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城定秀夫「池袋ヤンキー戦争」

城定秀夫「池袋ヤンキー戦争」

埼玉から父親を半殺しにして、ブクロに出てきたヤンキー娘(朝日奈あかり)が、ブクロの最強チーム「スカルス」と知り合い、リーダーと恋におちる。敵対チーム「ブラックフィア」を地元ヤクザがケツ持ち、最終戦争に突入。ジャンルものと思えないwまったり楽しむ娯楽映画。

ストーリーは任侠もので、もう1万回は使われたのではないかと思うほど、ありふれ過ぎた定番なるも(笑)城定さんは、ここに脱力系の3つの主題歌を付けて、ヤンキーvsヤクザの暴力系映画をほのぼの映画に変えてしまうマジック。相当、クレームも来たんだろうな(^^;

最大のモチーフはヤンキー朝日奈あかりがブクロで知り合うイケメン恵美秀彦率いる「スカルス」がヤクザのケツ持ちを受けてヤクを取引する「ブラックフィアー」を叩きのめすレジスタンス。その象徴がアメリカの愛国歌「ヤンキードゥードゥル」

この歌は、アメリカ義勇軍が大英帝国軍との独立戦争において「アメリカ独立」の目標に向かって国民を奮い立たせた歌であり、本作においては、日本において「池袋独立!」ブクロのヤンキーたちを奮い立たせる歌なのである(←全然、違いますってw)

ラブホのカラオケで友田彩也香が信じられないほどの音痴(←ジャイアンかよw)で熱唱する、おなじみ「恋のヨーグルト」あかりは眉間に皺を寄せながら、聴いているw

♬アナタが来るの ワタシに来るの 贈り物のようです ワタシに来るの 手紙が来るの ワタシ今日から恋人♬恋のヨーグルトのサビ ♬フラれた日には 傘もささずに 泣かせてほしい 恋のヨーグルト! ワタシ今日から恋人 うすめた恋でもっともっと うすめた分も 飲ませて欲しい 愛のヨーグルト♬

改めて歌詞を書き出すと、どエロいな、この歌詞!でも、彩也香はここでFUCKはしないw

埼玉から池袋に出てきた、ヤンキー娘の朝日奈あかりが体験する、めくるめく日々のテーマソング「ビックカメラの歌」本店は池袋だ(笑)♬不思議な不思議な池袋~東が西武で西東武(にしとうぶ)高くそびえるサンシャイン♬あとはハミングで、さすがに、映画内で「ビックカメラ」の固有名詞は歌わない(笑)

この映画の最大のツッコミどころ、それは主人公のはずのイケメン「スカルス」のチームリーダー恵美秀彦が、あまりにもあっけなく噴水公園で犬死にすることw、ヒロインのはずの朝日奈あかりがラストで怒りの導火線に火が付くのが、政治家の街頭演説wといおマヌケな展開(笑)

朝日奈あかりと恵美秀彦が主演のはずなのに結構ヒドイw扱いを受けるのと対照的に、友田彩也香は最初の出番こそ、本来は隠さねばならない歌唱力を暴露されるも(笑)その後は、彼氏でパチンコ好きの鈴木慶とカップルで悲喜こもごもを演じ、主役の座を奪い取る(笑)

全編、池袋でロケしてるか分からないけど(笑)舞台として池袋西口公園、しかも噴水広場がイイ味出してる。新宿の噴水広場と違って、他の映画にほとんど登場することがない、池袋西口の噴水広場だが、いかにも池袋らしい、というか、やっぱり埼玉の玄関口だなあ、池袋ってw

物語は、簡単に振り返るとwあかりは埼玉某市に在住のヤンキー。西武池袋線で(笑)上京する彼女の顔には返り血が付いていた。池袋駅に着くと、慌ててトイレで血を洗い流すが、その隙に「ブラックフィア」の連中にカバンをかっぱらわれるが、そこに「スカルス」参上!

この「スカルス」、ブクロで最強という割に、三人しか登場しない(笑)リーダーは恵美秀彦(こっから秀彦と呼ぶ)で「ブクロで喧嘩が最強」だそうだwそのマブダチ(←死語)でパチンコ大好きな色男が鈴木慶で、慶の彼女が友田彩也香、ここまで押さえれば、あとはもうOK!

池袋は怖い町だ。堂々と麻薬が取引され、レイプや暴行事件は日常茶飯事、街は家出少年少女で溢れ、政治家は明るい街づくりを演説するが、警察は機能していない・・・っておい!池袋の人に怒られるぞ、マジでwというくらい荒唐無稽な設定なのです。いいですか、池袋の皆様w

スカルスの面々は、機能しない警察に代わって、ブクロの自衛組織として大暴れ、ブラックフィアのヤク取引現場を次々と襲撃する(←なんの得があるんだよw)喧嘩が鬼のように強いあかりはコミュ障のように口を開かない。なぜ?と優しくコミュニケートするリーダーの秀彦。

彩也香も自警団をしている。援助交際を持掛け、スタンガンで男を気絶させ有り金を奪い取る。それは、売春しながら彼女を育てた母親を思う、彼女のレジスタンス(←やっぱ、ダメだろw)あかりも誘われ、ラブホにリーマン(吉岡睦雄)を連れ込むが、悪夢を見ることに。

それは、彩也香が極悪非道な手口で吉岡から金を奪ったことではなく、カラオケで彩也香の破壊的に音痴な「恋のヨーグルト」を聴いたことだった。その歌によって蘇る悪夢(笑)それは、血が繋がっていない母親(鏡麗子)が再婚した継父で元ボクサーからの、非道な暴行。

あかりの回想シーンがスゲエ。なにがスゲエって、女子高生を演じるあかりが32歳、その母親を演じる麗子が40歳。8つしか違わねえwだから、あかりは麗子の亡くなった夫の連れ子という、複雑怪奇な設定になってる。だから、父親はあかりに容赦なくハードパンチを繰り出すw

あかりは継父にレイプまでされ、対抗するためボクシングジムに通った(←やり方、間違ってるだろw)そして、酔っぱらって酌を要求する継父を殴り半殺し「いいパンチだな」と言われたが(笑)取り乱す麗子など放っておいて、西武池袋線に乗って、ブクロに出てきたのだ(笑)

彩也香も慶も、家庭に居場所が無く、ブクロに出てきた。彩也香には「私は川口でも所沢でもない、赤羽から出てきたのだ」という、埼玉県民を見下すような変な自信があったw彼女は慶と同棲、援交強盗しながらヒモの慶を養い、そこに行き場が無いあかりも転がり込んだ。

麻薬取引に失敗し大損したブラックフィアのリーダー江川武蔵は、ヤクザの組長に上納金が払えずメンツ丸つぶれ。彩也香を拉致し、シャブ漬けにし、レイプしまくる。一方、あかりは秀彦に優しくされ、どんどん心を開き、「ビックカメラの歌」を口ずさんで、すっかりブクロの街が気に入る(←確かによそ者に優しい街だと思う)

憧れの秀彦とのデート、別れ際、秀彦はあかりに言った「また、花見に行こうな」でも、彼との楽しい会話は、ブラックフィアにより途絶える。廃人となった彼女は帰宅するが、パチンコに夢中で変化に全く気付かない慶は、もはや理解不能な自己中の変人でしかないw

一方、あかりは秀彦に優しくされ、どんどん心を開き、「ビックカメラの歌」を口ずさんで、すっかりブクロの街が気に入る(←確かによそ者に優しい街だと思う)憧れの秀彦とのデート「もう一回、花見に行こうな」でも、彼との楽しい会話は、ブラックフィアにより途絶える。

江川は「よし、こうなったらリーダーに払ってもらおう」秀彦のスマホに着信、これで彩也香がブラックフィアに拉致られてるの初めて知るって、おかしいだろ絶対(笑)でも、まあなんとか、ブラックフィアに捕らえられた彩也香を見て呆然とするスカルス、という画はできたw

慶は喧嘩が弱いが、秀彦とあかりはメチャ強いので、10人以上いたブラックフィア全員を倒してしまう(←ブラックフィア、弱すぎw)江川は血まみれになりながら憎まれ口を叩く「お前の命、もうねえよ!」ここで、秀彦怒りの鉄拳、江川をぶん殴るが、それにどんな意味がw

彩也香はシャブ漬けにされボロボロにレイプされ、そのまま入院し死期を彷徨う。看病する慶は、ようやく今になって自分の過ちに気づき(←もう遅いよw)「俺の実家は和菓子屋なんだ。継ぐつもりなんだ。一緒に来てくれ」でも、彩也香の心臓は止まる寸前で、ドキドキ。

秀彦はあかりに「俺、ちょっと疲れたよ、今日はもう帰る、じゃあな」(←全部、慶のせいだってw)あかりはこれまでの強がりと一変、女の顔になり「独りにしないで」秀彦も「独りになんか、するもんか」二人は舌を絡め合う濃厚なベロチューをしたまま自分で服を脱ぎ、狂ったように激しくFUCKした(←この場面の朝日奈あかりはどエロい!)

秀彦は、スカルスがブラックフィアだけでなく、地元のヤクザまで敵に回したことに責任を感じていた(←いやいや、おかしいだろ、ヤク没収して良いことしたのに、どうして警察はヤクザを野放しなんだよw)秀彦は「ちょっと出かけて来るから、待ってろ」と言い残し、部屋を出た。

秀彦のアパートにはヤクザが待ち構えていた。秀彦はヤクザを全員ぶちのめすと(←ヤクザなのに弱すぎw)事務所に単身乗り込んで、組長に渾身の土下座。でも組長は「お前、イケメンだな。女を集めて来てくれ」とスカウト。でも「仲間は売れねえ」拒む秀彦だが、ここはOKでも違和感ないだろw

ヤクザの組長が、事務所にあるのが不自然なwゴルフ練習場でクラブを振っているのがずっと気になっていたのだが、それは、このためにあった「俺は忙しいんだ、あと3秒待つ」でも土下座を止めない秀彦。組長はクラブを構えて「チャー、シュー、メン!」秀彦は撲殺されたw

池袋西口広場の噴水池に浮かぶ秀彦の死体。劇伴もヤンキードゥードゥルの、のんびりした感じに、この映画のジャンルを思わず忘れる(笑)そして、噴水広場に作った即席の「秀彦の墓」にお参りする、あかりと彩也香と慶。女優二人はともかく慶がピンピン元気なのが許せんw

秀彦は噴水広場で犬死にし(笑)彩也香と慶は和菓子屋を継ぐため去った。でも、あかりは一人、ブクロに残る「これまでだって独りで生きてきたから」彼女が池袋西口公園のベンチに座り黄昏ていると、後方の選挙演説が超うるさい「池袋を平和で明るい街にします!相川誠、相川誠をよろしくお願いします!」

鍛え抜かれたあかりの鉄拳が、豊島区長候補・相川誠を一発でノックアウトした。これで怒りの導火線に火が着いた(←なんで着くんだよw)あかりは、ヤクザの事務所にたった一人、鉄パイプを持って殴り込みをかける。次々と組員をなぎ倒し(←組員、弱いw)残るは組長のタマひとつ!

でも、卑怯な組長は、拳銃を取り出すと、あかりの胸を撃ち抜いた。あかりの脳内は真っ白になり、満開の桜の樹の下で、彩也香、秀彦、慶と四人で花見した(←スカルスって4人しかいないのかよw)楽しい日々が蘇って来た。そして次の瞬間、組長は頭から血を流し、死んだ。

これまで独りぼっちで孤独に生きてきたあかりにとって、ブクロで初めてできた「生涯の親友」でも、その仲間たちはヤンキー戦争の末、死ぬか、ブクロを出て行ってしまった。でも、あかりには初めて見つけた居るべき場所。ブクロでこれからも生き続ける。

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