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Duke Ellington at Musical Planet


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デューク・エリントン(Duke Ellington)

 陶像:音座マリカ 
 文章:泉井小太郎


Lotus Blossom

泥は
水と土と
微生物のジャングル
混沌と
親和と
流動のオーケストラ
一粒の
音が蒔かれて
雨と
時と
光が降れば
神秘はひらく
不思議は踊り出す


   ♪

   
   
普段、ビッグバンドはあまり聴かない。と言いつつ、ある日はエリントン楽団を、ある日はベイシー楽団を、また別の日はアフリカのサニー・アデのジュジュ楽団を、さらにジャマイカのカウント・オシーのナイヤビンギ楽団を聴き耽る。
でもやっぱり狭い木造家屋ではコンボ演奏が落ち着く。ピアノなどはソロやトリオがいい。だからエリントンもピアノ・アルバムをよく聴く。サン・ラやカーラ・ブレイも愛聴盤はそれぞれソロ、デュオ盤。彼らにとってあまりいい聴き手ではないだろうが、フルバンド演奏が嫌いというわけではない。


   ♪

   

「ロータス・ブロッサム」はビリー・ストレイホーンを追悼したアルバムで、録音終了後エリントンがひとり弾き出した曲。帰り支度を始めたメンバーの話し声がする中、エリントンは名残を惜しむかのように、せつせつとピアノを弾く。
この曲を識ったのは、金沢にあったジャズ喫茶「ヨーク片町」の閉店の日。13年の営業。がらんとした、音だけがのびのびとゆく贅沢な空間だった。どれだけの曲がここで流れて聴かれたのか。最後の夜の名残が尽きず、明け方まで残った少数の客。そろそろ終わりにしょうという頃、マスターが最後に選んだのが「ロータス・ブロッサム」だった。みんな静かに聴いた。さすがに万感迫ったのか、マスターは泣いていた。


   ♪


 デューク・エリントン(Duke Ellington)1899 - 1974
 ピアニスト、作曲家、バンドリーダーとして卓越した才能を発揮。
 色彩豊かで重厚な演奏はジャングル・サウンドとも呼ばれた。
 オーケストラを自己の楽器として自在に操ったジャズの巨匠。
 
 愛聴盤(アナログ盤):
 ○ Piano Reflections (The Jazz Club)
 ○ The Great Reunion (Roulette)
 ○ Money Jungle (Liverty)
 ○ Duke Ellington &  John Coltrane (Impulse!)
 ○ The Popular Duke Ellington (RCA)



ご来場ありがとうございました。お楽しみいただけたでしょうか。

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