書いて手が疲れているかもしれません。私としてはそういった面の方が心配ですので、試験の間の休憩時間はしっかりと休んでいただきたなと思います。


最後に当日の注意点や試験制度について、いくつか挙げておきます。
やはり裁判所職員試験の特徴は論文をボールペンで回答することでしょう。ですので持ち物の中には必ずボールペンをいれてください。また、繰り返しになりますが1日に教養試験、専門試験、専門論文、教養論文を行いますので体力勝負な面も出てきます。試験の合間の休憩時間をしっかりと活用して、集中力が途切れないように頑張っていきましょう٩(ˊᗜˋ*)و

試験制度についてですが、採用は各ブロックごとに行います。イメージでいえば国家一般職と同じようなものだと思えばいいです。
各ブロックの採用予定数と、参考までに令和元年の予定数を()内に載せておきます。
札幌高等裁判所の管轄区域  15人程度 (15)
仙台高等裁判所の管轄区域  15人程度 (15)
東京高等裁判所の管轄区域 200人程度 (180)
名古屋高等裁判所の管轄区域  35人程度 (30)
大阪高等裁判所の管轄区域  55人程度 (55)
広島高等裁判所の管轄区域  20人程度 (25)
高松高等裁判所の管轄区域  10人程度 (10)
福岡高等裁判所の管轄区域  40人程度 (35)

採用数と倍率を踏まえて区域ごとに難易度をまとめると
難 大阪 高松 福岡
並 名古屋 広島
易 札幌 仙台 東京
このような感じになると思います。もっとも、楽な方である区域でも6倍ぐらいは覚悟をしなければいけない試験ですので、やはり裁判所職員試験は公務員試験の中でも難易度が高いといえるでしょう。

ブロックごとに難易度が違うため、一概に合格点の目安を示すことは難しいです。感覚的には易しい区域だと41点ぐらいがボーダーになるかと思いますが、一方で一番難しい区域だとされている大阪では47点ぐらいがボーダーになることもあります。まさに魔境だと言わざるを得ないですね( ´∵`)(札幌は37点ぐらいでも通るそうですが笑)
何より気を付けていただきたいのは、裁判所職員試験は80点満点ではなく、70点満点であるということです。他のメジャーな試験と違い、専門試験は30点満点ですから普段よりも10点低いんですよね。大阪では2/3とれてもボーダー付近であるわけですから恐ろしい事この上ないです

最後に念のために触れておくと、一般事務試験では六法の持ち込みは禁止されています。そこまで専門的なところは出題されないとは思いますが、普段六法を使用しながら勉強していたりしている方は念のため注意です

今回はここまでにしようと思います。裁判所職員試験は自分が受験した試験では一番疲れた試験でした。頭は疲れるし手は疲れるしで、試験が終わってぐったりしたのはこの試験ぐらいです(´· ·`)
受験を考えている方は前日はしっかり休んで受験してくださいね!
ここまで読んでいただきありがとうございました

2020/4/7追記
試験の延期が発表されました。延期日程は現時点で未定です
なお、申込期間は一旦4/9までだそうです。その後追加の申込期間が予定されています
2020/5/19追記
変更後の試験日程が公表されました。ご自身でご確認ください
2020/10/30追記
最終合格が出ました。あまりにも倍率が低く、驚いております。
2020年は国家一般と被ったことや、コロナウイルスによって試験日程がかなり後ろ倒しとなり受験生が減ったものと考えられます。
今後受験を考えている方はこの倍率が続くとは思わずに勉強されることをおすすめします。
札幌  435→51→42→46→18 (2.8)
仙台  767→99→74→65→41 (2.4)
東京  4870→1010→794→740→514  (2.0)
名古屋  1460→197→165→142→88  (2.2)
大阪  2007→358→283→276→171  (2.1)
広島   752→90→60→57→38  (2.4)
高松 593→70→48→37→15  (4.7)
福岡  1900→260→172→156→85  (3.1)
合計  12784→2135→1638→1519→970  (2.2)
(左から順に 申込者  1次受験者 1次合格者  2次受験者 最終合格者   倍率)
※総合職の特例を利用して受験している人も含むため、人数が増えていることがあります

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