音楽ゲームを"上達して楽しみたい"あなたに

プロ・契約選手の出現により、最近注目を集めつつあるゲームジャンル、音楽ゲーム(音ゲー)。このゲームを、"上達して楽しむため"のコツとは何なのだろうか。高校生から音ゲーに触れてきた筆者が、実体験も交えて考察していく。

お久しぶりです。あるてぃなと申します。
前回の投稿からだいぶ日が開いてしまいましたが、今回は後編も兼ねて書いていこうと思います。音ゲーをこれから本格的にやってみたい、ある程度やっている方向けの記事となっています。

はじめに

まず身の丈話からになってしまいますが、私は某メーカー企業に内定を頂いたことで無事就活を終えることができ、大学院での研究活動に従事していました。そしてその研究活動も、ついに修了という形で終わりを迎えることとなりました。本当によかったです。

つい最近大学院に入学したかと思えば、もう2年が経って卒業なのですから、月並みですが時間の流れとは本当に早いなあとしみじみ思います。その割には、研究室のイベントごとは全くできず、実験漬けだったなあという記憶ばかりではあるのですが…

また、世間の情勢もあり、人と人との接触が避けられている昨今ではありますが、コミュニケーション能力の大切さを痛感した年度だったと感じています。

就活面接に加え、普段の実験のスケジュール組みや論文の執筆にしても、いろいろな人間と意思疎通を取って、議論やすり合わせをしていく必要がありました。これは、僕が大学院で経験した学びの一つだと考えています。後にも役立ってくれるといいなあ。

さて、本題に移りたいと思います。
音楽ゲーム(音ゲー)をやっていて、

  • スコアが伸びなかった…

  • クリアランプを更新できなかった…

  • 理論値取れなかった…

ということは、恐らく誰にでもあるのではないかと思います。たとえ達人の領域にいるプレーヤーだとしても、このような経験は枚挙にいとまがないでしょう。

そしてこれらは負けじと実力を伸ばしていくための原動力にもなりうるものですが、得てして音ゲーを"楽しい"と思う気持ちを阻害してしまう要因になりがちではないでしょうか。

一方で、音ゲーの上達というのはこれらの克服の積み重ねであり、その積み重ねの経験は同様にゲームを"楽しむ"ということにもつながり、"楽しむ"ことで一層ゲームが上手くなるという、さらなる好循環を生む傾向があると思います。

そこで今回は、今までの音ゲーライフの集大成として、"上達して楽しむ"ことにフォーカスし、ゲームで良い結果が得られなかったときに効果的なコツのようなものについて、列挙・考察しようと思います。

"楽しむ"ことと上達のつながり

有名なことわざがありますよね。
「好きこそものの上手なれ」

人は好きなものに対しては熱心に努力するのだから、その努力に追従して上達という結果もついてくる、という意味です。実際、これは真理だと思います。音ゲーに限らずとも、スポーツや学問などでも同じでしょう。

ただ付け加えたいのは、上達することでさらに好きになり、努力したくなるということも十分あり得る、ということです。結果が数字という形で現れる音ゲーでは、さらにこの側面が強くなります。

「好きこそものの上手なれ」から考えると、好きだとか楽しむという気持ちは、モチベーションがある状態とほぼ同値に捉えられていることが分かります。これまで説明してきた、"楽しい"という概念は、つまるところモチベーションそのものが根源である、と筆者は考えています。

モチベーションの維持とは

しかし、モチベーションの維持はそう簡単ではありません。どんなことをやっていても、いつかはうまくいかなくなる時や、乗り越えなければならない壁が現れるものです。

ネット上にはたくさんの"音ゲー上達論"がありますが、"上達して楽しむ"ことは、こういった不調に対する付き合いの裏返しであると強く実感しています。

例を挙げるならば、筆者がbeatmaniaのSP皆伝を目標にプレーしていた時の経験でしょうか。皆伝はbeatmaniaの最上位段位であり、その曲目は幅広い個人差、"癖"要素の能力を求められるため、いわゆる地力譜面だけでなく、皿譜面や低速にも慣れる必要がありました。

しかし、個人差譜面をもある程度網羅しなければならないため、どうしても結果がついてこないことが多々あり、何のためにこれやってるんだろ、と堂々巡りしてしまうこともありました。

また、皆伝を取りたい一心で何度も段位を受けてしまった結果、負け癖がついて特定の場所で閉店してしまうようになってしまいました。粘着ダメ絶対。

これに対して、練習方法などを適宜見直していったのはもちろんですが、あえて皆伝のことを考えずに黙々と地力上げに徹することにしました。思い込みの強い私にはこれが合っていたのか、たまたま調子がいい時に受験してみたら、意外とあっさり抜けることができたのです。

冥のウイニングランは頭真っ白だったのであまり覚えていないですが、気持ち悪くなるくらい最高でした。

スランプを前に、あきらめて距離を置いてみることも一つの選択肢ですが、今回はあくまで継続する前提で、なかなか思い通りに結果がついてこない時のコツ、対処法を共有できればと思います。


1. 色々な曲や譜面に触れる

まず有効なのは、とりわけ自分のプレーしたことのない曲や譜面をプレーすることです。いわゆるフォルダ埋めという行為に近いかもしれません。自分の好きな曲が見つかったり、実力を上げるのに有用な譜面を発見できたりして不調を抜けられる、という寸法です。

とは言いましたが、上達という面で考えた時のこのアプローチの真の狙いは、「譜面を幅広くプレーすることで、対応力を身につける」ことにあります。好きな曲・スコアを伸ばしたい曲ばかりをやっていると、どうしても対応できる譜面が偏ってしまうのです。

音ゲーの機種で例えるならば、Sound Voltex (SDVX)ではこれが比較的適している、と言えると思います。SDVXはアナログデバイス(つまみ)を操作しながらの鍵盤配置を捌けるかが上達のカギですが、譜面によって傾向が随分違っていたりするため、経験値がものを言います。

加えて、SDVXは収録曲のBPMが全体的に高く、幅広く選曲していても、鍵盤配置に対する手の速度が養われやすいように設計されていると感じます。

この方法でのプレーは、スコアや出来を気にしすぎるとかえって癖やモチベーション低下の原因になるので、深く考えずに次々曲に触れ、肩の力を抜いてやるのが吉でしょう。

ー武器曲や目標となる曲を作る

様々な曲や譜面に触れる過程で、気に入ったものが出てきたら、それを突き詰めて"自分の武器になる曲"としたり、現段階でプレーするに十分な実力がなかったとしても、その曲や譜面を目標としてみるのもいいかもしれません。

今や音ゲーのプロと呼ばれるような人たちには、必ずと言っていいほど自分の"武器曲"が存在します

先日、KONAMI社とプロゲーマー契約を結んでいるDOLCE.氏が、灼熱 Beach Side Bunny (SPA)で3363点という前人未到のクソヤバスコア(2022.03現在)を叩き出していましたが、氏の場合ではとりわけ、皿譜面全般が武器曲であると言えるでしょう。正直なところ私では、氏の実力を理解するにはあまりに力量不足ではあるのですが…

とはいえ、このように達人の域まで到達するのは難しいので、武器曲は"自分が自信を持って、心地よくプレーしやすい曲"位に捉えて、自分だけの武器曲を作って・増やしてもらえると幸いです。

武器曲はプレーヤーの個性が出る箇所なので、ほかのプレーヤーの武器曲もプレーしてみると、さらなるモチベーションの向上が望めるでしょう。


2. 取り組み方を変えてみる・工夫する 

次に挙げるアプローチとしては、ある特定の運指を組んだりして攻略したり、普段とは違った設定や環境でプレーすることです。

前者については、いわゆる"譜面研究"と呼ばれる方法であり、後で詳しく説明します。

そして後者は、例えばハイスピードや判定値に代表される、普段のプレーに関係する設定を変えてみたり、生活習慣や摂るものを最適化することなどを指します。

不調への対処法としては、恐らくこの方面へのアプローチが一番「らしい」のではないでしょうか。音ゲーにおける不調の原因は、そもそも指や腕が追い付いていない、というフィジカルの要因もありますが、ノーツが認識できずうまく拾えていない、という場合も多くあります。

そこで、先ほど挙げたような方法を用いることで、ノーツに対する認識を改善し、不調の根本から解決していこうというわけです。

中でも「普段のプレーに関する設定を変える」という点について、少し述べたいと思います。

音ゲーが不調な日というのは、どうしても認識や指の動きがおぼつかず、やみくもに設定を変えてしまいがちです。

筆者もゲーセンでbeatmaniaや、自宅で発狂BMS(beatmaniaのパk…オマージュしたゲーム)をプレーしているとき、なんだか今日はしっくりこないなあと思って、緑数字(ほぼハイスピと同じです)やリフト・サドプラ、判定の値を頻繁にいじってしまうということが、今でもたまにあります。

しかし、こうした対処は、大体の場合徒労に終わることが多いです。この方法でも何とかなる日は、後から見てみればそんなに不調ではなかったな、という印象です。この理由について、プレー周りの設定の急激な変化は、時として認識や判定の根本を揺るがせかねないからである、と推測しています。

まして不調な日であればなおのこと、変化に柔軟に対応していくことは難しいでしょう。従って、設定を変える時はある程度の間、変えずに据え置いてプレーするのが良いと思います

ー譜面を研究する

譜面研究は、特に覚える要素の強い配置・とっさに押しにくい箇所に対して、事前に指や腕の動かし方を決めておくことが基本となります。そして実際にプレーしてみて、さらに運指を最適化したり、タイミングを計ったりという段階に移っていきます。

このアプローチが特に有効な場合は、配置をランダムにできない、あるいはランダムでのプレーがあまり現実的でない・やりにくい機種や譜面でスコアやクリアを狙う場合です。(ランダムオプションは一部の機種で実装されている機能で、ノーツの降ってくるレーンを無作為に入れ替えてプレーできます)

例えば音ゲーの機種でいうjubeatはゲームの性質上、ランダムを含む譜面オプションが効かないので、すべての譜面において譜面研究が有効です。

加えて、片手だけで押せない出張配置や、NGゾーン(譜面が指や腕に隠れて見えなくなってしまうパネル域)という独特の概念があることが、主な理由として挙げられます。

譜面研究の効果としては、事前にノーツの拾い方を決めているため、認識を補完でき、完璧なタイミングで拾うことに注力できる点です。この効果は、特に理論値狙いなどで、譜面を何度も連奏する場合に強く発揮されると言えるでしょう。

一方でデメリットとしては、認識が雑になってしまうことで、いわゆる癖がついた状態になりやすくなることが挙げられます。

隅々まで配置を頭にインプットした上で、精確にプレーする分には問題ないのですが、記憶した配置や実際の運指で、どこかに間違いや気のゆるみがある状態でプレーし続けると、"見えているのに押せない・そもそも譜面が見えない"状態になってしまうのです。

癖がついてしまったと自覚した場合には、基本的に運指を変えるか、放置するかの2択しかありません。従って、癖は予防することが第一です。予防の方法としては、配置や運指を常にクリアに保っておくことが肝要であると考えられます。

調子自体は悪くないのだけど、一つの曲で行き詰っていて伸ばしたい場合には、譜面研究を用いるとうまくいくかもしれません。

ー集中できる条件をつくる

音ゲーのコンディションは、集中してプレーできているかどうかにも左右されます。他のことを考えずプレーに没頭できているか、ということです。

外で運動をするとき、靴紐が緩んでいたら落ち着きませんよね?ここで述べるアプローチは、そんな集中を妨げうる要素を除いたり、もしくは集中そのものを深めることを目的としています。

集中を妨げうる要素としては、プレー待ちの存在が挙げられます。待ちと交代することで、せっかく集中しかけていて指や腕も温まってきたのに、腰を折られてしまったということは、特に人が多いゲーセンでプレーしている方は経験があるのではないでしょうか。

筆者はガッツリやりたい日は待ち列を気にするタイプで、極力待ちがいないタイミングを狙ってプレーするようにしています。ゲーセンの選択肢がない、という場合には厳しいかもしれませんが、連続してプレーできる環境や時間帯を探すことは、プレー中の集中に一役買いそうです。

また、集中を深めるための方法は、カフェインを摂ることがすぐ実践できるものの一つとして挙げられます。

カフェインは、エナジードリンク、紅茶、コーヒーなどに含まれており、集中力の増進や、覚醒を促す作用があります。そして筆者は初耳だったのですが、どうやら疲労に対する持久力の向上に役立つことも示唆されているようです。

無論、許容量があるためやたらにとるのはお勧めしませんが、適度な摂取は集中を深めることだけでなく、パフォーマンスの質の底上げにも寄与する可能性があると言えます。

留意点としては、カフェインが体内に回るのに30分ほど時間がかかるので、プレーを始める時間に合わせてあらかじめコーヒーなどを飲用しておくと、さらに高効率となることが期待されます。

3. 結果を可視化する

最後に挙げるのは、結果や状況を見える形に編集することです。

人間は、視覚的情報を主に信頼する傾向があります。従って、自分のスコアやクリアランプが一目で見てまとまっていれば、自身の現状や問題点を把握することもたやすいでしょう。

ースコアツールや地力表を導入する

結果の可視化のための具体的な手法として、スコアツールや地力表に、自分のプレーデータを反映させることが挙げられます。

筆者がお世話になったこれらのツールの中で一番印象に残っているのは、beatmaniaの☆12参考表のノマゲ地力表・ハード地力表です。

このツールの特徴としては、曲のクリア状況をFAILED・EASY・HARD・EX-HARD・FULL-COMBOで色ごとに登録できるため、どの曲がどのクリアタイプなのかが一目瞭然です。私は地力ごとに丁寧に埋めるタイプなので、次はこの曲をハードクリアしよう、などモチベーションの支えとなっています。

また、クリア状況を登録した日が記録されるため、クリアまでどの程度時間を要したのかが把握できます。加えて、日ごとのランプ登録状況やその推移も閲覧することができ、自分の調子を客観的に確認することができます。

筆者は最近、☆12でも少しずつ鳥が出せるようになってきたので、いずれBPIマネージャーというbeatmaniaのスコアツールの導入を考えています。BPI 0 = 皆伝平均なので、そう低い壁ではないのですが…

SDVXやjubeatでは、スコアのcsvファイルを出力することで、曲のジャケット画像に自分のスコアを乗せて一覧表にできるツールも存在するようなので、興味があってまだ導入していない方は、検討してみてはいかがでしょうか。


おわりに

まとめとしては、"上達して楽しむ"ことはつまり、"モチベーションを持ってプレーする"こととほぼ同義であり、"不調と付き合うこと"と表裏一体である、ということです。

これを踏まえ、様々なアプローチでのモチベーションの維持方法や、スランプへの対処法を、筆者なりの視点から共有・提案させていただきました。

例としてKONAMI社製音ゲーしか挙げられていないのは、なんというか自分の見地が狭い気がしてなりませんが、今後機会があればセガ社製音ゲーも本格的に触ってみようかな、とも思ったり思わなかったり…

感想としては、自分って意外と考えて音ゲーしてたんだなと、客観的に分析して感じています。自慢するつもりはないですが、音ゲーしながら何を考えているんだろうと、心の底では常日頃考えていて、今回その一端をこうして表現できて、素直にうれしいと感じています。

以上、拙筆ではありますが読んでいただきありがとうございました。

普段の何気ない出来事についても、今後は発信できたらいいなあ。

あるてぃな


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