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[西洋の古い物語]「小さな蝶の三兄弟」

こんにちは。
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
今回は、蝶の三兄弟のお話です。
ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。
※画像は、ジビュレ・フォン・オルファース(1881-1916)の『ちょうちょのくに』の挿絵の1枚です。パブリックドメインからお借りしました。

「小さな蝶の三兄弟」

昔ある所に小さな蝶の三兄弟がおりました。一番目は白、二番目は赤、三番目は黄色の蝶々でした。三兄弟はお日様の光の中で遊んだり、お庭の花々の合間でダンスをしたりしました。彼らはとても幸福でしたので、くたびれるなどということは全くありませんでした。

ある日のこと、激しい雨が降り出して、彼らの翅を濡らしました。三兄弟はおうちへと飛んで帰りましたが、着いてみるとドアには鍵がかかっており、鍵はなくなってしまっていました。彼らは雨が降る中、外にいなければならず、ますます濡れてしまいました。

そこで彼らは赤と黄色の縞模様のチューリップのところへ飛んで行き、言いました。
「お友達のチューリップさん、あなたのお花のカップを開いて、嵐が終わるまで僕たちを入れてもらえませんか。」

しかし、チューリップは答えました。
「赤い蝶々さんと黄色の蝶々さんはお入り下さいな。だって、私と同じ色ですものね。でも、白い蝶々さんには入って頂けませんわ。」

赤い蝶々と黄色い蝶々は言いました。
「僕たちの兄弟があなたのお花のカップの中で雨宿りできないのでしたら、僕たちも雨の中、彼と一緒に外にいましょう。」

雨はどんどん激しくなってきました。そして、かわいそうな小さな蝶たちはますます濡れてしまいました。そこで彼らは白百合のところへ飛んで行き、言いました。
「親切な百合さん、あなたの蕾を少し開いて下さいませんか、僕たちが潜り込んで雨宿りできるように。」

百合は答えました。
「白い蝶々さんはお入りなさい。だって私に似ているのですもの。でも、赤い蝶々さんと黄色い蝶々さんは嵐の中、外でお待ちなさいな。」

すると、小さな白い蝶々は言いました。
「もし赤と黄色の兄弟たちを受け入れて下さらないのでしたら、僕も雨の中、彼らと一緒に外にいます。別々になるより濡れた方がましですから。」

そして小さな蝶の三兄弟は飛んで行きました。

でも、雲の後ろにいたお日様は一部始終を聞いていて、小さな蝶たちは本当に良い兄弟たちで、濡れるにもかかわらずずっと一緒にいたことをわかっていました。そこでお日様は雲の間からお顔を出して雨を追い払い、お庭を明るく照らしました。

お日様は小さな蝶々の三兄弟の翅を乾かし、体を温めてあげました。兄弟は悲しむのをやめ、日暮れまで花々の間でダンスをしました。そしておうちへと飛んで帰りますと、ドアは大きく開け放たれておりました。

「小さな蝶の三兄弟」はこれでお終いです。

翅の色が違っても苦楽を共にする小さな蝶の三兄弟の姿に、訳しながら感動してしまいました。色の違う者は受け入れない排他的な態度や、自分が濡れないためなら誰かを犠牲にしても仕方がないといった利己的な考え方、多数が助かるなら残りの少数を切り捨てるのもやむを得ないといった意見がしばしばまかり通る今日の社会ですが、果たしてそれでよいのでしょうか。

同じ地球で暮らす者として、互いの違いを認め合い、誰も切り捨てられたり取り残されたりしない世界であってほしいな、とあらためて願わずにはいられません。

このお話の原文は以下の物語集に収録されています。

今回もお読み下さり、ありがとうございました。
次回をどうぞお楽しみに。

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