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TV報道の嘘はこうして作られる。ブチ切れる前にすべきこと。

twitter経由でTV局2社から取材を受けました。

取材といっても、「専門家のご意見を!」って感じじゃなくて、体験談を話して欲しいというものだけど。

1社はTBS、1社は関西読売。

感想を先に言うとこんな感じ。

・番組の結論はすでに決まっている
・取材と言いつつ、欲しいのは動画素材
・数秒、数十秒の放送に数十分かけて丁寧に作ってはいる
・嘘情報がいっぱい混じる
・でもあまり怒らない方がいい

ちょっと悪いことばっかり並べたてたけど、実のところ今回の取材を受けて、マスコミへの嫌悪感みたいなものはむしろ減りました。

まずは取材された体験談から。

TBSはちょっと上から目線過ぎた

TBSの目的は、「台風による沖縄の飛行機欠航で帰れない人」への取材。
twitterでその話をしたら取材依頼がきました。

状況
・便の変更は無料
・ホテル1泊分余計にかかった

TBSはとにかく「結論ありき」の言葉を引き出そうとしてきました。

twitterで何度かやり取りをして、それでzoomで取材を受けたけど、それですごく感じたのが「台風のせいで旅行が台無しになった」という結論が欲しいというもの。

ただ実のところ、わたしは今回の沖縄旅行を割と楽しんでいました。
少なくとも全然台無しではない。

なんども繰り返し「残念だった」「台無しだった」って言葉を引き出そうとしてきたけど、それは事実と違う。

TV局のほしい結論
・観光地に行けない
・お店がやっていないから沖縄名物が食べられない
・仕方なくスーパーマーケットで買ったものを食べた
・沖縄旅行は苦い思い出に

実際は
・旅行予定日は普通にお店があいていてすべて予定通り
・グルメは「あぐー豚のラーメン」を頂いた
・国際通りで買い食いもした
・延泊日のみ飲食店があいていなかった
・スーパーマーケットでご当地食材を買いあさったのも希望どおり

個人的にはかなり満足いく沖縄旅行でした。
いや、台風時の沖縄だって貴重な体験だっていえると思う。

でも、それではTVとしては困るみたい。

「沖縄特産の料理食べたかったですよね?」
「一度は沖縄特産の料理を食べたかったですよね?」
「観光地を見に行けなかったですよね?」

何度も言ってくる。

だけど、スマン、沖縄料理ほとんど知らない。
観光地も国際通りしか知らない。

だけど、、、ああ、ここは「Yes」以外の答を求めていないんだなー、、、って。

ついにはもう面倒になってハイハイ言ったけど、さすがにこの部分は捏造臭くなるからか、放送では使われませんでした。笑

でも実際の放送では、

「お店があいていなかった」
「苦い思い出に」

という、事実と異なるアナウンスが流れていました。

TBSはひたすら要求だけしてくる

残念ながら、今回の放送の時間帯はTVを見ることが出来ませんでした。
飛行機の都合で。

だけどせっかく取材に応じたのだから、「なんとか見られるようになんないか?」って聞いたんだよね。

結果、

「なりません」

「では次の番組にまた映像使うから許可ください」

ですって。汗

映像素材は無料で貰う。
時間も無料で貰う。
だけど、内容を見せる努力は1ミリもしない。

それでいてすぐさま次の要求、、、すさまじい物乞い根性。

規定とかで無理なら無理で、それなりの態度ってあるんじゃないの?

さすがにちょっと怒っちゃって、指摘した。

ちょっと時間たって丁寧に謝ってきたので、まあ今回の人はマシな方なのかなーたぶん。

TBSのよかった点
・責任者の名前連絡先を求めたら素直に出してきた
・ちゃんと丁寧に謝ってきた

よくない点
・結論ありきで編集、事実と異なる内容になる
・タイミング良く番組見ないと内容確認ができない
・ひたすら要求しかしてこない

おかしい点はあったけど、まあ0点ではないかな。
たびたびSNSで見かけるほどヒドい対応ではなかったと思う。

責任者の名前連絡先を求めたらちゃんと詳細返してきたし。

関西読売の脱毛火傷の取材

関西読売の取材は「脱毛の火傷被害」について。
ちょうどわたしのアカウントで、火傷というか、肌トラブル起こした写真をUPしていたので問い合わせが来ました。

「写真を使いたい」のと、「zoomで体験を聞いて内容をニュースに使いたい」ということ。

単に恐怖を煽るだけの内容にならないか心配だったので、以下の2点を確認。

・脱毛の火傷トラブルが急増している
・役所の統計でしっかり根拠はある

2回くらい電話確認して、実際に公益性高いと判断して受けることにしました。

詳細の前に感想を。

結果
・やっぱり放送に嘘を混ぜようとする
・内容に問題ないか確認電話あり
・番組内容は確認できた

よくない点もあるけど、TBSよりは誠実かな。
こちらの体験と画像素材ありきだから、その分は下手に出てきたのかも?

それからzoom会議の内容は保存したいので、録画承認はお願いしました。
拒否したらボロッカスに言ってやろうかと思っていたけど、、取り越し苦労でした♪笑

TBSよりはしっかりしている。

zoom取材ではまず、こちらのtwitter活動の経緯の確認。
そしてメインは火傷したときの状況、あと読売のスタッフさんが脱毛に詳しいわけではないので、必要そうなお話をちょびっとしてあげて終了になりました。

放送も全体的には悪くなかったです。
火傷をした場合の対処法、しないための対策の話にならなかったのは残念だけど、そこはTVの限界かなー。

おかしいと思った点(読売)

放送するまでに「おかしい」と思ったのが次の2点。

・事実と異なる情報を流そうとする
・画像等の使用権利の要求が過剰

放送前日に読売の方から電話がかかってきました。

読売さん:「六條さんのSNSに火傷や脱毛トラブルの相談が多数寄せられて、的な言い方で大丈夫ですか?」

六條:「火傷相談は多くないって強いめに伝えたはずですけど?」
読売さん:「でも、これでも嘘ではないですよね?」

まあ確かに文法的には嘘じゃない。

だけど、伝わる意味は全然違うよね。
普通は「火傷の相談が多数」って解釈する。

六條:「嘘じゃないって言いますけど、これ意図的に事実と違う解釈をさせていますよね?」

読売:「・・・・・」

六條:「これで不利益被るのわたしなのですけど、、?」

読売:「わかりました。露骨に火傷が多数って感じにならないようにしますね。」

あんまり考え無しにハイハイ言っていたら不利益被りそう。
そもそもなぜに確認電話をしてきたかというと、「悪いことしている自覚がある」からだよね。

結果、放映当日。

ナレーション:「脱毛による火傷やトラブルの相談が全国から寄せられている」

うん、よくはないけどギリセーフ。笑

テレビとか、ほんと悪い話を人を煽るのが大好きだよね。
TBSの台風取材のときも、とにかく悪い話、悪い話と。

悪い話ほど人の目を引きつけるから、それで煽りたいのは分かるけど、でも「嘘ではない」って言い訳をしっかり用意して嘘をつくのはいくぶん悪質かなって気はします。

悪意を持っているのを自覚してのことだし、あらかじめそれを誤魔化そうとしているし、さらにはその罪悪感にすら責任を放棄している。

泥棒は他人の物を奪った自覚があると思う。
だけどマスメディアの人は他人を騙しても、それを認めきれない。

いや、本当は悪事の自覚もあるけど、それを認めないためにあれこれ小賢しい理屈をこしらえている。

マスコミ取材は油断ならない。

事実確認の電話でも油断ならないと思ったけど、画像素材の権利に関しても油断ならない。

こちらの画像ファイルを送るのに、今回の画像提供、わざわざ専用アップロードサイトを案内されました。

そもそもtwitterでやり取りしていたのだから、画像もtwitterでそのまま渡せば終わりなのでは?

まあ事情もあるのだろうと、言われたページにアクセスしたら、読売専用の投稿ボックスというところでした。

https://www.ytv.co.jp/toukou_box/

画像を送信しようと思ったら、利用規約の同意が出てきました。

すでに不審に思っていたので細かく読んでみたら、それはとても同意できるものではありませんでした。

・権利は投稿者のもの
・ただし読売が今後いつまでも好きに編集して使える
・「他の規約ページ」もありその規約ページにも同意したものとする
・その「他の規約ページ」が見つからない
・その「他の規約ページ」の内容が変更された場合もその内容に同意したものとみなす(←完全に違法)

https://ytv.nnn-post.jp/media/web/agree.php

ニュースのために画像を提供するのはかまわないけど、局で自由自在はちょっと困る。

あまり人に見せたい写真でもないので、無関係のシーンで使われるのはイヤです。

さすがに同意出来ないと伝え、twitter経由で画像を送りました。

たぶん、今回のスタッフさんに悪気はなかったと思います。
規約とか見ていない。

今回のファイル送信は「画像ファイルの管理がしやすい」という目的らしく、たぶんそれは嘘ではなさそうです。

ただ、このような図々しい規約を普通に設けている相手だというのは分かっていた方がいいと思いました。

TV放送の「結論ありき」は仕方がないと思う。

冒頭の感想をもう一度。

・番組の結論はすでに決まっている
・取材と言いつつ、欲しいのは動画素材
・数秒、数十秒の放送に数十分かけて丁寧に作ってはいる
・嘘情報がいっぱい混じる
・でもあまり怒らない方がいい

マスコミが情報操作をしていることは疑いないけど、でも仕方がない側面もあるかなって。
今回の取材を受けて思うようになりました。

なにせTV放送では情報量が膨大なうえにすぐに締め切りなので。

誠実な流れで番組を作っていたら放送に間に合わない。

情報発信をする場合、一般的な感覚だと以下の流れになると思う。

<わたしたちが思う番組制作>
1.取材

2.番組内容作成

3.編集

4.放送

これでは放送に間に合わない。

なので実際の報道番組制作は「1.」と「2.」の順番が入れ替わってしまっている。

<実際の番組制作>
2.番組内容作成

1.取材

3.編集

4.放送

NHKスペシャル的なものだと取材ありきで作るのかも知れない。
でも毎日の報道番組では順番は逆。

シナリオありき、結論ありき。

だって、内容をあらかじめ決めてからじゃないと放送に間に合わないから。

たとえ取材対象が想定していたシナリオと違っていても、もう編集でなんとかシナリオの方に合わせないと放送自体が出来なくなる。

ただ、ここでマスコミの偏った報道に対して激しく怒るのも「あまり筋がよくない」かなって思ったりもします。

仕組み上、清廉潔白さを求めたって「それは不可能」というものなので。
だって、ちゃんとした流れて作っていたら、放送に間に合わないんだもん。

TV番組は時間と手間をかけて作られている

今回2件の取材を受けたけど、いずれの番組、いずれの局でも、番組作成には時間と手間をかけている。

例えば取材で30分話をしても、その中の1分くらいしか使わない。

「あんなに話したのに!」ってフンガイするのも見かけるけど、でもその1分のために、予定を組んで、話をして、編集の手間をかけています。
最終的に1分でも、その1分のために30分を見ているはず。

一般の声にしても、専門家の声にしても、取材動画をニュースに入れるのってすごく負担が大きい。

取材中は事実関係や背景も確認していたので、少なくとも当人たちは「いい加減な情報を流さないようにしたい」と思っている、らしい。

脱毛の火傷トラブルのニュースでも、スタッフさんがわざわざ脱毛体験に行って痛みなどを確認していました。

残念ながら、そういった現場スタッフの頑張りがあっても、番組としては嘘混じり、大袈裟に恐怖を煽る、事実とシナリオが異なる場合はシナリオを優先するものになっています。

ただ繰り返しになるけど、これはもうTV報道の構造上どうにもならない部分。

なので、わたしたちがすべきは怒り散らすことじゃなくって、「TV放送とはそういったもの」と理解することだと思います。

(どんな情報も「鵜呑みが一番危険」ってことね!)

幸い近年はインターネットで情報の元、場合によっては数字的なものも個人でアクセスできる時代。
自分で情報の裏はとれることも多いです。

TV視聴はあくまで、「なにが起こっているか」を知る程度。

話題や単語だけ拾って、あとは自分で調べる。

調べて分かんない、調べる気力がない場合は「なんかこういう話題がある」程度の受け止め方にするのが正解なんじゃないかな。

何にでもキーキーと、「騙された!」「嘘言ってる!」って断罪しても世の中少しも動かないと思う。

それで無理無理に大手メディアに清廉潔白を求めて、それでそれで当然嘘が混じって「騙された!」って、まあ好きに断罪したらいいけど、でも騙されて被害を受けること自体イヤだよね。

だったら、大手メディアに清廉潔白を求めるよりは、常にその情報が「本当か?」を確認して、あんまり鵜呑みにしないのが被害にあわない、生きやすい方法なんじゃないかなーってそう思っています。

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