熱狂のサン•マメス  二強食いのアトレティック・クルブ

国王杯 アスレティック・ビルバオ vs レアルマドリード

1.アトレティック・クルブのプレッシング

 序盤、アトレティックは、ハイプレスを仕掛け、ム二アインがサイドバックのルーカスバスケスまでスプリントでプレスをかけることもしばしばあった。ム二アインを上げた4-3-3に可変するシーンは、バルセロナ戦ほどなかったが、特に前半後半の序盤は一時的にその形も見られ、サイドに圧縮し積極的にはめに行く場面も見られた。しかし、マドリーのプレス回避、カウンターを警戒し、4-4-2のブロックの3ラインをコンパクトにセットする場面も多く見られた。

2.マドリーのプレス回避

マドリーのプレス回避はとても上手く、モドリッチ、クロースはやはり圧巻だった。2トップの脇からマドリーは侵入する。サイドバックのアラバを上げ、クロースが下りる。上がったアラバは内と外をうまく使い分け、ヴィ二シウスは、基本サイドに張る形であった。モドリッチもサイドバックの位置まで下がりビルドアップに加わる形もあった。特にマドリーの右サイドは、ム二アインのハイプレスを受ける。そこでのルーカスバスケスのプレス回避、そこでのモドリッチのサポート、うまく縦に配置をとるなど見事だった。また、この試合ではゼロトップ、ファルソネーべを採用しており、前半であればアセンシオが中盤まで降りてビルドアップを助けるなどプレス回避が行われた。また、この試合で多く見られたのは、大きなサイドチェンジである。マドリーは、この大きなサイドチェンジをいつもより多く行っていた。同サイド圧縮でプレスをかけるアトレティック対策としての狙いが見られた。

3.ベンゼマ不在、マドリーの攻撃

マドリーは、ハイプレスをかけることなく4-1-4-1のセットである程度、相手を引き込んでカウンター狙い。今回は、ビニシウスのコンディションがあまり良くないように見えた。裏へのランニング、カウンターのチャンスを多くは演出できなかった。マドリーは、押し込んだ時も相手のディフェンスラインより前でボールを回すことが多くなってしまった印象である。裏への飛び出しが必要だったように感じる。後半に投入されたイスコも攻撃で違いを出せなかった。ロドリゴ、アセンシオはカウンターの中心となったが決定的な仕事、大きなチャンスを作り出すことはできなかった。カゼミーロの二列目からの飛び出しは決定機に、後半87分のルーカスバスケスの背後へのランニングはチャンスになりかけた。やはりベンゼマ不在は、大きかった。ベンゼマは、ビルドアップにも関われる、最前線のターゲットにもなれる、決定的な仕事もできる、今のマドリーには、欠かすことのできない存在だろう。アザール、ベイルは出番もなかった。本来ならこの二人が違いを生み出せるはずである。今のマドリーはベンゼマ、ヴィ二シウスのセットなのか。

4.アトレティック・クルブの攻撃と狙い

前後半の序盤は、ハイプレスに出て、高い位置でボールを奪いショートカウンターを狙う。4-4-2のコンパクトな3ラインでセットし、マドリーにスペースを与えず、待ち構えて、引っ掛けてム二アインを起点とし、イニャキ、ニコウィリアムズのスピードを生かしたカウンターを狙う。チャンスも作り、押し込む展開も多かった。最終局面でのマドリードの見事な守備に阻まれた。最終局面でのマドリー守備陣の対応は上手いの一言である。その中でも、無失点に抑えた中で、終盤、押し込んだ中で相手のパスミスからゴールへとつなげた。勝利したアトレティックは、バルサ、マドリーの二強を倒す形となった。


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