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今だからこそ都心の野外でアニクラを!ADMIXXの仕掛け人が挑む新たなチャレンジとは?

インタビュー・文・写真:ろーるすこー
写真:ウガイ カナ

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▲ IAM FESの舞台となる池袋西口公園野外劇場"グローバルリング"
photo by ウガイ カナ

2022 年 4月23日(土)に池袋西口公園にて参加費無料で開催される野外アニクラ「IAM FES」。 今回はそのオーガナイザーである「なヲタ」と同フェスを裏方としてサポートする「MASAMUNE(以下:マサムネ)」に開催を控えた現在の心境やなぜ開催するのか、また公募に期待することなどを訊いてみた。アニクラの原体験を元にしたひとりの男の純粋なシーンへの"想い"がこのイベントを開催へと突き動かしている。


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▲マサムネさん(左)/なヲタくん(右)
photo by ろーるすこー

−−−なんか、こうして改めて話をすると少しこそばゆいですが、今日はよろしくお願いしますね(笑)

なヲタ・マサムネ:よろしくお願いします!


−−−まずはお二人に自己紹介をお願いしたいのですが、自分となヲタくんとはもう何年くらいの付き合いになりますかね?

なヲタ:もう結構長いよね(笑)。自分がアニソンでDJをやり始めたのが6〜7年前くらいだから、それくらいからの付き合いになるのかな。

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▲IAM FES主催のなヲタくん
photo by ろーるすこー


−−−アニクラ界隈的には、直近だと渋谷のWOMBで行われた『wonderland』というイベントで公募を勝ち取って、メインフロアでブチかましてたのが記憶に新しいのですが、普段はどんなイベントでDJをしていますか……?

なヲタ:今、自分がレギュラーで所属しているのが、秋葉原のエンタスさんで開催している『音音酒飲(ねおんさいん)』『汚茶会』になります。ただ汚茶会は2022年4月の開催を最後に休止しちゃうんですけど……(笑)

音音酒飲:音音酒飲と書いてねおんさいんと読みます。秋葉原エンタスさんにて開催されている飲み放題付きのアニソンクラブイベント。その名の通り"音とお酒を楽しむ"がコンセプトのパーティ!って感じでとっても愉快です。飲み放題なはずなのに、なぜか毎回なヲタの財布の中身がスッカラカンになってしまうのはアニクラ七不思議のひとつに数えられているとか……。
(飲み放題メニュー以外の小さくて強いお酒を飲みまくってるからです。Q.E.D.)
twitter:https://twitter.com/Ne_on_Sa_in
汚茶会:汚茶くん主催のアニクラ。汚茶くんも自分の古くからのアニクラ友達の1人。なんだかんだ年一くらいでゲストに呼んで頂いてたので、休止は寂し〜ね〜〜。


−−−続いてマサムネさんですが、もう知り合って4〜5年くらいにはなるんすかね...。

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▲マサムネさん
photo by ろーるすこー


マサムネ:もうそんなに経つんですかね……。自分は元々広島で『A-Crash!!』ってイベントを主催してて、このイベントで各地のイベントさんとコラボさせてもらいました。2015年ごろに東京へ上京してきてからは、『GOTTA VISION』『AnimeltUP!』といったイベントでDJさせてもらってます。

A-Crash!!:通称「エークラ」。8年間も開催していたという事実だけで、広島のアニクラシーンに大きな影響を与えていたイベントであろう事は想像に容易い事でしょう。
GOTTA VISION:こちらは通称「#ごった」。その名の通り、アニソンを中心にJ-POPなどの音楽ジャンルをごった混ぜ!プラス、VISIONの通り映像にも力を入れており、レギュラーはもちろん毎回強力なVJゲストも招いて、目と耳で楽しめるイベント作りをされている印象が強いです。
Twitter:https://twitter.com/GOTTA_VISION
AnimeltUP!:アニメルトアップは国際色強めなアニソンイベントで、スペイン出身日本在住のDJ tonio氏とGuySaaN、そして我らがマサムネ氏が中心となってTwitchや秋葉原MOGRAで開催中。改めてマサムネさんのレギュラーの幅が広すぎる!
HP:https://animeltup.jp/


−−−広島で言えば『NERDYARD』さんの最終回にもゲスト決まってますしね。私はマサムネさんが東京に来られてから知り合いましたけど、当然その頃には東京にも名前が届いてましたし、実際にプレイを見てもめちゃくちゃ上手いしで、すぐ仲良くしてもらった記憶があります(笑)

マサムネ:プレイを見て、褒めてもらえるのが1番嬉しいからね(笑)。また高円寺で飲んだりしたいね。

NERDYARD:残念ながら来たる2022年3月19日をもって最終回を迎える広島の"踊れる"アニソンDJイベント。アパレル展開やインスタの運用も上手くて、オシャレ〜〜!でカッコいいイメージがどうしても先行します。
Twitter:https://twitter.com/nerd_yard


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▲グローバルリング内からステージを見るとこんな感じ。
photo by ウガイ カナ

−−−なヲタくんとマサムネさんはよく2人で飲みに行ったりしてるイメージがあるんですが、2人の出会いはいつ頃になるんですか?

なヲタ:マサムネさんと知り合ったのは、確か3〜4年前くらいのイベントで共演したのがキッカケですね。なんと言ってもあのエークラの主催ですからね。ボクは一方的に昔からマサムネさんの事を知っていましたけど、ホントにろーるくんの言う通りで、実際お会いしてみると年齢とか経歴とか関係なく気さくに話しかけてくれて、すぐ仲良くなりました。


−−−そう!マジでそんな感じだった(笑)。

なヲタ:DJプレイが凄いのはもちろんですが、出番が終わった後のフロアでのお客さんの対応もしっかりされていて、そういう点も含めてボクが尊敬するDJの1人です。お互い、普段は飄々としている部分も多いのですが、DJやイベントに対する考えや、その他の部分でも波長が似てるんだと思います(笑)。


−−−ホントにいつも2人で飲んでたり、イベントに遊び行ったりしてる印象が強くて、自分もたまにそこに呼んでもらったりして、他愛のない話だったり、マジメにDJプレイについて語ったりしますが、今日は後者でお願いしますね(笑)

マサムネ:じゃあ、そろそろ本題へ入りますか!


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▲photo by ウガイ カナ

−−−IAM FESなんですけど、コレはいつくらいからやりたいな〜って構想を練ってたんですか? 

なヲタ:コロナになる前からやりたいな〜とは考えていて、ただ世の中がそれどころじゃない状況になってしまって、そんな中でも何かやれることって無いかな?って事で始めたのが実は「ADMIXX」だったんです。

ADMIXX:「1番”アド”なA-POPmixを決める」をテーマに2020年に第1回を、2021年に第2回を開催されたmixコンテスト。詳細の諸々については後述しますが、その優勝賞金はなんと3万円ということで数多くのアニソンDJがチャレンジした企画だった。第1回目の最優秀賞が私、ろーるすこー。2回が新潟のG(ジン)さんでした。
Twitter:https://twitter.com/admixx1


−−−いや、これ多分どこにも話してないから誰も知らないと思うんだけど、実は『ADMIXX』を主催してたのがなヲタくんだったんだよね。

なヲタ:マサムネさんは色んなところでバンバンDJやってたし、その凄さとかも知れ渡ってるから第1回では審査員ってカタチで協力してもらったけど、実は2回目も名前は出てないけど裏方として手伝ってもらってたんです。自分とか、他にも運営を手伝ってくれた人は居ましたが、とりあえずやってみよう!的な感じの軽い気持ちで始めたので、特に主催とか明記しなかっただけなんですが(笑)。


−−−これを公表すると、私は第1回の最優秀賞を頂いてる身なので「なんだお前らズブズブじゃねーか」って誤解されるかもしれないのですが、ボク自身も主催がなヲタくんだって知ったの優勝した後なので……!それだけはハッキリさせておきたい(笑)

なヲタ:そうだね(笑)。「なんかこんな企画があるから良かったら参加してよ〜」くらいの話はした気がするけど、オレが主催みたいな話はしてなかったかもね。


−−−優勝おめでとうございます!ってDMが来て、賞金を振り込みますっていうので、入金先の名前を見て、なヲタじゃん!ってなったから(笑)ホントに!

なヲタ:これは今だからこそ言える話なんだけど、実は一次選考の時に自分はろーるくんの事を選んでなかったんだよね。ただ他のメンバーが名前を挙げてたから二次選考に進んで、そのまま優勝してたからオレもビックリした(笑)。まぁでも逆に、自分の考えとは別の作品が選ばれたってことはかなり公平に審査が行えたんじゃないかなとも思ったんだよね。

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▲photo by ろーるすこー

マサムネ:いま話に上がってる第一回のADMIXXでは自分は審査員をしていましたけど、よくあるアニソンのMIXコンテストって、どこかのアニクラの公募企画だったりすることが多いと思うんです。ただ、ADMIXXはイベントの出演権も絡まなければ、知名度やTwitterのフォロワー数も関係なく、単純に良いMIXを録ったDJを表彰する。そしてそこそこの賞金も渡す。

これってやっぱりなかなか出来ることじゃないと思うんですよね。だからこそ主催がどこぞの誰かも分からない"名無しの権兵衛"だったとしても、あれだけ沢山のmixを応募してもらえたのかなって。言い換えれば、なヲタくんの起こしたアクションに対してのアニクラシーンの人たちからのリスペクトとも捉えられると思うので、本当に良かったな……って思います。


−−−いや、見返りゼロで3万円はちょっと勇気いるよね......。純粋にアニクラシーンに対する想いだけで運営してたのはホントに尊敬するし、だからこそ2回目で審査員のお誘いを受けた時もぜひやらせてくれ!って即答でした。

マサムネ:そうなんですよね。ボクもなヲタくんのそういう部分をすごくリスペクトしていて、だからADMIXXも手伝わせてもらったし、IAM FESも裏方としてサポートすることにしました。

なヲタ:今回のIAM FESでも実は出演をかけた公募をやる予定なんですけど、ADMIXXの時と同じくマサムネさんにサポート入ってもらってるから、そういう意味でもIAM FESの公募もADMIXX同様に"公平さ"に重きを置いてやりたいと思っています。

マサムネ:IAM FESは入場料も無料で、各地から色んなゲストも呼んでます。交通費全額支給+賞金1万円で出演権をかけた公募もやりますし、そもそも会場を借りるのだけで2桁万円以上かかってます。その上で、これだけは皆さんに知っておいて欲しいんだけど、ADMIXXの時もそうなのですが、今回も経費は全部なヲタくんのポケットマネーです。スポンサーなども付けたりしてないので、本当に経費を掛けるだけ赤字、採算度外視でやってます(笑)


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▲photo by ろーるすこー

−−−ここまでくるともうお人好しすぎるというか、言い方悪いけどバカなんだと思うのよ......(笑) 

マサムネ:クラブで遊ぶ時とか、一緒に競馬する時とかも同じで、こういう豪快な部分が彼の良い所でもあるんですが、普通に心配になる瞬間もありますよね(苦笑)。


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▲池袋駅西口(中央出口)が恐らく最寄りかと……!ココを出て目の前のスクランブル交差点を挟んで直ぐが会場です!!
photo by ウガイ カナ

 −−−だからこそ逆に問いたいんだけど、何があなたをそこまでさせるの?って話なんですよね。今の時代、こんなことやれるなんて「どうせどこかのボンボンだろ」みたいに邪推する人もいるかもしれないけど、正真正銘、汗水流して稼いだお金だって事をボクは知っているので、誤解をさせたくないという意味でも懸ける想いみたいなのは聴いておきたいです。

なヲタ:う〜ん、IAM FESをやりたい理由としてはやっぱり『Re:animation』の影響は大きいです。自分のアニクラカルチャーに触れたキッカケの1つとしてリアニがあるし、そのおかげでアニクラを知ったか ら、やっぱりボクみたいな人の為にも、野外で"都心で"アニクラを誰かがやるべきだと。

Re:animation:通称リアニ。旧新宿コマ劇前での初開催を皮切りに、JR中野駅前、お台場海浜公園、山梨県上野原市など各地で行われた野外アニソンイベント。その功罪はさておき、シーンに多大な影響を与えたのは間違いない。


−−−確かに、シーンを少し見渡せば山中湖とか琵琶湖とか京都とか……そういうエリアでの開催を見ると、 今のご時世だからこそ野外でのアニクラってのは逆にアリなのかもって思わされるけど、でも"都心"でやるとなるとまだ腰が重い部分はある気もします。

なヲタ:都心での野外アニクラのやり方は、そういうイベントとはまた少し違うのかなって考えていて、やっぱりフラッと池袋にやってきた人も取り込める可能性があるのがデカいです。実際に自分もアニクラとそういう出会い方をしているので。IAM FES ではむしろ都心で野外アニクラをやる事の意味に焦点を置きたいなって思っています。


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▲池袋駅西口のスクランブル交差点。奥にグローバルリングが見えます……!マジで駅出て徒歩1分の距離感!
photo by ウガイ カナ

−−−なるほど、その点はこれから公募を送ろうと考えてる人にも考慮してほしいポイントかもですね。

なヲタ:もちろん、アキバや中野に並ぶサブカルの街っていう意味でも池袋でやる意義はあると思うんですが、本音を言えばそこよりも"都心の野外で"という気持ちの方が強いです。ただ、じゃあ都心の野外でどこか開催できそうな場所がないかと色々と調べていくうちに、今回の池袋西口公園野外劇場のある豊島区が自治体レベルでアニメカルチャーを尊重していることを知って、またボクらのやりたいことを手厚くサポートしてくれそうなことも分かって、ここでやりたい!という気持ちが強くなっていきました。


−−−何より池袋駅徒歩1分の立地は強すぎる……!(笑)。

なヲタ:ただ、正直に言えばこんな身銭を切ってのイベントはそう何度も続けて出来ることじゃない……というか恐らく今回が最初で最後になると思ってます。だからこそ色んな人に遊びに来て欲しいです。

入場無料なので、気軽に友達とか誘ってきてほしいですし、普段アニクラに遊びに来てる人には分かってもらえると思うけど、スキルは申し分なしのDJしか呼んでないので、絶対に楽しんでもらえると思います。とにかく、少しでも自分の大好きなアニクラカルチャーをひとりでも多くの人に知ってもらえるキッカケになればという想いで開催するので、ぜひ足を運んでもらえればと思います。

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▲ステージから見た会場の様子。右手にはカフェも併設されており、時にはゆったり腰掛けながらなど色んなスタイルで楽しめることだと思う。
photo by ウガイ カナ

−−−最後にこれはボクからのお願いなんですけど、そういう開催意図なので、少しでもアニクラとかに興味ありそうな人が周りにいたら、ぜひ誘って遊びに来てほしいです。2度と味わえない"非日常"がそこにはあると思います。せめて、これだけアツい想いを持ってアニクラをやろうとしている人がこのシーンにいるってことだけでも、同じアニクラシーンの人に伝わってほしいです。


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