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小沼勝「雨のヘッドライト」

シネロマン池袋で、小沼勝「雨のヘッドライト」 脚本ははたの三郎。

ドライブインで店主に暴行された身寄りの無い少女(田中真理)を助けた妻子持ちのトラック運転手(武藤周作)が、ズブズブとハマる不倫沼。彼の故郷の北海道で一緒に牧場を営む夢は所詮、儚く散る宿命。許されぬ恋路を哀しくエロチックに描き出すメロドラマの力作。

小沼勝の監督デビュー3作目、まだ若冠34歳時分だから撮影の安藤庄平や音楽の小杉太一郎のようなビッグネームの前ではまだまだ新米だったんだろう。60年代までの大日活時代を彷彿とさせるクラシックスタイルの正統派メロドラマは凝った画や音で最後までグイグイと見せる。

歌謡ポルノが得意で「時には娼婦のように」「ブルーレイン大阪」などの大ヒット曲とのコラボ、弟子筋の中原俊「3年目の浮気」まで影響を与えた小沼監督のこと、タイトルからしてどんなヒット曲とコラボしたの?勘違いしそうになりますが新沼謙治は「ヘッドライト」だったw

でもね、主人公でトラック運転手の武藤が雨の路上で真理を拾って二人で東京に向かう、武藤が真理の死を知って彼女の永遠の愛に感動し雨の中を東京に帰る。まさに♪悲しみの ヘッドライト~♪新沼謙治の曲を使えば良かったんじゃね?思ったけど本作より4年も後の曲なのねw

ヒロインの田中真理は警視庁のアイドルと言われた日活初期を代表するロマンポルノの大スターで圧倒的なオーラがあるけど、彼女の相手役の武藤周作を始め妻の乱孝寿などピンク映画の方の主戦級と残りは地味面子で、どうにもロマンポルノというよりピンク映画を観てる感じ。

所々に才気走った意匠を見せるけど全体的にはメロドラマの域は出ない。田中登も最初の頃はそうだった。慣れて来て自分の世界観を演出で出せるようになって一気にブレイクする。そういう意味では最初から安定して自分の世界観を構築してた加藤彰なんかホントに凄いんだけど。

武藤は妻も子供もいながら真理と不倫に走るのイクナイ!思いがちだけどちゃんと伏線を張ってるのよね。子供は失踪した姉の息子で妻に世話してもらっていて頭が上がらない。一方で妻は生活感が滲み過ぎた鬼婆で現実逃避したい。そんな男の夢、男のロマンを見させる作品だ。

大映ドラマのような暑苦しいけど胸に迫り来るものがある。ドラマチックなシーンや音楽がそこかしこに散りばめられ、変にケレンミに頼るのではなく真っ向勝負でメロドラマしてる。こういう作品が俺は好きです。小沼監督はその後に傑作をものにするけど原点じゃないのかな。

女優は三人、絶対ヒロインの田中真理と脇を固めるのが乱孝寿と曽野節子で、真理ちゃんのハダカを徹底的に全面に押し出さないと負け戦になっちゃうのは必定。だから武藤とのラブシーンを入念に丹念に次々と投入していくよね。古今東西の名画をオマージュしたような演出で。

不倫の恋は成就しない。これは映画の紡ぐ物語としては当然のバッドエンドなんだけど、武藤が雨の中、トラックを走らせる時の抒情が 半端無いんで、ここにはやっぱり主題歌が必要だったように思うけど当時はまだロマンポルノの認知度が低くてタイアップとか夢だったのかね。

エロに関してはね、乱孝寿はそもそも脱いでないし(武藤に迫るけど断られるw)節子がFUCKシーンはあるけど全然、煽情的じゃないし、真理ちゃんの一人舞台。しかもFUCKの相手は全部が武藤で、ド直球にエスカレートする不倫純愛を濡れ場ごと楽しむ姿勢こそが吉と言える。

真理ちゃんのFUCKシーンだけでは物足りないのか、小沼監督は生来のスケベさを生かして(こらこらw)真理ちゃんに常に短めのワンピースを着させてパンチラ、パンモロがふんだんに登場して、結構シリアスなシーンなのに真理ちゃん純白パンティをガン見しちゃって困ったよw

真理は最初は名古屋近郊のドライブインで働いてる豊橋の奥の田舎の出身で、上京してからは最初は鉄工所の事務に就くんだけど武藤との不倫が発覚して身を隠すように大衆食堂に働き口を変え、そして故郷に戻り牧場で牛の世話しながら北海道を目指す途中で事故死、流転の人生。

それに対して武藤の方は真理をずっと追いかけながらも妻も子も捨てることなく職場もトラック運転手のままで随分、男の側に都合の良い話になってない?と思うもロマンポルノの観客って当時は男しか想定して無かっただろうから当然と言えば当然、オヤジ目線の映画なのよね。

濡れ場は真理と武藤の二人だけの世界を密室で描き出し下着姿から始まって脱がせて愛撫してキスして挿入して、とセックス表現を一から十まで丁寧に順番を追って演出するのグッジョブ。真理が騎乗位でアンアン喘いでる時、出窓から光が差し込み靄がかかる場面とか美しいよね。

冒頭、ドライブインの客が帰った調理場で真理をゲスな主人が「一度くらい、ヤラせてくれてもいいじゃないか」襲い掛かり下着姿の真理が逃げまどう、そして店から逃げ出して「助けて!」通りかかったトラック運転手武藤に乗せてもらい、婚約者の住む東京へ向かった。

運転席の武藤と助手席の真理に雨のヘッドライトが反射。これっきりのドライブのはずだったのに、真理が婚約者の部屋を訪れてみれば彼は実は別の女と結婚していて、妻の節子と全裸FUCKの真っ最中であった。真理は涙目で部屋を出て、武藤の職場の運送会社で待ち構えた。

武藤には三十路で身体の線の崩れた乱孝寿という妻がおり、失踪した姉の残した一人息子を孝寿に面倒見てもらっている。武藤は息子と一緒に真理を食堂に案内し一緒にラーメンを食べた。息子は「僕、絶対に言わないよ」武藤とキレイなお姉ちゃんのロマンスを陰で見守る覚悟。

武藤が仕事から帰ると麻雀牌は出しっぱなしだわ机には食べかけのラーメンとか乱雑に散らかってるわで、太ももを丸出しでポリポリ身体を掻きながら大の字で寝てる妻の孝寿に武藤はため息(笑)真理とは女として雲泥の差があるんだけど、妻は妻、不倫相手は不倫相手なのだ。

親切な武藤は真理に「そんな店主のいるドライブインなんかに帰るな」東京で就職口を探してあげて、わざわざドライブインまで荷物を取りにいってアパートに住まわせた。で、感謝した真理といい雰囲気になってキスして押し倒し下着を捲っておっぱい揉んで、正常位でFUCKした。

真理は「海に行きたいな」海辺で爽やかデートしながらお互いの出自と夢を語る武藤と真理。武藤は北海道の出で夢は故郷で牧場主になること。真理は武藤と北海道で一緒に牧場をすることに本気で憧れ夢を持ち始めた。真理は豊橋の奥の出で、両親はいない、心配してくれる人もいない天涯孤独の身の上。

トラックで二人して海に出て、水色のワンピースで靴を手に持って裸足で海辺を駆ける真理ちゃんは可愛すぎ!武藤もすっかりその気になった所で真理が抱き着いて、そのままホテルに入って、黄色いスイレンの花を抱えた真理がベッドのように敷いた。仰向けの武藤に抱き着いた真理「ボタンが取れちゃったね」ポケットにしまい込んだ。

木漏れ日が差し込む幻想的な雰囲気の中で、真理はベッドに腰かけた武藤に背面座位で突かれておっぱいを揺らしてアンアン喘ぎ、そのまま対面座位で腰を振ると、仕上げは騎乗位で武藤の上で腰をグラインドしていると、目の前に靄がかかったように夢のような空間が出現した。

真理をトラックで職場に送った武藤が見たもの、それは鬼の形相で睨んでいる妻の孝寿と「僕、言ってないよ!」繰り返す息子の姿。孝寿は「淫乱よりタチが悪いわ。人の家庭をメチャクチャにして」真理を突き飛ばし、真理は泣きながら駆け出し、武藤が追うのを息子が止めた。

その日から真理との音信が途絶えた武藤は気が気ではなく、木島とコンビで配送の最中、思い余って真理のアパートを訪れると鍵をかけて泥酔中で開けてくれない。仕方が無いので夜になってもう一度訪れたみたら既に引っ越していた。鉄工所も退職していて行方が分からない。

武藤は運送会社を片っ端から連絡し真理の行方を尋ねるが分からぬまま時は過ぎ、諦めかけた頃に電話が入って訪ねてみました大衆食堂で給仕している真理を発見。「会いたかった!」台詞からベッドにワープして熱いキスを交わすスマートな演出には思わず「おお!」唸った。

全裸の真理を正常位で優しく抱き果てた武藤は真理の「会えてよかった。これで田舎に帰ることが出来る」でも武藤は「北海道で一緒に牧場をやるって約束したじゃないか」(妻子はどうするんだよw)「あなたの体温を感じたい」武藤にヒシと抱き着く真理に思わず勃起の武藤。

武藤は真理と別れを予感しながら身体は正直に二回戦の体勢。股間に顔を埋めてフェラする真理に勃起して正常位で腰を落とすと再び愛を交わす。真理はホテルと発つと、想いが捨てきれず運送会社の柱の陰から働く武藤の姿をじっと見つめながら「さようなら」姿を消した。

武藤は真理を諦めきれず、彼女が働いていたドライブインでコーラに虫がたかってるほどに憔悴しきっていた所に同僚の木島から「豊橋の奥に真理とそっくりな女がいるらしい!」現場に急行すると牧場で主人の玉井謙介が一言「真理ちゃんなら死んだよ」武藤Σ(゚д゚lll)ガーン!

真理は牧場で牛の世話をしながら「北海道に行って牧場やるの」言っていたが無理がたたって青草を運んでいる最中に車に轢かれて死んだ。残されたカバンから武藤が発見した物はベッドの上でピロートーク中に真理が「あれ?取れちゃった」手に取った武藤のジャケットのボタン。

俺のボタンを大切にネックレスとして着けていてくれたんだ・・・感激した武藤は真理への想いを断ち切るように夜道をトラック走らせる。天井から真理が俺のボタンで作ったネックレスを下げて、雨のヘッドライトが眩しい。トラックは東京に向かって走り続けた。

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