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榎本敏郎「耳を澄ます夏」

シネロマン池袋で、榎本敏郎「耳を澄ます夏」(成人映画公開題「痴漢電車 さわってビックリ!」) 脚本は河本晃。

FUCKシーンが5回、全部が非常に短く、まるで一般映画のような健全さを感じる(笑)ものの、ポップでキュートでフリーダムな妖精、麻田真夕の可愛らしさが全編通してスクリーンにはじけまくる、素敵なラブストーリーの傑作。

FUCKシーン5回のうち、なんと3回が葉月蛍。婚約者の川瀬陽太と2回、腐れ縁の彼氏と1回。要は二股かけているwイヤな女役なのだが、自己投影が容易なダメリーマンの川瀬陽太に太陽のように明るく接する麻田真夕とは好対照な影の部分として有効に作用する。

プロのスリ師佐野和宏の存在が物語に決定的に働く。川瀬陽太の前で表面上は貞淑な婚約者を演じる葉月蛍の存在を見透かしたように、電車内でアマチュアスリ師真夕と川瀬の出会いを演出し、徐々に愛情を深めていく二人の恋のキューピッドになる、実に粋な役柄。

開巻、眼鏡をかけインテリ風情の真夕がダメリーマンの川瀬の手を強引に股間に導き、痴漢させる。真夕は駆け出しのスリ師で川瀬の財布をスルが、ここでプロのスリ師佐野が真夕の財布をスッて川瀬のポケットに入れる。川瀬と真夕の財布が入れ替わる設定が白眉。

ドジな川瀬は財布をスラれて大ショック。ところが、家に帰るとそのスリ師真夕が可愛らしいスエット姿でテレビを観ながら待っているではないか!「お帰りなさい」「お前、誰だよ」「取り敢えず、ビール飲む?」ああ、素敵だ、この展開。全く無駄がない(*'▽')

真夕は川瀬が自分の財布を持っているので、交換しにきたのだ。そして帰り際、彼が愛用するハーモニカも持って行く(←これが重要な伏線に)川瀬には婚約者(葉月蛍)がいる。真夕と入れ替わり部屋に来た蛍にスケベ心を刺激された川瀬はベッドに押し倒し一発。

川瀬と蛍が公園でデートしていると、後ろからいきなり割り込んでくる真夕のチャーミングさがステキ(*'▽')驚く二人に「妹でーす」ちゃっかりと、川瀬の婚約者がどんな女か確認しに来たのだ。

真夕は川瀬を「会社にスリのことバラすよ」(←ホントはスッてないだろw)と脅し「私が痴漢されている隙に、あなたが財布をスッて」と連携プレイを提案。電車内で眼鏡インテリ姿で痴漢されまくる真夕だが、気が弱い川瀬は何もできず痴漢され損の真夕は激怒w

真夕はコンビニでバイトしている。オーナー店長(十日市秀悦)が女遊びで店を空けることが多いのをいいことに川瀬に狂言強盗させる。ところがポーズで強盗ごっこしているとホントに店長が帰ってきて、竹刀で川瀬を殴りながら、さりげなく店長もボコる真夕w

店長が真夕に相談する「もう店を辞めようと思ってるんだ。経営が苦しいし強盗もいいきっかけになった」責任を感じたw真夕は川瀬に闇金強盗を持掛ける(←これは流石にヤバいだろw)でもやってしまう川瀬。真夕と川瀬がヤクザから全速力で逃げる場面がイイ!

川瀬がカバンの中身を確認すると500万円ある!店長は100万円が必要と言っていた。真夕は川瀬に「残りは返してきて」と言う(笑)必死で抵抗する川瀬(←今更、返せんだろw)真夕が川瀬の眼鏡を取る「あれ?いい男じゃない」川瀬に顔を近づける真夕。

真夕の顔のどアップ「私はどう?」いい雰囲気になるが川瀬は「僕を信じてくれている蛍を裏切れない」しかし、その頃、蛍は彼氏とラブホでFUCK中であった。川瀬と婚約しながらも、元彼?と別れることができず関係を続けていたのだ(←これを「二股」という)w

真夕は川瀬を公園で待つ祖母の元へ連れて行く「彼が婚約者です」真夕が場所を離れ戻ってこない。祖母は真夕が万引き癖が理由で両親と仲たがいし、受け入れてくれる祖母だけが唯一の頼りだったことを話す。ここで真夕が戻ってくる。祖母がなにか物を落とす。

真夕の祖母も万引き癖があり、落としたのは盗品wあきれる川瀬wその中にちゃっかりハーモニカを混ぜる真夕「川瀬さん、何か弾いて」その曲をBGMに場面は移り、夜の街頭を所在無げにうろつく真夕。彼女は見覚えのあるカップルが目の前を通り過ぎ驚く。

蛍が彼氏と歩いているのを偶然に見てしまった真夕、思わずハーモニカを吹く。一瞬「何事?」と振り返る蛍。真夕は川瀬に会い「蛍さん、彼氏と会ってたよ」川瀬は「言っていい事と悪いことがある」と激怒。

でも真夕のことが気になる川瀬は「いとこです」とウソをついて店長から住所を聞き出し真夕のアパートを訪ねる。真夕は風邪で寝込んでいた。看病する川瀬「熱はあるのかな」彼は一冊のノートに目を止める。日記が書かれており、日付は蛍と彼の逢引きを目撃した日。

真夕は嬉しすぎて、雨の中で踊ってしまい、風邪を引いたのだ。彼女が川瀬と出会った日「痴漢されながら財布をしようとしたら謝って来る情けない男がいた。問い詰めたら何でもするって答えたので、子分にしてやった」なんだ、俺はスリじゃないって知ってたのか。

川瀬は真夕のノートを見て「まるで子供だな」と笑っていたが、真実を知り、真夕に「風邪、大丈夫か?」真夕は答える「もう大丈夫。私、知ってたよ。あなたはスリじゃないって」二人の愛情が通じ合い、二人は濃厚なFUCK、初めて結ばれる。真夕は「風邪、染っちゃうかな」と心配する。可愛い(*^^*)

真夕は祖母が倒れたため、田舎に帰ることになる。佐野が真夕の働くコンビニに来る。「一緒に組まないか」二人はコンビで50万円以上稼ぐが、大半を餞別代りに真夕にくれてやる。真夕は川瀬に田舎に帰ることを告げる。

川瀬が駅前を歩いていると、いきなりぶつかってくる奴がいる。しかも彼は、踵を返すともう一度川瀬の前を通り過ぎる。「あ、財布スラれた?」胸に手を当てるとポケットに入っていたのはハーモニカ。「上野発8時40分」と書かれている。川瀬の心が動き出す。

川瀬は「スリではない」といつも真夕に言っていたが「神様、一度だけ本物のスリにならせてください」と近くに駐車中の車のキーをスルと電車を追いかけ始める。駅に着くと、降りてきた真夕の目の前に、車を停めて待ち構える川瀬の姿。私の涙腺がかなりやばい。

真夕が叫ぶ「どうして電話してくれなかったの?」「別に車で来なくたっていいじゃない!」「会社を休んでしまっていいの?」矢継ぎ早に質問。無言の川瀬。「私にばかり喋らせないで何か言ってよ」優しく真夕の唇を奪う川瀬。私の涙腺は完全に崩壊しました。

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