英語保育の投資価値

小学校で英語教育が導入されたことにより、教育業界がここぞって参入したのが英語保育である。国際社会で生き抜く力、グローバルな環境、英語で可能性を広げようなど保護者の好きそうなキャッチフレーズで広告している。クラスの担任も日本人と外国人が一緒に担当することで、バイリンガルな環境で保育を行なっていることをアピールする幼稚園もある。米国のプレスクールで働いた経験のある私から見ると、保育現場で英語取り入れること=グローバル教育ではない。英語保育とグローバル教育を混同する保護者が多いが、英語保育とはその言葉通り日本の保育現場で英語を使って子供に指導しましょうという早期英語レッスンである。

(1)実用英語技能検定(英検)の合格率を売りにする英語保育

私の知る限り英検が価値を持つのは、国内で受験する場合に限定される。海外の学校へ進学を希望する場合は、基本的にTOEFLiBTやIELTSのスコア提出が必要になってくる。国内で就職する場合は、TOEICのスコアを求める企業が多い。英検対策を売りにしている保育機関は、そもそもグローバルな将来を意識していない。

(2) 言語の臨界期を恐れなくてもよい

言語の臨界期はおよそ12歳~13歳であり、早く学習すればより効果が表れやすいと言われている。しかし、私が渡米したのは13歳の頃であるが英語を習得することに限界を感じなかった。高校生の頃にはAP English (大学レベルの文学)を履修し、単位を得ることができたので学業においては特に不具合を感じなかった。発音は英語圏で問題なく意思疎通ができるレベルである。英語の発音特有の『LとR』の違いが正しく発音できることに特にメリットを感じたこともない。

(3)未就学児の話す内容

英語・日本語を問わず未就学児の多くは、高度な言語能力を持ち合わせていない。表現も稚拙であるし、論理的な思考回路などを身につけるのはまだまだ先である。英語であろうが日本語であろうが、幼稚園で学んだことを覚えている人はどれくらいいるのだろうか。生活に必要な語彙は身についていても、抽象的な概念を理解したり、教科の学習をしたりというような高度な言語活動を行うことは難しい。

(4) 講師の質

フランチャライズ系の英語保育の場合、保育に適さない外国人講師が多い。英語で求人広告を見てみると、要資格として挙がられているのは(1)高卒以上、(2)1年間契約、(3)柔軟性がある人、というレベルである。母国で保育士資格を有していることや、幼児教育を学んでいることを条件にはしていない。

以上の理由により、英語保育に月額10万前後を投資する価値はないと考える。




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