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素晴らしきファンタジー世界〜桜瀬彩香先生の作品特集

この記事の経緯について

ネット小説やライトノベルでご活躍されていた小説家、桜瀬彩香先生が2022年3月29日に急逝されました。
桜瀬先生のご逝去を悼んで、心からお悔やみを申し上げます。
先生はTOブックス様より『薬の魔物の解雇理由』シリーズを、オーバーラップノベルス様より『長い夜の国と最後の舞踏会』シリーズを刊行されております。ネット上でも長く活躍されており、数多くの作品を発表されている才能あふれる小説家でいらっしゃいました。

拙企画にて桜瀬彩香先生の作品にご投票された方々へ

この記事を作成したのは、拙企画『第9回勝手にロマンス大賞』で、桜瀬先生の作品へのメッセージが多かったことがきっかけになっています。
いただいたメッセージの中には、「TOブックス様にファンの声を送って欲しい」というご要望が数多くありました。
そのため、TOブックス編集部様に経緯をご連絡し、『薬の魔物の解雇理由』について皆様からいただいたメッセージをお送りいたしました。
(お名前は省いて、メッセージのみをお送りしております。)

お送りしたメッセージは、編集部様でお読みいただいております。皆様のお声はお届けいたしましたので、ご安心ください。
また、番外編のネット小説の投票については、桜瀬先生の作品に票が集中してしまったので、桜瀬先生の作品と他の作家先生方の作品は分けて掲載しました。何卒ご了承ください。

以下に、投票時にいただいた皆様からのメッセージも含めて作品を紹介させていただきます。まだ桜瀬先生の作品を読んでいない方々にも素晴らしい作品たちが広まりますようにと願っております。

桜瀬彩香先生の作品をご紹介

薬の魔物の解雇理由 

人と人ならざる者達が共に暮らすウィーム領。雪深く魔術の潤沢なその地に迷い込んだ少女・ネアは託宣を受けた——命を削り契約した魔物から恩恵を得る才職「歌乞い」として。静かに暮らしたいネアは、低位の相手を求めて唱歌の儀式を行う。だが、夜の森より現れたのは、美しい魔物の王・ディノだった! 「君の願いは全て叶えよう——どんな残酷なことも」 とても手に負えない彼を「薬の魔物」と偽り、ネアは転職活動を始めるが、結んだ契約は解消できない。おまけに、目の前の万象を司る王から「君に叱られるの大好き」とやけに懐かれてしまい......? 祝祭美食な日常の中、時に切なく、時に大惨事(?)が紡がれる異類婚姻ファンタジー!

【投票者様より】
人生における生き様を教えて貰った作品。毎日、ただなにかを楽しむ心の余裕もない方、どうして自分は『普通』ではないのかと悩む方々に、ぜひ読んで欲しい作品です。貴女の生活が変わることを保証します。夭逝された作家様が描き出した世界に、是非とも、お出掛けしてみては?

【投票者様より】
薬の魔物の解雇理由はとても美しく沢山の面白さの詰まった物語ではあるのですが、自分中心に思い返した時、web版で毎日定時の更新を待つのがすっかり生活に組み込まれていたこと、実生活で物の感じ方や嗜好など色々と影響を受けている事、今までの好きなキャラクターのタイプがすっかり変えられてしまった事など、私の人生に随分と影響を与えてくれた作品だなと思います。
ありがたい事に、何度読んでも新しい発見のあるお話ですので、何度も読み返しながらずっと好きな作品として一緒に生きていきたいと思っています。
私と同じように刺さるはずなのにまだ出会えていない方のためにも、もっと広まってほしいのです。

【投票者様より】
帯の“異種婚姻ファンタジー”の文字を見て、高位の人外者に気に入られて連れ去られた先で信頼関係を構築していくよくあるやつかなと思って読み始めたら、構築した関係がまさかの方向性。どのキャラも、読み進めて行くうちにどんどん変わっていく印象。美しい風景描写に独自の世界観。良い意味で物語に裏切られ続けました。どんなに不思議でどんなに美しい景色が広がっているのか、もっとこの世界のことを知りたい。そう思いました。聖人君子ではない残忍な側面も、愛情深い側面も持っているヒロインが大好きです。2巻発売日目前に作者急逝の報せを知ったとき、これからについて言及されていた先生の未来が失われたことに涙が止まりませんでした。
ウェブ上では完結している物語を、どうにか書籍という形でも完結させて欲しいと願うばかりです。ふたりの選び取った未来を、タイトルの意味を、少しでも多くの方に知って貰えますように。

薬の魔物の解雇理由2

国を挙げての祝祭イブメリアが近づき、みなが浮き足立つウィームの冬。ネアは、契約した魔物の王・ディノと共に新たな任務を言い渡される。それは失踪した「送り火【グレイシア】」の捜索だった。儀式の火を司る彼がいなければ、祝祭は延期され季節が後退してしまうという。ずっと楽しみにしていたネアは、一大事とばかりに湖岸の町へ出張に! ところが、行き先はディノの遠い過去にまつわる場所で――? 「困ったご主人様だね、何だって私があげるのに」「失くしたと知ったら、とても嫌な思いをすると思ったんです」。ディノとのかけがえのない日常を守るため、歌乞いの少女と万象の魔物が冬の祝祭の奪回に挑む、異種婚姻ファンタジー第2巻! 書き下ろし番外編5本&巻末に「薬の魔物特別図鑑」収録!

長い夜の国と最後の舞踏会 1 〜ひとりぼっちの公爵令嬢と真夜中の精霊〜 

婚約破棄から始まる粛然たる復讐の物語
深い森に閉ざされた国ファーシタル。
その森を管理する精霊に仕えてきた公爵家の令嬢ディアは、幼い頃に家族を殺され、王家に保護されたのち第一王子リカルドと婚約する。
しかし、彼が他に愛する女性を得たことで婚約は解消される。
円満な婚約解消に思えたが、ディアは知っていた。
かねてより精霊との繋がりを危惧していた王家がこの婚約解消を機に、数日後の舞踏会で自身を手にかけることを。
そして自分の家族を殺したのが王家だということも――。
全てを失いひとりぼっちで生きてきたディアは、最後に奪い続けてきた者達への復讐を決意する。
そんな彼女をずっと見ていたのは、美しく残忍な精霊ノイン。
彼こそディアの一族が仕えてきた精霊で、ディアが殺される理由だった。
気まぐれに現れるノインとともに、残されたわずかな日々を過ごすディアは、最後の舞踏会に向けて歩み始める――。

【投票者様より】
こちらの作家さんは、去年8月にデビューして翌月あった『このラノ』のアンケートですぐにいくつかのランキングに入る実力派。その後もツギラノ、アニメ化作品ばかりがランクインする、アニメイト下半期ラノベランキング入賞、ラノオン総合1位、等デビューしてすぐに実力派として活躍されていました。
作品は、ぞっとするほど美しい、おとぎ話のような独特の世界観が圧巻の文章力で表現されていて、とにかくすごい。特に最後の舞踏会のシーンはぞっするけど美しく、作品のなかに思わず旅をしたように感じる美しい世界と、残酷な世界観が同居しているバランス。
ロマンスあり、ミステリーあり、美食ありでバランスがよい作品。
ロマンスだけでなく、世界観的に質のよい児童書としても読めそうで、これはもうこの作家独自のジャンルを確立していると思う。
ものすごく執筆スピードが早い作家さんではあったのですが、今年3月に他界されたので今後新たな作品を読めないのが悲しいです。

【投票者様より】
急逝された桜瀬彩香先生の世界観は海外の児童文学の雰囲気を持った、残酷で優しいおとぎ話だと思います。決して優しいだけではないめでたしめでたしではなく、因果応報あり、悪役と思われた人にもその人の理由があったり……。ロマンチックだけど、それだけではない魅力的なお話です。

長い夜の国と最後の舞踏会 2 ~ひとりぼっちの公爵令嬢と真夜中の精霊~

静かなる復讐劇は、終幕を迎える――。
リベルフィリアから一夜明け、舞踏会の日。
家族を奪った者達への復讐だけを抱えて生きてきたディアは、リベルフィリアで大好きな精霊ノインと過ごした時間を思い、確かな幸せを感じていた。
ノインも優しく寄り添い、ディアのために食事やドレスを用意してくれる。
久しぶりに暖かな時間を過ごし、お腹も心も満たされるディア。
しかし、そんな時間の中でもディアの復讐の意志は揺るがず、最後の舞踏会に向かう準備を整えていく――。
そうして会場へ歩み始めるディアを迎えにきたのは、元婚約者の第一王子リカルドだった。
彼はディアが家族の死の真相を知ったことに気付いていたようで、ディアの家族を殺す命令を下したのは自分だと告白する。
静かなる復讐劇の先でディアとノイン、そして長い夜の国が迎える結末とは――?

桜瀬彩香先生のネット小説

第9回勝手にロマンス大賞に寄せられた、桜瀬先生のネット小説作品のランキングはこちらです。ご投票ありがとうございました。

1位:刺繍の女王と王様のタルト
2位:ジョーンズワースの魔術師と雪白の歌姫
3位:かいぶつは星に祈らない
4位:イルベルタは明かりを落とした
5位:林檎の魔術師と災いの書
6位:薬の魔物の継続理由
7位:オスカードイルは、聖女を野生に帰したい
8位:スタンキンホロウは、聖女を野生に帰した

【投票者様より】
イルベルタは明かりを落とした:魔法の描写の美しく、そんな世界でイルベルタが恋に落ちる描写が素敵で、可愛らしいです。

【投票者様より】
薬の魔物の解雇理由は読めば読むほど物語の奥行きを感じ、またさりげない一言がずっと先にある伏線だということもあります。薬の魔物の解雇理由と、ジョーンズワースの魔術師と雪白の歌姫はまったく別の作品ですが、しっかり繋がりがあり読んで理解すれば、主人公ネアの動きや過去が深掘りされ、ますます愛着が湧き上がります。華やかで暖かで、けれど残酷で切ない物語。作者である桜瀬彩香先生は急逝されました。これから、もっと盛り上がっていける作品だったと確信してました。どうか1人でも多くの方が、先生の描いた物語を手に取ってくださいますように。

さいごに

お読みいただきありがとうございました。この記事をきっかけに、一人でも多くの方が、桜瀬先生の紡ぐ素晴らしい物語を知るきっかけになれば幸いです。

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