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短編童話とうさんはいちばんぼし(改題、改訂)

  このお話はTwitterで詩として書いたものを、文章化したものです。
  父親を突然亡くしたヒトデのぼうやのお話です。
  ぼうやの視点ですので、平仮名とカタカナで書いています。

  それにしても、私が書く話は暗いとよく言われます。
  作品には本人がさらけ出されてしまうのでしょうが、私自身は明るい人なんじゃないかと勘違いして生きている生物かも。
  それはさておき、お楽しみ頂けたら幸いです。



短編童話「とうさんはいちばんぼし」(改題、改訂)

 ぼくはヒトデ。
 うみのそこで、とうさんヒトデとかあさんヒトデのさんにんで、たのしくくらしています。
 あるひのこと。
 となりのおじさんが、あわててやってきました。おじさんはいきをきらし、ぜいぜいしています。
 それをみたかあさんが、どうしてそんなにあわてているのとききました。
 おじさんは、とうさんヒトデがホラガイにおそわれたといいました。
 ぼくとかあさんは、びっくりしました。そんなことはうそだとおもいました。
 ぼくは、とうさんはつよいから、ホラガイなんかにまけないもんとおじさんにいいかえしました。
 おじさんはかなしそうなかおをして、くびをよこにふりました。
 かあさんはさけびごえをあげて、なきました。ぼくはよくわからなくてなきませんでした。

 そのひから、とうさんはいえにかえってきません。いえにはかあさんとぼくのふたりきりになりました。
 ぼくはかあさんに、とうさんはいつかえってくるのときいても、かあさんはなきそうなかおをして、とうさんのぶんまでふたりでいっしょうけんめいいきようねといいます。
 ぼくはとうさんがかえってくるとおもっています。でもそういうとかあさんがかなしそうなかおをするから、だまっています。
 とうさんはいつかえってくるんだろう。ぼくはまいにち、かみさまがすんでいるそらをみあげて、とうさんがはやくかえってくるようにおねがいしています。
 とうさんがいなくて、とてもさびしいです。ぼくはがまんできずにないてしまいます。
 
 そのひもかみさまにおねがいをしていたら、ぼくのおねがいがやっとかみさまにとどきました。
 かみさまは、とうさんはかみさまのおしごとで、よいのいちばんぼしとしてはたらいているんだといいました。だからながいあいだいえにかえれないんだって。
 ぼくは、さすがとうさんだとおもいました。だっていちばんぼしだもん。たくさんあるほしのなかでもいちばんはやくひかるほしなんだから。
 それからかみさまは、とうさんのおしごとするところが、まいにちひぐれからみえるとおしえてくれました。そのときは、とうさんにもぼくたちがみえるんだって。
 ぼくはまいにちとうさんにあえるとわかり、とてもうれしくなりました。
 かみさまももっとはやくおしえてくれたらいいのにと、ちょっとだけこころのなかでプンプンしました。
 かあさんにもかみさまがおしえてくれたことをいうと、なみだをうかべてわらいました。
 
 そのひからぼくはまいにち、ゆうぐれになるととうさんにあいます。きょうあったことをはなします。
 そらはとてもとおいから、とうさんのこえはきこえないけど、きっとぼくのこえはきこえているとおもいます。
 ぼくはもうさびしくありません。ごはんをいっぱいたべて、べんきょうもいっぱいがんばって、とうさんのかえりをかあさんとふたりでまっています。

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