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人気の秘訣は〇〇にあり!「アニソンWOODSTOCK」が野外アニクラシーンで拡大し続ける理由とは?

レポート・文:ろーるすこー(前田勇介)
写真:kassy2828・takenozi

kassy2828:https://twitter.com/kassy2828
takenozi:https://twitter.com/takenozi


去る2022年5月28日(土)に、山梨県 山中湖交流プラザ きららにて『アニソンWOODSTOCK vol.11」が開催された。2018年の初開催からその規模を徐々に拡大していき、今回のvol.11では来場者数は500人を突破。現在最も勢いのある野外アニクラと言っても差し支えないだろう。このイベントの最大の魅力は、やはり何と言ってもそのロケーションにある。雄大な富士山と、眼前に広がる山中湖の下で日没まで大音量のアニソンを浴びられる贅沢な空間がそこには待っている。都心からのアクセスが比較的良好である点も、来場者数を伸ばしているポイントのひとつではあるが、11回目の開催にして今後の更なる発展を期待せざるを得ない進化をアニソンWOODSTOCKは見せてくれたのだった。


「アニソンWOODSTOCKとは?」

photo:kassy2828

2018年に静岡県富士宮市で発足したアニソンWOODSTOCK。11回目の開催を経て、現在変革期を迎えている。3ステージでの開催は今回が初だし、peatixによるチケット制の導入も初だった。正確な来場者数の把握のために取り入れられたもので、今回上限数だった500枚の無料チケットは満員御礼。受付にてチケットを提示し、消毒・検温を経て、入場可能となった。

会場マップ
タイムテーブル

予想を超える来場者が駆けつけ、駐車場が満車になってしまうトラブルもあったが、柔軟な臨時駐車場の対応もあって事なきを得た。この辺りは今後の課題かもしれないが、それだけ注目を集めるイベントになりつつあるという何よりの証拠だろう。


「トレイルステージ」

photo:takenozi

今回のアニソンWOODSTOCKでは、センターステージ・レイクサイドステージ・トレイルステージの3フロアで開催されたのだが、まずはトレイルステージから紹介したい。

photo:takenozi

トレイルステージの出演者は、みるく★ビースト/凛音/サンチェ/まなかちゃん/わしゅ/Lapis/ユリータ/夕干の8名(敬称略)。会場の玄関口に設けられたステージということもあって、ある意味このイベントの原点を象徴するようなフロアになっていた。

photo:kassy2828

何度もこのイベントに参加しているリピーターの方の姿が印象的だった。初参加の方には「こうやってこのイベントを楽しむんだよ」と背中で語りかけるように、水鉄砲が飛び交ったり、自由に楽しむ姿を来場者に見せつけていたように感じた。

photo:kassy2828

暑い日差しにも負けない熱量の高さを感じさせるのはフロアだけでなく、DJプレイもそうだ。富士宮からスタートして、現在の山中湖へとたどり着いたアニソンWOODSTOCK。野外アニクラ活動の原点とも言える初期衝動的なパッションの高いフロアで終日盛り上がっていた。

photo:kassy2828

「レイクサイドステージ」

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今回新設されたレイクサイドステージは、その名の通り山中湖を眼前に控えた湖畔の芝生の上にブースが設けられていた。出演者はうっきー/gekko/えみあ/ISAMIX/トキズ/u2coa/yoswu/さいきょんの8名(敬称略)。山梨県とダンスミュージックにゆかりのある面々が揃っていたように見受けられた。

見てこのロケーション!最高すぎるでしょ。
photo:takenozi

実際に重低音の鳴りも非常に良かった。アニソン原曲以外にもアニソンRemixやダンスミュージックがガンガンに流れるフロアということで、雰囲気はさながらレイヴパーティのよう。

photo:takenozi
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フロアには何度もクライナーが飛び交っていたのが、他のフロアとの高まり方の違いを感じる。純粋にロケーションの良さとグッドミュージックに身体を委ねて、全身で音楽を楽しむ人々の姿が散見された。"山中湖交流プラザ きらら"で「きらり/藤井風」をしれっと流すyoswuはズルいなって思ったし、u2coaの怒涛のハードコアにも喰らい付いていくフロアに新たな萌芽を感じずにはいられなかった。

photo:takenozi
前日までの雨が嘘のように晴れ、幸運にも天気に恵まれた。
photo:takenozi



「センターステージ」

photo:kassy2828

メインフロアとなるセンターステージでは関東を中心に各地で活躍する実力派のアニソンDJたちによるDJプレイと、ゲストシンガーによるライブステージで大いに盛り上がった。

photo:kassy2828

センターステージの出演者は、hiro/りょーき/Yun*chi/キムえもん/ko-dai☆/上海静岡/くなはら/tonio/上月せれな/ウンメイ/ネコビートの11名(敬称略)。
センターステージの正面はテント・タープ設置可能エリアということで、ここに拠点を構えて楽しむ参加者がほとんどだったと思う。ステージ最前にも広いスペースがあるため、芝生でまったりしつつ、高まったらステージに上がって……という楽しみ方がベターだ。


Yun*chi

photo:kassy2828

今回アニソンWOODSTOCK初登場となるYun*chiは、アコースティックバンドを引き連れての参戦となった。実はこのバンド編成によるライブアクトはイベントの数日前に急遽決まったとのことで、来場者はもちろん主催者サイドにとっても嬉しいサプライズとなった。

photo:kassy2828

翌日の5月29日が誕生日の彼女に、途中バンドメンバーからのバースデーサプライズもありつつ「こうやってみんなと一緒に身体を使って高まりを表現できるの、いいな!」とフロアとのコミュニケーションを楽しんでいく。実際にステージ後にファンからの差し入れやプレゼントに囲まれて、一緒に記念撮影に応じる彼女の姿も印象的だった。

「今日、楽しかったよって人は手を上げて!最後まで楽しむぞって人はもっともっと高く上げて!!」と呼びかけると最後に「Wonderful Wonder World*」を披露。生バンドによるアコースティックアレンジが、まさに昼下がりの凪いだ湖畔に心地よく吹いていたそよ風のように、なんとも贅沢で幸福感に満ちたステージになった。

photo:kassy2828

<セットリスト>
01.Your song*
02.Lucky Girl*
03.そばかす
04.Catch You Catch Me
05.おジャ魔女カーニバル
06.Wondeful Wonder World*


上月せれな

photo:kassy2828

前回ぶり2回目の登場の上月せれなはアニソンカバーを中心に持ち曲も挟みつつの40分ノンストップメドレーを披露した。「私の時間は写真/動画撮影OKです!その代わり、ハッシュタグ #せれちゅ #アニソンWOODSTOCK を必ずつけてSNSにアップして欲しいです。アニソンWOODSTOCKをトレンド入りさせましょう!」と力強く宣言するとQ&Aリサイタルからライブをスタートさせ、フロアのボルテージも一気に高まる。

photo:kassy2828
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休憩なし40分間歌いっぱなし、踊りっぱなしのパフォーマンスは「ライブモンスター」の異名に恥じない圧巻の立ち振る舞いだ。そんな彼女にフロアも全力で応え、あっという間の40分を駆け抜けた。

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<セットリスト>
01.Q&Aリサイタル
02.Butter-Fly
03.最悪な日でもあなたが好き。
04.プッシュ?セレクト?コンティニュー
05.GO!!!
06.スクランブル
07.ultra soul
08.Paradise Lost
09.家でYeah!ってアゲタイガー
10.ドキッ!こういうのが恋なの?
11.ハイタッチ☆メモリー
12.ワガママMIRROR HEART
13.天地無用!
14.シュガーソングとビターステップ


photo:kassy2828

Yun*chi、上月せれなのライブを間に挟みつつもDJタイムが進んでいく。tonioのDJ中には夕日の富士山バックに自身も富士山の被り物に着替えて会場は爆笑の渦に包むなど、各々がこの雄大なフロアを盛り上げるための工夫を尽くしていた。

photo:kassy2828

19時過ぎにはさすがに辺りも暗くなり、そこかしこからカエルの鳴き声が聞こえてくると非日常感を改めて実感する。また夜になるとプロジェクターも登場し、VJブースも稼働しはじめた。

photo:kassy2828
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夜間になるときらびやかなサイリウムの姿が目立つようになり、昼間とはまた違った表情を見せる。日没後の静かな湖畔で聞くにふさわしいバラードで時にしんみりしつつも、最後の曲「only my railgun」で大団円。ステージ上には出演者も勢ぞろいでフィナーレを迎えた。スタッフや演者の笑顔で溢れるラストに思わずこちらも拍手で応える。

photo:kassy2828

「アニソンWOODSTOCKの楽しみ方」

photo:kassy2828

都心から高速道路を使って2時間弱という立地もあり、マイカーで行くもよし、高速バスを使って行くも、特急あずさに乗って行くもよし。小旅行気分で行きすがらも存分に楽しんでいこう。

会場に到着したら、気の置けない仲間たちとテントやタープを立てて、リラックスできるブースを作ると快適に楽しめると思う。日中は日差しが強いシーンもあるので、日除けのできるタープや、帽子は必須と言える。

photo:kassy2828

もちろん周りに気を付けながらではあるが、バドミントンをしたりして遊んだっていい。ボードゲームを持ち込んでテントで楽しんでいる人も見かけたりした。

photo:kassy2828

こんなシチュエーションだからこそ、ゆるキャン△の曲が流れたらいつも以上に楽しい。フロアには気付けばランタンや薪を模したサイリウムが集まり、みんなで暖を取り合う。これもアニソンWOODSTOCKならではの楽しみ方と言えるだろう。

photo:kassy2828

また、フードやドリンクのケータリングが充実しているのも非常に有難い点だ。わざわざクーラーボックスを持ってくるのは意外と手間だし、このおかげで極端な話、手ぶらでやって来ても楽しめる環境が整えられている。

フードもホットドッグやカップラーメンといった簡単な軽食であるが、野外の長丁場ゆえに、例えば事前調達した食料が傷んでしまわないか…という心配もする必要がない。

余談ではあるが、ケータリングブースのお手伝いをしていたSPY×FAMILYのアーニャのコスプレをした看板娘ちゃんに「ミックスナッツあるます」と言われ、筆者も思わず買ってしまったのだった。


「アニソンWOODSTOCKをもっと楽しむには?」

ぜひアニソンWOODSTOCKの後には近隣に宿泊してみて欲しい。山梨県はゆるキャン△やスーパーカブなど、アニメの舞台としても魅力的な土地がたくさん。ぜひ山中湖近郊の聖地巡礼がてら、友人とレンタカーでも借りて、宿泊。翌日は聖地巡礼という小旅行を楽しむことを強くオススメする。

河口湖を超えて、本栖湖の浩庵キャンプ場へ行くもよし、

中央道に向かいつつ、ほったらかし温泉でご来光を浴びながら温泉に入って、最高の翌朝を迎えるのも良い。ほったらかしまで行ったら合わせて勝沼のワイナリーを見学するのもオススメだ。

御殿場方面にはふもとっぱらキャンプ場もある。東名高速を使うユーザーならここも選択肢に入るはずだ。

少し気合いを入れて遠めではあるが、清里エリアのコテージに泊まるのもアリだろう。その際は是非、釜無川ポケットパークへ立ち寄ってほしい。もちろん、清里の牧場でしぼりたての牛乳を使ったアイスも楽しむのもお忘れなく。

その他、山中湖の近隣でオススメの温泉/宿泊施設/レストランなどをいくつか挙げておきます。

忍野八海は富士山の湧水地。美味しい蕎麦とコーヒーを楽しめるお店がたくさんあるのでオススメです。

この他にもシャトレーゼの工場でアイスを食べまくるのも楽しいし、信玄餅の工場で詰め放題にチャレンジするのも良いだろう。(めちゃ混むので)あまりオススメはしないが、御殿場でさわやかのハンバーグに舌鼓を打っても良い。ベタかもしれないが、一度も行ったことがないという人は富士サファリパークも楽しめるだろう。クルマさえあれば、1泊2日では回りきれないほどに山中湖近辺には楽しめるスポットがある、ということだけでも伝われば幸いだ。


まとめ

photo:kassy2828

今回のアニソンWOODSTOCKのMVPは間違いなくレイクサイドステージにあったと思う。正直に言ってしまえば、写真を見てもらっても分かるように、センターステージもトレイルステージもアニソン原曲でオタ芸を打ったりして盛り上がってる人が多かった。決してオタ芸マシーンたちを否定しているわけではないのでご容赦願いたい。

ただ、これまでのアニソンWOODSTOCKはこの2フロアのみだったので、どうしても盛り上がる曲やウケる曲の傾向がいわゆる"打ち曲"に偏ってしまっていたようにも感じられた。

しかし、今回レイクサイドステージという踊れるフロアが新たに新設されたことによって、非常に懐が深くなり、会場を回遊する楽しみが生まれた。

それに付随して、会場の音響周りの環境も非常に素晴らしかった点を挙げておきたい。場内に3つもフロアを作ってしまうと、音が入り混じって居心地が悪くなってしまいがち、という側面も生まれてしまうが、逆に会場のどこにいても適度に音楽が聴こえる環境がちゃんと作られていた。

各ステージのブース前から数歩離れると、他のフロアの音も聞こえてくる。そして気になったらすぐに行ける距離感に各ステージが設けられているので、あっちへ行ったりこっちに来たりが非常にしやすかった。無銭の野外アニクラではなかなかそこまで手が回らない部分でもあったりするのだが、素直に会場を設営したPAさんの腕の良さに感心した。当たり前の部分ではあるのだが、音響面への力の掛け具合が、長時間の大音量という環境下においてもストレスを感じさせないし、それがロケーションと相まって居心地の良さへと昇華されている。聞くところによると、主催の方の本業はPA屋さんとのこと。それは間違いないはずだ。安定した音響の良さが人気の理由に紐づいていると確信した。

そうやってイベントの基礎、土台部分がしっかりとしているからこそ11回の開催を重ねることで、テントを張ったり、バドミントンをしたり、ブルーシートの上でUNOをしたりと、いい意味でお客さんも自分たちなりにこのイベントの楽しみ方、より快適に過ごす方法というのを熟知してきているように感じた。その上で、打ち曲だけではないレイクサイドという新たな器を手に入れたことで、これまで以上にこのイベントを楽しめる客層というのは増えていくことだろう。

我々が"野外アニクラ"と呼んでイメージしがちなイベントから、今回の開催を経て、一歩抜け出したように感じた。そして何よりとにかくロケーションが抜群であることは言わずもがな。次回開催は2022年10月8日(土)を予定とのこと。今後もこの場所での継続的な開催と、更なる発展を期待してイベントレポートを締めくくりたい。

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