下書き 本文 むかしむかし、あるいは遠い未来。あるところに、世界一幸せな人と世界一不幸な人が暮らしておりました。 世界一幸せな人はこの世界の全てが好きで好きでたまりませんでした。見渡す限りの広大な大地、果てしなく広がる漆黒の夜空、どこまでも続いていくような七色の海原。この世界の、全てが、平等に。 一方、世界一不幸な人はこの世界の全てが嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。終わりのない赤茶けた荒野、逃げ出せないほど重く垂れ込んだ暗雲、いつまでも残り続ける汚れ切った水面。たった
「アドベントリレー小説」とは、25人の筆者がリレー形式で 1つの小説を紡いでいく企画です。 ここまでの物語と企画の詳細は↓から https://adventar.org/calendars/6460 Top[ #1 ] 前[ #22 ] 次[まだ] 23日目 作:ロマ 『緋色のヒーロー』#23 その時、俺は一つの単語を思い出した。――『疫病』。 そうだ、カナコちゃんは『疫病』のことを知らなかった。それは俺とちひろが世界を救って「無かったこと」にしたからで…… いや違う