ジェンダー平等へ

ジェンダー平等を実現するのに欠かせないこと、それは選択的夫婦別姓制度だと考えます。

「名は体を表す」と言います。夢枕獏氏は『陰陽師』という小説で、「名は呪である」と主人公の安倍晴明に言わせています。「たかが名前じゃないか」と軽々しく扱っていいものではないことがわかります。

取引先などに電話する際、相手に自分の帰属がわかるように、「○○会社の△△です」などと名乗ることがしばしばあります。同じように、生まれた時につけられた名前の前につく名字は、その人の帰属を表します。「鈴木花子」という名前の人は、「鈴木さんちの花子さん」ということです。

その「鈴木さんちの花子さん」が「佐藤さんちの太郎さん」と結婚して、「佐藤さんちの花子さん」になったとしたら、どうでしょう?「佐藤さん」の側からすると、花子さんは「鈴木さんち」から出て「佐藤さんち」にやってきたように感じませんか?もう古い言い回しで今はあまり使われませんが、「お嫁にもらう」はまさにこの感覚だと思います。佐藤太郎さんから見れば、花子さんは自分に帰属する人になったわけです。

一方の花子さんも「佐藤さんちの花子さん」になることで、「佐藤太郎さん」に従属意識が芽生えることがあります。全員ではないですが。ただの記号と割り切る方や、違和感を抱えたまま生きている方もいることでしょう。

しかし、これでは自立した成人の対等な関係とは言えません。このいびつな関係性がもたらすものは、女性に過重な家事負担、モラハラ、DVなどです。そして、これが社会全体で慣習化している日本では、女性差別が蔓延し、性暴力が矮小化され、女性を狙った殺人事件が多いのです。

女性差別を解消するためには、まず、女性は男性の所有にはならないという当たり前のことを、世間一般に周知させる必要があります。そのための、夫婦別姓です。もちろん、それでも同じ名字を名乗りたいという方もいらっしゃるでしょうから、「選択的」というのが必要なのです。

こういう話をすると必ず現れるのが、「子どもの姓はどうなるんだ!?」という質問です。夫婦同姓なのは世界広しといえども、法務省が把握している限りでは、日本だけだそうです。ということは、お手本は無尽蔵にありますから、どれかを参考にすればよろしいのです。私に答えはありません。

選択的夫婦別姓制度は同性婚の法整備にもかかわってきます。今や各地にパートナーシップ制度がありますが、異性婚の権利とどこまで違うのかは自治体ごとに違います。やはり、国が婚姻制度に同性婚もちゃんと組み込むべきでしょう。その時に、どちらかが姓を変えなければならないとしたら、ハードルが高くなるでしょう。

以上の理由から、選択的夫婦別姓制度はジェンダー平等の一丁目一番地だと思います。

では、これを実現してくれる政党はどこでしょう。有志の市民団体が、以下のような素晴らしいサイトを作ってくれました。

趣旨に賛同して拡散します。この中に、選択的夫婦別姓制度についての各党の回答があります。

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もうどこの政党に投票してはいけないか、わかりますよね。投票へ行かないのも現状維持に繋がり、選択的夫婦別姓制度の導入が遠のきます。

みんなでお友達を誘って選挙に行きましょう。

【追記】重要なことを忘れていたので、追記します。

今年の6月に最高裁で夫婦同姓が合憲とされたのを覚えておいででしょうか。15人の判事のうち、違憲としたのはたったの4人。それ以外は合憲判断をしました。国政選挙のときは、必ず最高裁判所裁判官国民審査があります。ご存じない方もいらっしゃいますが、国民が最高裁判所判事に唯一意見表明ができる機会です。

やり方は簡単です。衆院選の投票会場へ行くと、議員の投票用紙と併せて最高裁判所判事の審査用紙も配られます。審査の対象となる判事の名前が印字されていますので、辞めさせたい判事の名前の上に、✖印をつけます。それだけです。✖がついた票が過半数に達すれば(ただし、投票総数が選挙人名簿登録者数の100分の1に達しないときは、無効です)、罷免することができます。

今回国民審査の対象となる判事のうち、夫婦同姓を違憲としたのは宮崎裕子氏、三浦守氏、草野耕一氏、宇賀克也氏の4名。合憲としたのが深山卓也氏、林道晴氏、岡村和美氏、長嶺安政氏の4名です。つまり、選択的夫婦別姓制度に反対なのが深山卓也氏、林道晴氏、岡村和美氏、長嶺安政氏ということです。選択的夫婦別姓制度実現のために、ぜひこの機会をご利用ください。

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