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武田一成「のぞき」

ラピュタ阿佐ヶ谷で、武田一成「のぞき」 脚本は磯村一路。

箱入り娘(井上麻衣)が帰省したら、遠い親戚と名乗る男(北見敏之)が美女(泉じゅん)を連れて居候。ママ(中島葵)は若い男(坂田祥一朗)と浮気してるがパパ(鶴田忍)にも愛人(美野真琴)がいて、同居する7人が覗き覗かれ疑似家族は崩壊して、後に残された隠し撮りビデオにカタルシスの快感がサイコーの桃色人間喜劇。

ズバリ、テーマは「人のセックスを覗くこと」AVという新兵器の荒波に呑まれたロマンポルノが考えた一矢だったんだろうね。ホンを磯村一路が担当してるだけでなく、冒頭とラストの劇伴とか獅子プロの滝田洋二郎作品でお馴染みだし、構成も新東宝のピンク映画を観てるような感じ。

ホン自体は書き込まれて良くデキてると思うの。問題は演出方法だわね。映画内劇団みたいなのは藤井克彦が散々演出したけども、ネタバレは少なくとも中盤までにはしておかないと観客が置き去りにされちゃうのよね。そういう意味では観客は残り5分まで訳ワカメなもの見せられちゃう。

だから武田一成という監督名だけ聞いて撮影所作品のようなものを想像すると全く違う。井上麻衣を全面的にフィーチャーして脇役に泉じゅんと美野真琴と中島葵を配した、女優4人の濡れ場を堪能せることを目的に制作したこれはまさに成人映画。モンスターのような登場人物のことは意識しない!

まだ世に出て間もない当時33歳の俊英の磯村一路がホン提供してロマンポルノのベテラン53歳の武田一成が演出した、ロマンポルノとピンク映画がステキなコラボしたチャーミングな逸品。成人映画館は同じ映画を一日中観られることを逆手に取った「プレイバック演出法」を取ってますw

磯村一路の着想は恐らく「ヒロインの井上麻衣は山口百恵のそっくりさんだ」→「山口百恵と言えばプレイバックPARTⅡだ」→「小沼勝の「妻たちの性体験 夫の眼の前で、今」はタイトルが面白いからパクっちゃえ」の三段論法から導き出したであろう、遊び心が一杯の「巻き戻し」

ザックリ言えばポルノ界の百恵ちゃん井上麻衣が「今の言葉、プレイバック!プレイバック!」ビデオ会社に売り込んで裏ビデオ「娘たちの性体験 父の目の前で」を実家で隠し撮り、商品の目玉は娘思いの父親が麻衣のFUCKを覗いてびっくり仰天する顔!というブラックコメディ。

この作品が凄いのは、ラスト5分のカタルシスがスゲエとんでもオチを観ないと映画の内容が良くも悪くも判然としないこと。麻衣の父親役を演じる鶴田忍はとぼけた顔して最愛の娘である麻衣にどっきりカメラを仕掛けられてにまんまと騙されてしまった姿はサイコーに面白い(笑)

麻衣は大学進学で故郷の埼玉県狭山市から上京。父親の鶴田は発明家気取りの趣味人で生活力が無いダメオヤジ。でも若い愛人の真琴は持っているw母親の葵は夫の鶴田に愛想を尽かしながらも鶴田と仮面夫婦を演じていて若いツバメの坂田と浮気している危うい家族。

冒頭、麻衣はヒモ男に愛想が尽きて、荷物をまとめてアパートを出ようとするが「ちょっと待って!」と言い、その男と最後の一発(笑)ここがネタフリと、気づかなければなりません。麻衣ちゃんは百恵ちゃんのそっくりさんで「ちょっと待って!」と言えば、この物語は「プレイバック PARTⅡ」だとw

麻衣は西武鉄道の中で、髪型を変えて口紅を落として狭山市駅に到着。茶畑を進むタクシーの中、大胆にも裸で生着替え「なんちゃって女子大生」に変身。そして、両親(鶴田と葵)の前に現れる。麻衣が仕組んだ、優しくて単細胞な(笑)父親の鶴田を罠にハメるための、えげつないゲームが、これから始まるのだ。

鶴田は最新の発明商品として「シバオケ」を考案。これは「カラオケ」の芝居版で、葵と古臭い三文芝居をする。これが強烈な皮肉で、麻衣はへたくそな鶴田と葵の芝居に「くっくっく」と腹の中で笑っている。素知らぬ顔で互いに浮気している両親に、目にもの言わせてやりたいのだ。

鶴田はいい歳して、非常に純朴な男なのでwトイレで大をしている麻衣のお尻を偶然覗いたり、風呂に入ってると麻衣が背中を流しに入ってこようとしたり、とても実の父娘関係とは思えない、異常な麻衣のアプローチに胸をときめかせる。一方、葵は仲間外れになり、ふてくされた。

ここでまず、謎のカップル(北見敏之と泉じゅん)が登場。勝手に家に上がり込んで「福岡の叔父さんに話を通して、ここに居候しに来た」と自己紹介するが、鶴田も葵も全く面識がない。でも、北見が「博多名産の明太子」を机にドン!と置き、何となく二人とも納得(笑)こうして、麻衣、鶴田、葵、それに北見&じゅんの奇妙な5人生活が始まった。

北見とじゅんは、居候のくせにw夜は激しくFUCK。北見がチンコを根元まで埋め込むように、じゅんを正常位で足を折り曲げてFUCKするど迫力!なぜ、こんなにド迫力なのか?自体もネタフリになる。これはポルノ映画として秀逸!そんな濃厚FUCKを覗いてしまった葵は思わず(;゚д゚)ゴクリ…

鶴田が浮気している真琴は、水商売風の女で背中に刺青シール(笑)を貼っている。彼女のFUCKもどエロくて、これもネタフリw一方、葵が浮気しているのは息子ほど歳が下の坂田。彼は母親がいなくてマザコン、葵に甘えたかった。鶴田も葵も若い肉体が欲しいだけ、なのは一緒だ(笑)

夜になると、北見は鶴田に思わせぶりなことを言う「あの二人、ひょっとして?」それは、麻衣がじゅんと百合の花を咲かせていることを意味し、二階の麻衣の部屋でホントに熱くレズFUCKしていた(笑)窓は開けっぱなし。北見は鶴田に「覗きに行きましょうよ」と誘うが、鶴田は断った。

鶴田にとって、麻衣は可愛い一人娘で、真面目に大学生活を送る優等生の処女であった。上京して独り暮らししているが、経営学を専攻していて家に帰ってもドイツ語の学習。そんな麻衣が、まさかそんなふしだらなことをしているはずがない!鶴田はどこまでも親バカだったのだ(笑)

ここに、鶴田の愛人、美野真琴が勝手にやって来た。厄介者がどんどん増えて、これで鶴田家は6人に!鶴田は愛人の存在を葵に気がつかれないか、ドキドキするが、葵は何も言わない。そもそも、彼女も浮気しているからだ。夜、鶴田が庭で煙草を吸っていると、真琴から悪魔の囁きがw

真琴は鶴田に「麻衣さん、北見さんとヤッてるわよ、覗きに行きましょう」鶴田が二階の麻衣の部屋を見ると、確かに二人の人影が!でも、勇気がなくて行けない。結局、真琴は一人で屋根にはしごをかけて(笑)麻衣と北見のAV並みにどエロいFUCKを覗き、思わず(;゚д゚)ゴクリ…

ここで、さすがに鈍感な鶴田も「麻衣のやつ、東京で何してんだろ?」と少し不思議に思い始めたwその頃、葵は坂田と浮気していた。翌日、鶴田は麻衣にお見合いの写真を持って来た。何と写真の男性は坂田なの(笑)葵が「非常識です!」訳ワカメな取り乱し方をするのワロタw

坂田も家にやって来た。もう鶴田家は7人に膨れ上がって(笑)葵は、浮気相手が同居して「まっずー」鶴田は、更に厄介者が増えて、しかも麻衣の婚約者なんて「くっそー」物凄く気まずい空間にwそれをかき消そうと、真琴は食材をたくさん買い込み、自宅でバーベキュー。これは「坂田に精力を付けて欲しい!」という意味合いもあった。

どこまでが麻衣の作戦だったのか、アクシデントも重なった可能性はあるけどwその晩、早速、麻衣は自分の部屋で、坂田と婚前交渉を始めた。北見とじゅんが、鶴田の前で「坂田君、麻衣さんに結婚する前にいろいろ教えてあげなくちゃいかんなあ」とか、思わせぶりに言った後に、部屋を変えておっぱじめたw

もう辛抱堪らなくなった鶴田は、真琴がさりげなくそのままにしておいた(笑)はしごを登って屋根に上った。そして、窓から覗いたのは、麻衣が坂田と激しく抱き合い汗をびっしょりかいて悶える眩暈がするような痴態!麻衣は、坂田にガンガン突かれながら目を丸くして驚く鶴田を眺め「よし、良い画が撮れたわ!」ですってw

鶴田は、麻衣が坂田に抱かれ悶えている淫らな痴態に我慢しきれず、部屋に怒鳴り込んだ。坂田は驚いて麻衣から離れると「スミマセン!」と渾身の土下座wでも、鶴田も負けじと、それ以上に渾身の土下座(笑)「女なんかよりも、妻子持ちの男なんかよりも、君みたいな若い男と結婚して欲しいんだ。ふしだらな娘だがよろしく頼む!」

その瞬間、それまでイタズラ心丸出しでヘラヘラしていた麻衣は、少しだけ神妙な表情に変わった「お父さん、私のことを、そんなに大切に思ってくれていたのね!今のお父さんのステキな言葉、もう一度、プレイバック!プレイバック!」でも口には出せない。ビデオカメラを回してるからだ(笑)

麻衣は、仮面夫婦のウソつき両親に対する復讐、ちょっとした火遊び、そして高額のバイト料になるステキなビデオ撮影に成功、実家にはもう用無し。東京に帰る西武鉄道の中で、いつもの(笑)濃い口紅にデートクラブ用の派手な服に着替えた。鶴田は麻衣の素顔に気づいてさえいないw

二か月後、北見が鶴田家に再びやって来た。ブラウン管の前で、鶴田と坂田が正座している。葵の姿は見えない。これ、どういう状況でしょう?実はこの映画、ここからプレイバックするのです。これからブラウン管に映る一本のポルノビデオ、これがストーリーをプレイバックしていくw

すでに覚悟を決め俯く鶴田に、北見が話しかける「最近はビデオも刺激的じゃないと売れないんですよ。そこに、麻衣さんから、私のストイックで娘想いの父親が面白いって聞いたもので・・・」ブラウン管に映るビデオのタイトルは「娘たちの性体験 父の目の前で」主演は井上麻衣(笑)

ビデオを上映しながら得意げな、ビデオメーカー社長の北見、悔しそうにビデオを見つめる鶴田、「麻衣ちゃん、可愛かったなあ」と呆ける坂田。芸達者な男優たちのスリーショットにワロタwビデオの中で、麻衣はじゅんとレズFUCK、北見とFUCK、そして坂田とFUCK、でもハイライトはここから。

ビデオの中で坂田と激しくFUCKする麻衣。カメラが窓の外を向けると目を丸くしてびっくり仰天する鶴田の顔のドアップが!完成したビデオは空前の大ヒットで(笑)坂田は思わず「せめて、このビデオを記念に下さい!」必死で止める鶴田。北見が「何本でもありますから、買って下さい」とパッケージを見せた。

結局、鶴田は箱入り娘だと自分だけが思い込んでいた麻衣にすっかり騙され、妻の葵にも去られて、がっくりと肩を落とす寂しいヤモメ。その頃、麻衣は絶好調でブイブイ言わせて同僚の真琴とデートクラブで張り切って、「なんですっぽかしたんだ」迫るどっかのパパにタカビーな態度でパパ活を続けていた。

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