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12/10(日) | 藤井一至さんと「土」を考える 第2回 「土の時間 水の時間」

《オンライントークイベント》
藤井一至さんと「土」を考える
第2回 「土の時間 水の時間」

【出演】
藤井一至 × 森田真生

【日時】
12/10(日)
14:00-16:00(開場 13:50 予定)

【参加費】
4400円(税込)

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 土と水——どちらも僕たちにとってなくてはならないものだ。それは生命誕生の当初からそうであったらしい。

 生命は海のなかで育まれてきた。水に適応し、水を必要としているのは、地球上のすべての生命に共通する普遍的な性質だ。「地球上には多様な生物が存在するが、水に適応しているという点だけは驚くほど多様性がない」と藤井一至さんは『現代思想』への寄稿「循環する水と変化する土」(『現代思想』2023年11月号)のなかでも記している。

 一方で、生命が生まれるためには、「土(粘土)」も大きな役割を果たしたという。古の海には粘土があった。粘土は電気を帯びている。水のなかではバラバラになりやすいアミノ酸どうしを引きつけ、たんぱく質や核酸の合成を可能にする条件を準備したのが、海のなかにある粘土であった

 生命の誕生の舞台としては地球外惑星、深海の熱水噴出孔など星の数ほど仮説があるが、生命進化における粘土と水の重要性を否定する人はいない。

藤井一至「循環する水と変化する土」

 生物活動にとっての土と水の必要性は、陸地において、ますます切実になる。生物が陸地に上陸していくためには、海のなかで生命を支え続けていた土と水を、陸地に運び出す必要があった。

 地球46億年の歴史の中で陸地に生命が存在するのは、直近の5億年に限られる。5億年前の陸地に土はなく、岩石砂漠が広がっていた。土がない環境の厳しさは都市の街路樹の弱り方をみるとよく分かる。変化を緩衝してくれる土と水の蒸発散に伴う気化熱(潜熱)の放散がなければ、温度上昇や乾燥にさらされ続ける。

藤井一至「循環する水と変化する土」

 土のない過酷な環境に真っ先に進出し、陸上に土を準備してくれたのは地衣類やコケ植物だった。その後、長い時間をかけた生物と無生物の相互作用を通して、大地の土は少しずつ育まれていく。海を飛び出した生命の活動によって、壮大な『大地の五億年』が紡がれていくのだ。

藤井一至『大地の五億年 せめぎ合う土と生き物たち』(ヤマケイ文庫)

 生きるために土と水を必要としているのは、人類ももちろん他のあらゆる生き物と同じだ。だが、生物の営みという観点から、土と水を考えるとき、浮かぶ上がってくるのは、生物活動を支える「水」と「土の栄養分」が「両立しにくい」という現実だ

 生物活動を支える水と土の栄養分だが、この二つは両立しにくい。水は栄養分を土から洗い流し、土を酸性にする。アフリカ中央平原と南米アマゾンには充分な水があるのにもかかわらず人口密度が低いのは、土に栄養分が乏しかったためだ。逆に、乾燥地の土は中性で肥沃だが、肝心の水がなければ話にならない。
 こうして最古の農耕弁明の一つは大河のある乾燥地で始まった。

藤井一至「循環する水と変化する土」

 土が栄養分を保持し続けるための適度な乾燥と、生物活動を支える潤沢な水と——「乾燥と水」という、本来両立するはずのない二つの条件が同時に成立する稀有な場(大河のある乾燥地!)においてこそ、人類は存分にその生命の可能性を展開することができたのである。
 
 生物という観点から土と水をとらえていくことで、藤井さんの語る「土と水の五億年」は、陸上生物にとっての土と水の切実な必要性とともに、その両立のしがたさ、その両立を支える条件の成立の困難さをくっきりと浮かび上がらせていく
 土も水も地球上にあふれているが、ただ土があり、水があるだけで、僕たちは生きていけるわけではないのだ。だからこそ、生命とのつながりにおいて、土と水の関係をよりよく理解し、その関係を育んでいく道を探りたいと思う。

 目に見えないさまざまな関係に関心を集めることは、多様な時間のスケールに感覚を開いていくことでもある。川が山を削っていく時間。土が1ミリずつ形成されていく時間。細かな水脈をめぐりながら、雨水がゆっくりと濾過されていく時間。ミミズがうごめき、ドングリが芽生え、高木が大量の水を葉から蒸散させていく。生命の営みとともに紡がれていく、土と水の多様な時間に思いをめぐらせ、そこから生命と、土と、水のさらに豊かな関係の可能性へと想像を膨らませてみたい

 そんな願いを込めて、12月10日(日)、鹿谷庵に藤井一至さんをお招きして「土の時間 水の時間」をテーマにお話を伺うことになりました。藤井さんに鹿谷庵にいらしていただくのは、昨年の6月に「土と病」をテーマにお話を伺って以来、一年半ぶりです。

 イベントはオンラインのリアルタイム配信となります。久しぶりに「藤井一至さんと『土』を考える」貴重な時間を、ぜひたくさんのみなさんと分かち合えたらと思っています。
 ご縁がありましたら、ぜひご参加ください。
 
 当日のひとときをいまからとても楽しみにしています。

(2023年11月24日 森田真生)

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【お申し込み方法】
 
当イベントは「Zoom」ウェビナーによるオンライン配信イベントです。ご参加ご希望の方は下記URLよりオンラインチケットのご購入をお願いいたします。ご購入をもってご予約は完了いたします。

オンラインチケットご購入ページ↓
https://tuning-bookstore.com/items/654ac32340aa62140ec89526

イベントの開催についてご不明な点がございましたら、
こちら[lab@choreographlife.jp]まで。担当:鎌田

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