城定秀夫「デコトラギャル奈美 感動!夜露死苦編」
城定秀夫「デコトラギャル奈美 感動!夜露死苦編」
大人気の「デコトラギャル・シリーズ」最終の第4作目。男手一つで育てられたデコトラギャルの奈美(吉沢明歩)には女子高生の妹・柑奈(葵野まりん)、亡き父・虎太郎(稲葉凌一)と離婚して今は人気の深夜ラジオDJの母・奈々子(佐々木麻由子)がいた。家族大団円で感涙必至の、極めて良質な娯楽映画。
この感想、勢いのままに書いてしまったので、前後関係いい加減だと思うけどw全ては終盤の怒涛の感動ドラマのためにある!とにかくラストが素晴らしい!シリーズ通して、ラストのハイライトシーンでトラックの荷台を使ったけど、本作だけはそれ以外にもう一つ最高の仕掛けがある。読唇術がなくても、すぐ分かりますよ!
最終作品にして、ようやく明歩がホントにヒロイン(笑)デコトラを転がすヤクザ者の父は奈美が幼い頃に離婚していて、ラジオDJをしていた母はトラック野郎に人気の深夜番組のアイドル、というか女神。ここに、母の離婚で奈美と生き別れの妹まで絡んで来る。全てがシリーズの総決算だ!
総決算と言いつつ、佐々木麻由子と葵野まりん(別名義が石原ゆい)は、本作が初登場。むしろ総決算なのは、これまで脇役で奮闘してきた、奈美との距離をなかなか縮められない菊雄(吉岡陸雄)運転手バカコンビから最後は漫才師に転身するwタカシ&コウジ(松浦裕也&中村英児)
吉沢明歩はシリーズ4作目にして、初めての二役。といっても、大半は「奈美」なのだが、トラック野郎にとって憧れの女神、漫才コンビに転身したタカシとコウジがラジオ局で直筆サインをもらって夢心地に浸るアイドル「吉沢明歩」で、まんま登場する!
モチーフは「テレビより、ラジオ」男なら黙ってラジオ、トラック野郎ならラジオを聴け!テレビ局のデコトラギャル取材なんか、まっぴらお断りだ!時代遅れかなんだか知らねえが、やっぱりラジオだろ!深夜ラジオ、私の世代はラジオに思い入れが強いw
奈美の母親が人気ラジオDJでトラック野郎たちのアイドル。という時点で、ラストがどんな終わり方か、シリーズ通して観てきた人なら想像できてしまう所が、実に( ・∀・)イイ!!これは「水戸黄門」なのだ。結末を分かりつつ楽しむ、娯楽映画の王道!
フィナーレを飾る感が強いので、終盤はもう、打ち上げ花火のようにドーン、ドーンと上がりまくる、感動感涙のご対面の嵐。実は、あっきーだけじゃなくて、吉岡睦雄だって中村英児だって松浦祐也だって、ずっと出演して、いろいろあった。ああ、ガミさんだけいない。寂しい・・・
デコトラギャルは、どちらかというと吉沢明歩が演じる奈美は物語の語り部(特に他人の恋愛譚)として脇で機能してきたが、今回ばかりは違う。奈美こと吉沢明歩は正真正銘の主役です!父よ、母よ、妹よ、恋人よ、奈美はみんな大好きです!もう全部まとめて、さらって終わります!
久保和明が撮影した12分のメイキング付き。あっきーが「シリーズ1~3の評判はどうですか?」と質問され「上々です。あ、城定監督のことじゃないですよ。あれ?怒ってますかね?キャー!」とか。もう、隣で城定さんがデレデレしてそうで、正直言ってムカつきます。デレデレしやがって(笑)
冒頭、テレビレポーター(ケイチャン、本作はけーすけ)が「デコトラギャルの取材に来ました!」これは禁句wトラック野郎もデコトラギャルも、テレビなんか観ねえ。黙ってラジオだろ!ということで(←なにが「ということで」だよw)深夜ラジオ番組「走れトラック!ラジオ深夜便」のDJ・奈々子はみんなのアイドル。
奈美も奈々子の番組の愛聴者の一人。でも、周囲にそのことを伏せている。一方、奈々子はディレクター(河野智典)が口説いても誘いに乗らない。一人娘の柑奈と二人暮らし「良い人でもいるのか?」そんな人はいない。奈々子が深夜ラジオにこだわる理由。それは別れた夫・虎太郎との夫婦生活のトラウマが原因だった。
夫の虎太郎はデコトラを転がすことに夢中で仕事一筋。ラジオDJをしながらも家庭を大事にしたい奈々子との生活は擦れ違い、二人は離婚した。虎太郎は「大きくなったら私、デコトラギャルになるの!」とミニカーで遊ぶ奈美を連れて出て行き、奈々子は生まれたばかりの妹・柑奈と二人で暮らし始めた。
奈美は虎太郎と父娘二人暮らしでずっと生きてきたが、虎太郎は死んでしまった。天涯孤独で生きてきた奈美だったが、母親の奈々子はもう一度、奈美に一目会いたい、きっと彼女はデコトラを転がしているはず!とラジオの深夜番組を、奈美一人だけに届けるつもりで、ずっと続けてきた。
タカシとコウジは、奈々子の番組の熱心なリスナーどころか、ハガキ職人だった。奈々子は「面白い、芸人になれる」と無責任なことを言い、二人はトラック運転手をしながら「ダブルトラッカーズ」を結成。でも、フリップで「こんなデコトラはいやだ」合いの手に「なんでだろ~」彼らのネタは全てパクリだった(笑)
菊雄は、どうしても奈美と一緒になりたい。ちょうど車検の更新で自分のデコトラが使えないことを口実に「その期間だけ、弟子にしてくれ」と荷物運びを請け負い、助手席に乗り続ける。夢よもう一度!と温泉の割引券を見せるが「バーカ」と相手にしない奈美。彼女には彼女なりの悩みがあった。
奈々子は娘の柑奈に元気がないことを心配していた。彼女は、担任教師(守屋文雄)と肉体関係になり、妊娠していた。柑奈は決心する。「お姉ちゃんに会いたい!」いじめられっ子の幼馴染・ヒロシを連れて、電車に乗る。毛更津青果市場(笑)で、やっと奈美を見つけるが、気が付くと柑奈とヒロシはデコトラの屋根の上w雨でビショビショになり、結局は奈美と菊雄、柑奈とヒロシの4人で温泉に宿泊することになり、菊雄はヒロシに「兄弟、チャンスだ、頑張ろうぜ!」
柑奈は奈美に初対面でいきなり10万円を無心「さすがにそれはねーだろw」と呆れるヒロシ。2部屋に分かれ、男と女の思惑が交錯する。菊雄は無理やり奈美に襲い掛かるが、おっぱい揉んだところまでで撃退される。隣部屋では、柑奈がヒロシの手を優しくおっぱいに持ってきて「いいのよ」でも、ヘタレなヒロシは何もできない。
疲れて眠り込んだ奈美は夢を見る。川べりのススキ野に、冷蔵庫と丸い食卓だけが置かれているシュールな光景。食卓には、妹の柑奈と幼馴染のヒロシ君が座っていて、お母さんの奈々子が炊飯器からご飯をよそっていて、父親の虎太郎は酒を飲んでる。奈美も食卓に座ろうとして、茶々を入れてきた菊雄にライダーキック。実際には揃うはずがないと思い込んでいた家族勢ぞろいの夢を見て、奈美は泣いた。
翌朝、菊雄が目覚めると、奈美が炊飯器からご飯をよそっていた。菊雄にはそれが、自分の母親のように見えた。菊雄は「幸せな家庭が欲しい!」と強く思い、「なあ、奈美、結婚しよう!」でも、怒り狂って拒絶する奈美。「俺のこと、ここまで嫌わなくても」でも、それは奈美自身の問題だった。
一方、ヒロシは柑奈からお願いされていた「この書類にハンコを頂戴!」それは妊娠中絶証明書だった。ヒロシは、柑奈が教師の守屋に妊娠させられたことを初めて知った。その会話を奈美は、こっそりと聞いていた。奈美は家出してきた柑奈を東京に送り返す。家に到着すると、奈々子が迎えに出てきた。明歩は10万円を柑奈に手渡すと、デコトラで颯爽と去って行ったが、その瞬間、奈々子は気が付いたΣ(゚Д゚)あ、あのデコトラは!
その後、奈々子に幸福が訪れた。娘の柑奈に笑顔が戻ったのだ。ヘタレだったヒロシ君は、柑奈を孕ませた守屋先生に、初めて男の意地を見せ、渾身のライダーキックを浴びせた。そして彼は、柑奈にプロポーズした。「子供、産んでくれ!」奈々子には予想外の展開であった。
一方の菊雄は、執念で奈美にプロポーズを続ける「お願いだ、結婚して欲しい!」でも、頑なに断る奈美「家族になるなんて、自信が無いんだ」奈美はしばらく考えた後、菊雄に「なあ、一緒にオヤジの墓参りに来てくれ」二人は海辺の、虎太郎のお墓に着いた。花を供えていると、一人の女性が段々、近づいて来た。奈々子だ!今日は虎太郎の命日。奈々子もお供えの花を手に持っていた。
奈々子は奈美に10万円を返した「これ、受け取れないわ」もう必要ない、という意味だった。二人の会話を呆然と聞く菊雄は次の瞬間、虎太郎の墓の前で、死んだはずの虎太郎(稲葉凌一)がねじり鉢巻きで酒をかっくらいながら「どうした、ほら、いけよ、いけ!」と合図しているのが見えた。猛然と奈々子にダッシュして渾身の土下座からの「お母さん!奈美さんを僕に下さい!絶対に幸せにしますから!」奈々子は「まあ♡」と笑った。
奈々子の誘いで、奈美と菊雄と三人、楽しい夕食をとった。奈々子は顔はブサイクだけど(笑)話が面白い菊雄がすっかり気に入って上機嫌(←ラジオDJに気に入られるなら大丈夫だw)奈美は「面白くねえなあ」とハスに構えているが、奈々子に「ラジオ局まで送ってやるよ」生放送まで、あと2時間あった。でも事故渋滞で、全く動かない。
その頃、タカシとコウジはラジオ局を訪問。憧れのDJ奈々子にネタを見て欲しかったのだ。別のブースで収録中の人気アイドル・吉沢明歩に直筆サインをもらって二人はもうご機嫌!ところが、肝心の奈々子が生放送直前になってもやってこない!これはどうしたことなんだ!河野ディレクターは頭を抱えた。
あと15分しかないのに、あと20kmもある!さすがのデコトラギャルでも絶体絶命のピンチ!ここに現れたのは、なんとタカシとコウジ。河野ディレクターを乗せたワゴンには、ラジオ放送機材が積まれていた。トラック野郎同士の無線機器が、こんなところで役に立ったのだ。さあ、プロローグはもう、皆さん、お分かりですね?
トラックの荷台に設えた臨時放送局。ラジオDJの奈々子が軽快に番組を始める。「今日、デコトラギャルに乗せてもらったんです」それは、可愛い我が娘との最高の思い出であった。タカシとコウジが呼ばれ、ラジオでは見えないwフリップを使った「こんなデコトラはいやだ」を披露し、「ラジオじゃ分からないわよ!」とツッコまれた。
運転席に座っている奈美に、菊雄が最後の粘りを見せる「もう一度だけ、最後に言わせてくれ。これでダメなら諦める。頼む!結婚して欲しい」奈美は「いいか、返事は一度しか言わねえぞ」次の瞬間、ラジオのボリュームを目一杯上げた。口元が「よろしくな」と動いた。分からなかった菊雄は「ねえ、何て言ったの?教えてよ!」にっこり笑って走り出す奈美。デコトラの最終目的地は、もうすぐだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?