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雨の日の伐採




八月八日に、北条小学校の大榎は伐採されました。
この日は葉っぱの日だからか、笑いの日だから明るく見送ろうなのか、隣接の五百羅漢の千灯会に合わせたのか。

またこの日は、小学校の大先輩でもある柳田國男の命日でもありました。未来の民俗学者が校庭で運動をしたり遊んでいたりした頃(1885年)、榎はどんな大きさで枝を広げていたのでしょう。



伐採は午後一時から。雨模様の中、百人以上のこどもとおとなが集まって、老人の姿もあちらこちらに。途中から本格的に雨が降り出し、学校からは傘が貸し出されました。雷雨にならなかったのが幸い。

記念に幹や枝の一部を希望する人が多いのか、校長先生は職人さんに細かく指示、時間をかけての作業でした。終了時には温かいお茶が全員に振る舞われて、みんな立ち去りがたく、年輪を調べたり、木屑を拾ったり。
それにしても、150年立っていた木が、たった一回、初めて倒れる姿。それを見たことが、どんなことなのか。今でもよくわかりません。



後日訪ねると、切株と若木が、過去未来のオブジェのように。
大きな木の消えた後は、なんだか風景が緩くすかすかした感じ。寂しさは限りありません。けれど、切株が残ったり、後継の幼木が育ったりが木の良いところでしょうか。

 景 一 つ 失 せ て 今 年 の 秋 に 入 る








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