見出し画像

藤井克彦「ズームアップ 暴行白書」

シネロマン池袋で、藤井克彦「ズームアップ 暴行白書」 原作は飯干晃一。 
脚本はいどあきお。

実業家(江角英明)と結婚し人気ラジオDJのタレント妻(風祭ゆき)は幸せの絶頂。暴走族にレイプされた翌日に夫の江角は海外出張に発ち、昔のレズ友(川村真樹)や本性を露にする家政婦(平瀬りえ)が彼女を追い詰める姦計の黒幕は誰?ミステリアス官能ポルノの秀作。

映画のモチーフは挿入歌として何度もリフレインする梶芽衣子「恨み節」ゆきが担当する深夜ラジオ番組「ミッドナイト・ティータイム」で世田谷区の18歳お手伝いさんが何度もしつこくリクエスト、それは実際に行われる復讐劇の予告なのである。

「恨み節」はゆきの軽快なラジオDJとともにまず梶芽衣子の歌声が流れるが、その後もイントロだけが何度もかかり、お手伝いさんの平瀬りえがゆきの目の前で思わせぶりに口ずさみ、やがては復讐劇がりえからゆきのものへと代わって行き、最後はゆきが口ずさむ「恨み節」

まごうこと無き風祭ゆきを絶対ヒロインに置いたアイドル映画で、彼女を中心に物語は回る、回る。レイプクイーンと呼ばれた彼女のいつ襲われるか分からないワクワク感と、いざ襲われた時にスレンダーな肢体を針金のようにしなってよがる様を堪能しこれは眼福の限り!

暴行がテーマだけど実際の中身はレイプ事件に端を欲したサスペンスでミステリー。ヒロインゆきの身になってみれば不思議なことが私の周りで次々と起きて、誰かが私を狙っている恐怖にガクブルと震え、その先には周囲の人物たちそれぞれの復讐の巻き添えになってる。

毎度のいどあきお脚本の強烈な風味が通俗ドラマに良くも悪くもボワーンとした彩を添えており、同時にゆきをできるだけ可愛く魅力的に撮ろうとしてるから制約が多すぎて演出する立場の監督は大変だよ・・・ボヤキが聞こえてきそうな状況の収拾はライフル乱射ですからw

同じいどあきおがホンを書いた黒沢直輔「絶頂姉妹 堕ちる」を思い出すんだよね。江崎和代と倉吉朝子の姉妹は姉が器用で朝子は不器用。翻って本作のヒロインのゆきは不器用でお手伝いさんから妻の座を奪おうとするりえの方が器用。だから観る者はもどかしさが募る。

でもね、器用に世の中を渡っていける女性をヒロインに置いたら全然、映画にならない。本作のヒロインである風祭ゆきがアイドル的に輝くのはちょっと鈍感で世渡りが下手で男に騙される、犯される、散々な目に遭う。こんなイイ女なのに可哀想、それが映画ってもんです。

これがデビュー作の平瀬りえとロマンポルノ以前から日活で活躍した川村真樹の年齢差は実に13歳。川村真樹が33歳で風祭ゆきが27歳で平瀬りえが20歳。三世代それぞれの女たちの置かれた状況、女なんておんなじよ!なんて言わないで。齢を取ると得るものと失うもの。

平瀬りえは社長令嬢に生れ落ちながら悪徳実業家江角により倒産の憂き目に遭い水商売を転々とした少女にも関わらず黄色のワンピースで「私の勝負カラーは黄色よ!」暴走族で箱乗り、ゆきの部屋を黄色のペイントで塗りつぶす傍若無人お手伝いさんの正体は復讐鬼だった。

川村真樹は女実業家で売れないタレントだったゆきが可愛い服と安定した生活を手に入れようとレズの真樹に近づき愛欲の同棲生活の蜜月の日々。ゆきの真意を知っていた真樹は20歳も年上の金持ちおっさんに嫁いだゆきにまだ未練たらたらなんだよね。

ミスタースリムカンパニーの河西健司はもう彼の十八番と言ってもいい黒のツナギに黒ヘル、黒ストッキング被って女を暴行する極悪非道の暴走族がヤンキーテイスト出てて、終始重くなりがちなストーリーの中にぽっかり明るさを添えてくれる本作では大事なキーマン。

忘れちゃいけないラスボス江角英明。ロマンポルノで彼のラスボスを何度観たことだろうか(笑)途中でニューヨーク出張で6日間も家を空けてその間に若妻ゆきはドイヒ~な目に遭い続けるからリアルに忘れてしまいがちなんだけど、コトの発端は全て悪徳実業家の彼。

今はメディアの多様化ですっかり影が薄くなってしまったラジオは1981年当時は若者からトラックドライバーまで幅広く愛されるメジャーな存在だった。ゆきは「ミッドナイト・ティータイム」という深夜番組で前口上は「君と私だけのミッドナイト」意味深な台詞だなあw

ゆきがラジオ局のスタジオでマイクを目の前にヘッドホンして「君と私だけのミッドナイト・ティータイム」宣言してからのリクエストは梶芽衣子「恨み節」ハガキは世田谷区在住の18歳お手伝いさんということで、ゆきも成功した実業家夫人として世田谷の豪邸住まいなのw

ゆきの夫の江角は商社を一代で大手にのし上げた、そのために悪どいことも散々した、クルーザーを所有して船室内で全裸のゆきをガンガン抱いて、ゆきは全裸で甲板で日光浴の後はパーカーを引っかけて颯爽と、でも江角が「ニューヨークに6日間の出張で先に帰るよ」

ゆきはクルーザーを降りると昔別れたレズ友で散々公私ともにお世話になった真樹が待っていてビビるwで、お茶して別れて当日の晩の番組に向かって車を走らせてると暴走族に取り囲まれバンバン叩かれて夜の埠頭に引きずり出されストッキング被った男たちに輪姦の惨劇!

気を取り直して「ミッドナイト・ティータイム」始めたゆきは最初のリクエストはがきがいきなり梶芽衣子「恨みます」にビビる(笑)で、疲れて帰宅すると無理やり江角が服を脱がせて無理やり抱き「疲れている時のお前は身体が柔らかい」とかラスボス感を漂わせるw

江角がニューヨークに発った途端に凶悪化する、これまでは従順だったお手伝いさんのりえ。勝手に部屋に彼氏の河西を連れ込んでガンガンFUCKしてる。激怒してゆきが問い詰めると河西はわざとストッキングを被って「見覚えない?」りえと顔を合わせてガハハ笑いだ。

ゆきが慌てて警察に電話しようとすると輪姦写真をバラバラと落として威嚇する河西。あんたのフェラが忘れらんねえ。喉元までチンコ咥え込む暴行現場のフェラの悪夢を尻目に河西に勃起チンコを口に突っ込まれ思わずバキュームフェラしてゴックンするゆきの正体とは?

ゆきはりえの正体を探ろうと聞き込み調査を始めるが喫茶店、パチンコ店だけじゃなくトルコ嬢も!ゆきは昔なじみのトルコ嬢を呼び出して訳を聞くとりえの父親は江角の会社が取引先で騙され破産させられ、親が蒸発し天涯孤独のりえは風俗嬢に身を堕としたのでした。

ゆきが帰宅すると、りえが自分の部屋の壁を白から自分のイメージカラーの黄色にペンキで塗り変えてるのワロタwゆきはりえを思わずビンタするがこれでりえの怒りに火が着いたぞ、暴走族の仲間たちを江角留守邸に呼びどんちゃん騒ぎ。ゆきは何が何だか訳ワカメな状況。

でも、ゆきが警察に通報しようとすると大人しくなるりえと河西。これは復讐のゲームなのだ。警察が介入したら終わってしまう。ゆきは困って昔のレズ友だった真樹の家を訪ねる。真樹は来た理由など百も承知。それよりも昔馴染んだ白い肌をもう一度重ね合いたい性欲。

真樹は3年前にゆきが江角と結婚前に家を出るラストの日のベッドで愛し合ったレズプレイのビデオを見せながら、服を脱がせて目の前にいるゆきの白い肌を堪能のレズプレイは股間を開いて顔を埋めてクン二から濃厚で、しかもビデオと現実が同時進行のシンメトリー。

コトが済むと真樹は白状する。あなたの夫の江角に頼まれて暴走族の河西たちを紹介した。あなただって私の店に勤めてた時に身体を売ってたじゃない。知ってたのよ。ゆきの持つ水商売の過去は夫の江角に一切を隠し、売れないタレントでスポンサーの庇護を受けたのだ。

河西たちにレイプされた時のネガを返して欲しいゆきは、交換条件として大金と身体を献上した。金は一瞬だが、FUCKはねちっこい。江角留守中のクルーザーに乗り込んでゆきの裸体を美味しそうに味わう河西さんずるいっす。俺と代わって!なうちに、江角が帰国した。

空港から自宅に戻る車を暴走族がガンガン取り囲み、ゆきの脳内にレイプされた屈辱の瞬間が蘇るが江角は平然(笑)帰宅するとりえがゆきの部屋を勝手に占領し江角にщ(゚Д゚щ)カモーン抱かれながら「私、父親を殺した人に抱かれてるんだわ」背徳のエクスタシーに喘ぐ。

りえを正常位で貫いている江角にゆきは堪らず叫んだ「みんな、グルだったのね!」でも平然と江角は言い返す「君だって同じだろ」( ゚Д゚)呆然とするゆきに「この屋敷に住みたいと思う奴は全員がグルなんだよ」りえの父親から江角が乗っ取った邸に群がるハイエナたち。

ゆきは江角とりえの不貞にワナワナ震えるがどうしようもない。そしてクルーザー内ではゆきが河西に抱かれ、りえが江角に抱かれるダブルFUCKパーティー開催。コトが済み、甲板でりえのケツを熱心に撫でている江角を鬼の形相で見つめたゆき、ライフルを構えて狙い撃ち。

ゆきは無防備な江角の脚に、腕に、胸にドン、ドン、ドンとライフルを撃ち抜き倒れ込んで弾が無くてもまだ撃とうとしてる。で、呆然とする河西とりえに「片づけといてよね。その位はしたっていいでしょ」プンと去って行く。そして行先は今夜もレギュラーラジオ番組。

ゆきはマイクを通してリスナーに語り掛ける「君と私だけのミッドナイト・ティータイム。今夜は趣向を変えて実体験告白をしてみたいと思います。最初のリクエストは世田谷区の18歳お手伝いさんからは来ていないけど梶芽衣子「恨み節」流れて壁の黄色い部屋映して「終」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?