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小沼勝「犯される」

シネロマン池袋で、小沼勝「犯される」 脚本は佐治乾。

宝石商の夫(花上晃)と戸建てで幸せに暮らす専業主婦(宮下順子)を付け狙う謎の男(堀田真三)は宝石密輸組織の一員。順子は男に無残に犯され、弾みで彼を殺してしまうが、肝心の宝石の行方が分からぬまま香港マフィアが登場、順子は愛する夫の裏切りを知った。緊張感が漲るサスペンス映画の隠れた佳作。

もはやポルノ映画じゃないよ、これ(笑)濡れ場が物凄く少なくロマンポルノではやや長尺の73分もあって火曜サスペンス劇場や土曜ワイド劇場を彷彿とさせるようなスリルとサスペンスに大興奮!でも成人映画館で観てるとちょっと場違いな気もしてwみんな映画が撮りたいんだなって思う。

小沼監督はミスターロマンポルノと形容していい、映画史上に名前の残る偉人だけど、サスペンスドラマは本来あまり得意じゃないのでは?と思う。本作は他の小沼作品に無いような歌謡ドラマ封印、変態性癖封印でオーソドックスに推理サスペンスドラマ撮ろうとして、いつもより気合入ってる感じ。

演出には色々と粗さも目立つんだけど仕方ない。本職と言えるのは香港マフィアのボスを演じる長弘くらいで、あとは雰囲気作りが重要。謎解きのように登場人物が何者なのかを中々明かさないことが作品の出来に功罪ある。どこまで行ってもこれはロマンポルノなので、工夫し過ぎたかも。

濡れ場が4回しかなくて、しかも全部レイプってスゲエ!専業主婦の宮下順子が犯される、スチュワーデスの水乃麻希も犯される(2回ずつ)。女優は2人しか出てこないし、麻希は途中で殺されちゃうから、後半はほとんどドラマ部分だけで濡れ場が全く無いのでポルノ映画の風上にも置けないぞ(笑)

小沼監督らしいのは、暴力と犯罪が支配する物語でも、メインプロットに据えるのは順子の夫に対する愛憎。冒頭では洗濯物干しながら小坂明子「あなた」を口ずさんでいた順子が宝石に目が眩んだ夫の裏切りを知り崖から夫を車ごと谷底に突き落としゴーゴー燃える炎を見つめながら「あなた・・・」

ラストで車を崖から突き落としゴーゴー炎上させる観客の目をハッと覚まさせる手法は西村昭五郎と藤井克彦の専売特許だと思い込んでいたのでwまさか小沼監督が!と思ったけど、この場面に信じて愛していた夫に酷い裏切りをされた順子の怒りの情念が込められてるのが一味違います。

日活がロマンポルノに転向する前の60年代の空気色濃い作品と思う。スタッフはずっとアクション映画とかギャング映画を撮り続けて来た訳で、こっちの方がお手の物なんだよね。凄く手堅く上手に撮れてるクライムサスペンス映画だけど、これをポルノとどう融合させるかが課題なのよね。

劇伴が異様に少なくてスクリーンを静寂が支配する。おどろおどろしい雰囲気に包まれる中で、でもロマンチックな劇伴が同じ旋律で4回だけ使われる。この「4回だけ」がミソで、順子が愛する夫に対する愛情が憎悪に変わって行く、デリケートな心情の転部をこの劇伴に託した気がする。

ロマンチックな劇伴が最初に流れ出すのは、順子がはずみで私を犯した宝石密輸犯の堀田真三を殺めてしまい、死体を戸建ての床に埋めてボロアパートへの失意の旅立ち。夫を信じるしかない、頼れるのは夫しかいない「あなた・・・」切実な順子の思いが旋律から溢れ出る、そんな感じ。

2回目に流れ出すのは、信じていたはずの夫がウソを付いてた。出張で家を空けるというが、職場に電話してみたら既に辞めていたというではないか。順子は夫をそれでも信じてみたいと思う。夫は新宿駅のホームで明日の3時に待つという。切ない心境に堕ちた順子の心模様を描き出す。

3回目に流れ出すのは、順子が化粧して着物を着て夫との待ち合わせ場所である新宿駅のホームへ向かう場面で。順子はこれから先、自分と夫の二人にどんな運命が待ち受けているのか、さっぱり分からぬまま暗中模索で電車に乗って東京を出ようとするけど、やっぱり夫を信じるしかない、思い詰め。

そして4回目に流れ出すのは、香港マフィアの登場で夫の悪事が全てバレ、しかも私に罪をなすり付けて自分だけ助かろうとする卑怯者。夫はクズ、本物のクズだわ。殺されそうになった夫の目の前で、香港マフィアと取引して自分は助かったけど夫のことは許せない。死ね!復讐のメロディなのだ。

ところで、ロマンポルノ的にはですね(これロマンポルノだろw)4回あるレイプシーンは暴力的に過ぎてあまり性的高揚感が得られない代わりに、濡れ場じゃないけど、スチュワーデスの麻希が身体のある部分に宝石を隠して密輸。それをヤクザな堀田が無理やり取り出す場面に興奮(*'▽')

女性が密輸品の宝石を機内で隠せる最も安全な場所、それはズバリ女性器!堀田は一刻も早く宝石を取り出したくて、モタモタしてる麻希を四つん這いにしてパンティを捲りアソコにグイグイ手を突っ込んで、出て来たのはなんとコンドームwwwその中にギッシリ宝石、ここエロいです!

冒頭、順子が思わせぶりに「あなた、あなた、あなた・・・」と三回呟いて、晴天の戸建てで洗濯物干しながら小坂明子「あなた」口ずさむ幸せの絶頂の瞬間。今から地獄に落としてやるぜ!とばかりグラサンかけた凶暴そうな堀田が、じっと順子を見つめてる「お前を犯してやる!」

堀田は順子がバスで買い物に出ると尾行までして怖くなった順子は夫の花上晃が帰宅すると即座に「気持ち悪い男が・・・」言いかけた途端に「まあ上がれよ」堀田を家に連れて帰って来る場面にワロタw堀田は花上に飲めない酒を無理やり勧めるし、順子にしてみれば「誰、この人?」

堀田は花上を酔わせて潰すと、順子に「あんたの旦那さんには借りがあるんだ」襲い掛かって無理やりレイプ!順子は犯されながら涙目で「あなた!」花上を見つめるが、恐らく花上が酔ったフリ寝たフリなのがいと可笑しw順子の頭の中に「あなた、一体何してるの?」疑惑が渦巻く。

宝石商の花上はスーツ姿でパリッと接客中、公衆電話の堀田から電話を受け「これから家に行くからな」国際線の飛行機からスチュワーデスの麻希が颯爽と降り立ち、堀田と一緒に順子の家に来た。何のためか?ここで麻希が股間のコンドームに仕込んだ密輸品の宝石を受け渡すのです。

堀田は以前、密輸でパクられた時、共犯である花上の名前を割らなかった恩義がある。でも堀田からコンドームに入った宝石を「ほらよ」と受け取った花上はこともなげにハサミで切って宝石を取り出し冷静に鑑定し始め、さすがに順子は「あんた、一体何なのよ?」疑惑は募るばかり。

堀田が宝石を取り出すため、パンティ脱がした麻希がエロすぎて襲い掛かってレイプする一幕など挟みつつw「ここは私の家だ!」順子の手前、いいカッコする花上が堀田に突き飛ばされ、生命の危険を感じた順子が夫のベルトで堀田の首をグイグイ絞め始めると麻希も協力、堀田はまさかの窒息死!

花上は「おいおい、殺すことないじゃないか!」予想外の展開に呆然。でも麻希の一言「堀田の死体を埋めてしまえば足は付かないわよ」に勇気をもらい夫婦の共同作業でスコップで家の床下に穴を掘って堀田の死体を埋め、足が付かぬよう戸建ては売り払ってボロアパートに引っ越した。

でもね、夫の花上が留守中、またもや順子をアパートの下の路地からヤクザ者がじっと見つめながら「お前を犯してやる!」不穏な雰囲気にぞっとする順子。家まで押しかけて来て「花上はいるか?堀田の件で話がある」とか言うじゃない!もう順子、怖くて怖くて堪らなくなります。

堀田の身元を追いかけるのは長弘をボスとする宝石密輸のプロである香港マフィア。麻希を捕らえると車に拉致、長が「お前の穴に宝石を仕込んだ者だ」自己紹介カッコええ!麻希が「堀田に宝石を渡してすぐ別れた」ウソばればれで、長は配下の二人に「可愛がってやりな!」非情のレイプ指令。

廃屋に連れ込まれた麻希はマフィアの鬼畜輪姦に遭うんだけど、その横でフライパンで目玉焼きを焼いて食ってる長の方が気になって仕方ないwww麻希はエンドレスレイプに耐えかね「堀田を殺したのは花上&順子夫妻」「宝石は夫婦が持ち逃げした」と口を割り、長は次の行動に出る。

長は密輸品のマリファナを巻きたばこにすると、レイプされているさなかの麻希に咥えさせ、ズタボロに輪姦された麻希を車の運転席に運ぶとマリファナでラリッて交通事故死に見せかける悪党ども!香港マフィアの手は、新宿駅のホームで待ち合わせる花上と順子にすぐに及びます。

順子が新宿に着くやいなやヤクザが待ち受けて追いかけ、花上がヤクザのワル知恵で順子が駅内放送で7番線ホームに花上を呼び出したことにして、そのまま拉致。長が順子にも声をかけ、そのまま車で香港マフィアに拉致られた花上&順子夫妻。花上の目の前で順子も鬼畜輪姦に遭う!

ゲスいマフィアが、純白のパンティ1枚で鎖で両手を天井から吊るされた順子のパンティの中に手を突っ込んで手マン、パンティを下ろしてアソコの匂いを嗅いだりじわじわと弄び、夫の花上が見ている目の前で犯し始めた「あなた!」涙目でレイプに遭う順子の腋の下フサフサ腋毛がエロい!

ワンワンスタイルにされた順子は、仁王立ちした男の股間に無理やりイマラチオされ、ビール瓶をシャカシャカ振った男が瓶の先をアソコにぶち込んで、前の穴も後ろの穴も塞がれる無残。なのに夫の花上ったら穴に落とされた私に「お前、感じてたんじゃないのか」この一言、頭に来たわ!

ズタボロに犯される順子に「絶対に口を割るな!」厳命した花上が長ボスの「次はちくわの輪切りだ」宣言の後にマフィアの一人がビール瓶をバリンと割った瞬間に「堀田の死体は戸建ての床下に埋めた」と白状したのがクズ過ぎるwww順子も「あんた、一体何なのよ」一瞬で夫婦愛も醒めたw

長ボスの最大の関心事は堀田の遺体なんかじゃねえ。宝石の在りかだ。シラを切る花上は「妻だ、妻の順子が隠したんだ」責任をなすり付けようとする人間のクズ(笑)でも順子は( ゚Д゚)そうだ!気が付くんだよね。花上は戸建てが売れたと言った。銀行の金庫に謄本を取りに行くのだと。

順子は花上が宝石を銀行の金庫に隠したことを悟った。でも、花上は香港マフィアの命令で「こいつを穴に埋めろ」命令されたのをいいことに、穴に突き落とした順子にせっせとスコップで砂をかけて生き埋めにしようとしてるではないか!もう怒ったぞ、順子の怒りがついに爆発した!

順子は長ボスに「宝石は銀行の金庫にあるわ!」果たして宝石はホントに銀行の金庫に隠されていた。立ち会った順子は長ボスに脅されながら銀行員の浜口竜哉にこっそり手紙を渡し「三時間後に封を開いてください」とメモ。長ボスは宝石さえ手に入れれば浜口と順子を闇に葬り去るのみ。

谷底に向かって停車した車の中に縛り上げられた花上が運転席。長ボスが順子を車に乗せて合流した。順子はここで「ちょっと待った!」取引を持ち掛ける。銀行員に全てあなたたちの悪事を書いた手紙を渡した。どう?ここで私を開放したら宝石はそのまま手に入る。ここで手を打たない?

長ボスたち香港マフィアは順子を残して去って行った。目の前には車で谷底に向かって石ころ一個を車輪の下に崖っぷちの「あなた」順子は悪あがきする花上を目の前に幸せだった結婚式の日の思い出を振り切るように、車止めしていた石ころをエイ!と外し、車はそのまま谷底に進んだ。

花上の恐怖に引きつる顔。谷底に向かって進む車。やがて車は崖から落ちてドンドンと谷底まで落ち、ドーンと大爆発して大炎上。崖の上から夫の花上ごとゴーゴーと燃え落ちる車を眺めながら、順子は「あなた・・・」と呟き、崖を歩いてそのまま立ち去って、やがて姿が見えなくなった。

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