城定秀夫「ネオン蝶 第四幕」

城定秀夫「ネオン蝶 第四幕」

主演の本宮泰風が男から見ても超カッコいい！原作漫画「ネオン蝶」のことなんかサッパリ忘れて、銀座の高級クラブ手毬（←あ、この店が一応、ヒロイン小松彩夏の勤務先ですｗ）の常連客政治家の息子・本宮が彩夏の父親・小沢和義と男と男の約束を果たし絶命する、いつのまにか任侠映画ｗ

やっと修行、いや、苦行の時間が終わった（←じゃあ、観るなよw）この映画、通して観た人って世の中にどんだけいるんだろう（笑）サトウトシキと城定秀夫がシリーズで連作しても、悪条件が揃うとここまでダメな作品になってしまうという、ある意味映画の怖さを実感するような作品だｗ

苦行の要因はヒロインの小松彩夏に他ならない。彼女は美形なのだが、およそ「銀座のナンバーワンホステス」というにはあまりにも演技が棒、というよりもへへへと半笑いの喋り方やいつもひきつったような表情がお葬式の参列者みたいで、銀座のクラブが湿っぽくなる（笑）

第三幕の時点で、既に吉沢健や小沢和義を投入し「手毬」軍vs「トレゾール」軍の仁義なき戦いへ大幅に舵を切った城定監督（←言い換えれば彩夏を見切ったとも言えるｗ）そして非情にも（←いや、観客にはむしろ有難いのだが）ホンモノ感がビシバシ伝わる本宮泰風の登場だ！

本宮泰風が彩夏に語り掛ける第一声が「お前、バカだろ」ｗｗｗもうスクリーン越しに緊張感が伝わってきて、彩夏ちゃんも「私、台詞ドジったら罵倒される(-_-)」マジでビビっている感じが、まあ可笑しいと言えば可笑しい。これは第一幕から通して観ないと味わえない感想ｗ

登場してくれなくても別に構わない今井メロは、本作での扱いは益々ぞんざいになりｗ「ネオン蝶ナビゲーターの今井メロでーす♡」でセクシー下着姿で第三幕の内容を紹介しただけでフェードアウト（笑）城定さん「ああ、良かった。これでメロは使い切った」感が丸見えですｗ

本作の飛び道具は上加あむで、自称「本宮泰風の婚約者」ホテルで下半身に節操の無いｗ本宮に抱かれ、眼鏡をかけたまま美乳を揺らして（←いや、ほとんど揺れないぞｗ）喘ぐのだが、まー眼鏡が似合わないのなんのって（笑）本宮もFUCKに身が入らず、途中で辞めちゃうｗ

城定さんは、彩夏に第三章で「いいか、君はソファの奥でじっと座ってればいいんだ」と言った感じだが、第四章はもっと極端で「いいか、この映画の主役は本宮泰風なんだ、君は邪魔するんじゃないぞ」（←よくよく考えれば、ひでえ）本宮の漢気演技が素晴らしく見ごたえある。

本宮が彩夏に「お前、バカだろ」と言ったのは、暗い夜道を歩くな、程度の意味だが、観客はそう取らない。お前、銀座のナンバーワンホステスってウソだろ、という意味に取った。本宮の檄を受けて、彩夏は自宅マンションで自習を始め、教養を身に着けるため映画も観るｗ

彩夏が本宮と一緒に映画を観るのは、何と上野オークラ旧館！映画のタイトルは分からないが、ラストで流れる「ケンタッキーの我が家(My Old Kentucky Home)」ケンタッキーフライドチキンのCMに使用されたことも含め、本作で一番大事なモチーフとして劇的に機能する。

本宮は彩夏に「お前、バッカじゃねーのｗ」「ホントにバカだな」彩夏は本宮にバカバカ言われ、本気で頭に来てしまうが、本当にバカなので仕方がない（←もう銀座のネオン蝶でも何でもねえｗ）本宮は戯れに彩夏に「おい、フライドチキン食いに行くか」と話しかけるが、実現せずに終わる。

第三幕では銀座内での抗争だった映画は、何と大風呂敷を香港まで広げます！冒頭で太極拳してる香港マフィアの王さんが映った瞬間「城定さん、ハードル上げすぎ！」と思うが、２丁拳銃の修士が「やべえ！王さんはやべえ！」と叫んだ瞬間、ハードルは思い切り下がった（笑）

ただでさえ風呂敷を広げてしまった手毬軍vsトレゾール軍の戦い。キャバクラ並みの低予算で銀座を席巻するトレゾールの経営者は彩夏の父親・小沢和義でママは母親・大島葉子。小沢に出資して資金援助した香港マフィアの王を登場させる魔展開に「この映画、どうなってしまうんだ！」

香港マフィアの王の狙い、それは銀座の夜のネオンを手中にすること。そのためには手段を選らばない。トレゾールビルを吉沢健から買収することに失敗したチンピラの２丁拳銃・修士は、上野オークラ旧館に連行され、香港マフィア王一味に「あたたたた」北斗の拳で殺されたｗ

こうなってくると、彩夏ちゃんは全然出る幕ないよ！な状況。トレゾールの経営者だったはずの小沢が、政治家の息子で手毬に出入りする本宮に「俺は酷い父親だった。成功しようと香港に渡り、王に騙されこのざまだ」本宮は「あんた、ダメな奴だな」男同士のツーショット！

決死の覚悟で王一味と会い、悪事を全部録音して警察に出頭しようとする小沢。でもこの作戦はバレ、殺されかけたところに銃を持って本宮が登場！王一味を撃ち殺すが本宮自身も胸に銃撃を受け、瀕死の状態。映画的にハイライトは、血だらけで彩夏に携帯で電話する本宮！

本宮は、夜空を見上げながら「ああ、月が綺麗だなあ」携帯電話の相手は彩夏、何も知らずに無邪気に応答してるｗ本宮は、死ぬ前の最後の一言を絞り出す「あの歌、歌ってくれないかな」（←この彩夏いじめ、やめろｗ）彩夏は携帯に向かい、恥ずかしそうにどヘタな「ケンタッキーの我が家」を歌い始めたｗｗｗ

本宮は、胸を血まみれにしながら、携帯で彩夏にキメ台詞を呟いた「フライドチキン、食べられなかったな」本宮は彩夏と映画館デートした時、ケッという顔をしながら、実は映画をよく見ていた。彩夏に「最後の結末で主役が死ぬのが良くないな」自分の死を予感していたのだ。

そして、放送事故になる前に彩夏の歌う「ケンタッキーの我が家」はフェードアウトしてｗ本来は彩夏が得意だったはずのフルートで（笑）「ケンタッキーの我が家」が劇伴に流れる中、本宮は胸から血を流しながら、キレイな満月を観ながら絶命。もう違う映画になってるだろｗ

でも、これじゃあ第一幕からずっと出演し続けた小松彩夏ちゃん、ちょっと可哀そうだなと思った城定さんは、最後にドン！ドン！ドン！とナイスショットを三連発。まずは、お馴染み平成ノブシコブシ吉村崇の登場（←終了間際まで全然登場しないからもう出ないかと思ったｗ）

吉村と彩夏は、夜の屋上で肩を並べて東京タワーを眺めている（←何だかお馴染みの光景ｗ）吉村は「俺、IT企業に就職したんだ」指さすビルがまんまスマホ（笑）吉村が魔法をかけると「SAKURAKO FLY！」のメッセージと夜に輝くネオン蝶が現れた！これがネオン蝶だったんだ！（←違います）

吉村に励まされクラブ手毬に出勤する彩夏。ビルの入口に死んだはずの本宮が立っている！でも、それは錯覚だった。彩夏が手毬店内に入ると、あいはら友子ママ以下、ホステス達が「おかえりなさい、桜子！」と笑顔で出迎えてくれた。彩夏のど緊張の撮影は、これで終わったｗ

このシリーズを通して観た感想。うーむ、撮影現場が殺伐としてたんじゃないか？これ。ベテラン女優さんとか、ヒロインの子が演技下手過ぎてマジギレしたんじゃないか？っていう雰囲気がスクリーンから伝わってくる感じ。出来ればもう観たくない（通して観ちゃったけどｗ）