八月も後半に差し掛かってきて暑さも少し落ち着いた感じはあるが、しかし今年の夏は凄まじい。とんでもなく暑かった。もう一回ぐらいとんでもなく暑いの来るのかな。晴れた昼に自由意志で外に出るなんて、まずあり得ないぐらい暑い。
テレビをつけると、そんな暑さのなかで高校球児が甲子園球場で野球をしている。しゅごしゅぎ。野球のうまさどうこうより、暑さへの耐久力にまず敬意を表したい。その上で野球のうまさも讃えたい。あんなに速く球を投げれて、あんなに球を遠くに飛ばせて、格好良い。

ゆずの夏色に「駐車場のネコはアクビをしながら」なんて歌詞があるが、発売から二十年以上経った今や全く歌詞に共感できない環境になってしまっている。ホットプレートのように熱を帯びたコンクリートの駐車場にネコなんてまずいない。仮に存在したとして、そこでアクビをかましている暇があるならせっせと日陰を探した方が良い。健康は情緒よりも尊い。

俺は見た目の通り暑さに弱い。例年、すぐに夏バテをする。食欲が失せる。冷たい麺類で食事を済ませようとする。お腹を壊す。生気が損なわれる。
それではいけないと今年はしっかり米を食べて、毎日熱中症対策の飴をなめまくったりポカリを飲みまくっていたりしたのだが、それもなんだか身体が糖分を摂ることに慣れすぎて低血糖症という、なんかあんまり良くない状態になるらしい。イライラ棒をやっている気分になる。右にも左にも上にも下にも行き過ぎてはいけない。健康、実に手に入れ難い。

時たま低気圧がやってきて三十度を下回るような日が来る。それはそれで夏の終わりが始まってしまったような感じがして少し寂しい気持ちになる。夏が終わると秋が来ちゃって、“秋が来たな”とか思っているとあっという間に冬になって、冬になると年号が変わってしまう。

お笑い的には漫才をやっている人もコントに精を出す人もでっかい賞レースの時期だ。連日誰かが勝ち上がったり負けたりしている。
この時期、“◯◯が仕上がっている”なんていうことをよく耳にするけれど、“仕上がっている”というフレーズがあまり好きではない。何がどう面白かったのか、ちゃんと言葉にするぐらいはした方がいいと思う。"仕上がっている”なんて楽なフレーズで処理することなく。
“サイコパス”や“エモい”、“世界線”などの、キモ言葉たちと同じ棚に入れて、使用禁止のテープを貼っておく。
そして俺は、笑み磁力をためていく


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