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初夢 芭蕉のHTML講座


 「貘の詩画館」というホームページを開いた年の初夢です。1997年。オープン当初に掲載していた文章ですが、夢と獏のページを休眠させる際に取り下げたままでした。
 いまや、HTMLなど書かなくても、ブログやTwitter、note等々で十分発信出来るようになりました。でもまあ、面白い夢ではあるし、これから何が起こるのか、わくわくしていたのは、昔も今も一緒。あれやこれやと試行錯誤も同じ。原点に帰ってみるのもよかろうと、ここに再掲載しておきます。


 芭蕉のHTML講座

 今年の初夢は、芭蕉のホームページ作法でした。
 何人かを前に翁の講義が続きます。コンピュータは見当たらなかったものの、HTML文書をプリントしたのが何枚か、畳の上に散らばっています。

 翁のこの日の教えは「陰晴論」でした。
 ホームページの晴の部分と、陰の部分をよくよくわきまえよ、という含蓄のあるお言葉なのですが、なかなか難しい話です。表に立ったところと、裏に控えたところ。「陰晴のこと、究め難し」と自らおっしゃいます。

 また、「小よく語り、大よく黙す」とも。
 小さなページはゆたかに語るよう、大きなページは黙し気味に作れ、という世阿弥の「花伝書」にもありそうな極意です。これまた、言葉ではなるほどと思うのですが、実践となると……。

 この二ヶ月、ホームページ作りのあれこれに右往左往していたので、こんな夢を見たのでしょう。昔、芭蕉翁がワープロに向かっている姿は夢で拝見しましたが、マウス捌きの方はまだご披露して下さりません。

 翁の作るホームページ「枯野」とか、蕪村のホームページ「新々花摘」、一茶の「おらが巣」など、 イメージしていくとそれぞれの個性ある作りが窺われてなかなか楽しいものです。
 ガリレオの日々の木星スケッチや、ファーブルの情熱的な昆虫ノートの頻繁なアップデート。
 http://www.ras.or.jp/ihatov/index.html にアクセスすると、What's Newに書き上げたばかりの賢治の新作情報がある……なんだかわくわくして来ます。

 すごい時代であることよと感心している傍から、どれ、と翁がこちらのHTML文書を採り上げて、どっと冷や汗が流れます。


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