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地獄のパイオニア遠泳を泳ぎきるGrixis Drossガイド

はじめに

初めまして,またはお久しぶりです。
このほど行われたチャンピオンズカップ SEASON2 Round1 エリア予選にて,多くの幸運に恵まれて予選突破することができました。
風邪で喉を傷めて出発を後らせたり,土日連戦で土曜日にタコ負けしてメンタルを破壊さたりと,事前に多くの波乱がありつつ,日曜日の予選では初戦を落として全勝縛りのまま地獄の遠泳を泳ぎ切るというあまりにも苦しい展開を潜り抜けたこともあり,最終戦を勝利したときの解放感は未だかつて人生で味わったことがないほどでした。

マジでこのイラストばりに手を掲げました

さて,今回私が使用したデッキ【Grixis Dross】(世間ではコンプライアンス的にちょっと表記したくない名前で呼ばれている)について,個人的に結構いい仕上がりになったと感じており,今後まだ続く地獄のパイオニア遠泳を泳ぎ切る手助けになればとの気持ち(あとは自己顕示欲的スケベ心)でこの度筆を執った次第です。
私個人としては,パイオニアはとにかくプレイしていて辛いと感じることの多いフォーマットですので,少しでも同じ気持ちの方々の助けになれば幸いに思います。


なぜGrixis Drossなのか~ラクドス+αという構築思想~

1.使用したリスト

こちらが今回使用したリストになります。(諸々の事情で抜けたリストとは微妙に違いがあります)
見て分かるとおり,デッキの基礎的な部分はほとんど【ラクドスミッドレンジ】であり,隙間にちょっとコンボ要素や青い強カードを差し込んだラクドスちょい足しデッキ,まさにラクドス+αデッキとなります。

2.なぜラクドスではダメなのか

【ラクドスミッドレンジ】が強力なデッキであることは,もう散々そこら中で語られつくしており,ここであえて詳細に触れることはしませんが,私個人として見ても,特に安定性の観点から,非常にいいデッキだと考えています。
しかし,そんな安定したいいデッキである【ラクドスミッドレンジ】を,実際に大会で使用したいとは思いませんでした。それは,二つの理由によるものです。

まず一つ目は,【緑単】や【エニグマ・ファイヤーズ】のようなクッソ不快なプレイするカードのスケールで上回るデッキや,【ロータス・コンボ】のようなハンデスで妨害しにくいクッソ不快な土地コンボなど,苦手とするデッキも多くある点です。
当然これらのデッキに比べて【ラクドスミッドレンジ】は安定性で上回っているため,相手がタイトにマリガンしたハンドに手札破壊を突き刺して,序盤のリードのまま押し切るということもままありますが,基本的に正面から押し合うのは分が悪いといえます。
そりゃ相性が悪いデッキが存在しない完璧なデッキなんてないだろという話ではあるのですが,問題はこの【緑単】と【エニグマ・ファイヤーズ】,私にとってパイオニアで3本の指に入るバチクソに嫌いなデッキであるという点です。
とにかくこいつらに不利がつくというだけで,ちょっと使いたい気持ちは湧いてきませんでした。

ちなみにもう一本の指は【ボロス招集】
当然これらのデッキを使うという選択肢もありませんでした

もう一つの理由は,ミラーマッチの面倒臭さです。
【ラクドスミッドレンジ】は人気デッキということもあり,当然ですがミラーマッチが頻繁に発生します。そしてこのミラーマッチはエッジを出すのが非常に難しく,最終的にゲームを決めるのは「引き」と「腕」となりがです。
残念ながら私は,プレイングと引き運両方について,あまり自信がある方のプレイヤーではありません。何度もやることになるミラーマッチで自信が持てないというのは,デッキ選択の上でかなりネガティブな動機になりました。

まぁ引きに自信があるならブン回り最強のCRアブパル使ってますわな

これらの理由から,直球で【ラクドスミッドレンジ】を使うという選択肢はかなり取りにくかったのですが,先も述べたとおり引き運に自信のない私は,《税血の収穫者》と《鏡割りの寓話》による安定性だけはどうしても捨てられないという認識を持っていました。
というよりも,これらが入っていない他のデッキを何度か回した際のストレスがあまりにも大きすぎて,「このフォーマットは寓話税血なしではとてもじゃないがやってられねぇ」と刻み付けられていました。この環境絵合せパチンコデッキ多すぎだろ…

そこで考え至ったのが,「手札破壊と軽量除去,そして寓話税血という【ラクドスミッドレンジ】の根幹となる要素を維持したまま,苦手なマッチアップの相性改善やミラーでのエッジになるもの,具体的には何らかのコンボを搭載したデッキ」,ラクドス+αのデッキができないかという思考でした。
それもただのコンボではなく,「①デッキスロットを圧迫しないために最大でも2枚コンボ」で,「②デッキパワーを落とさないために,コンボパーツの少なくとも片割れは通常の使用に十分耐える性能」を有しており,「③実質勝ちなどというヌルいものではなく,コンボが決まったらしっかり相手が即死する」という条件を満たすものが理想的です。

こんなクッソハードルの高い条件を満たすような都合のいいコンボが,世界中で散々擦られ倒したパイオニアってフォーマットにそうそう残ってるわけが…

あったわ。

3.Grixis Drossに至った経緯

前項で軽々しく「あったわ。」などと述べていますが,このコンボの存在を知った当初は正直そんなに大したものだとは思っていませんでした。

しかし,1年以上調整してきた【マルドゥパルヘリオン】(【ラクドスミッドレンジ】に《大牙勢団の総長、脂牙》と機体をタッチしたデッキ。これもラクドス+αデッキの一種)に行き詰まりを感じ始めており,《銅纏いののけ者、ルーカ》から《偉大なる統一者、アトラクサ》を出す冗談みたいなクソデッキ【ラクドスアトラクサ】を振り回すなど,デッキ選択に迷走していたタイミングでもあったため,絵面の面白さとデッキ名の胡乱さに惹かれて,「ちょっと面白デッキ使うか〜」程度の気持ちで使い始めることに。

そうして下調べするのも面倒臭がって雑に10分で組み上げたデッキを回し始めてみると,「あれ?このデッキなんか…思った以上に勝つぞ?」となり,このデッキは本物の可能性があると感じ始めました。
特に【ラクドスミッドレンジ】では分が悪かった【緑単】や【エニグマ・ファイヤーズ】にかなり勝てるようになっていることに将来性を感じ,真面目な調整の俎上に乗せることに。

4.Grixis Drossに特有な採用カード解説

ここからは採用されているカードについて,特に一般的【ラクドスミッドレンジ】との差がある部分を説明していきたいと思います。

① 《ドロスの魔人》

最初はイラストきついなと思ってたけど,使ってるうちに愛着が湧きました。
黒城凶死郎あたりに見開きで「ドロスの魔神 召喚!!!」ってやらせたら絵になりそう。

コンボパーツの片割れ。4マナのクリーチャーであり,枠としては《黙示録、シェオルドレッド》の部分が近しいです。
そんな《黙示録、シェオルドレッド》と比較したこのカードの強み・弱みは以下のとおりです。

強み
・6/6というスタッツが屈強過ぎる。また,飛行を持っているため,純粋に攻防に優れている。
・対戦相手がコントロールしているクリーチャーの死亡時ライフルーズは,シェオルドレッドのものほど容易な誘発条件ではないが,除去で能動的に誘発させられるため,ゲームプランに組み込みやすい。
伝説ではない。そのため,複数手札に来てもガンガン叩きつけることで盤面優位を築け,《キキジキの鏡像》でコピーを作成することもできる。上記の誘発型能力も,複数並べることで効果が大きくなり,容易に詰み盤面となる。
・採用数は少ないが,《パワー・ワード・キル》に当たらない。

弱み
・ライフゲイン能力はないため,本体火力で詰めてくるデッキに対しては蓋にならない。
・カウンター喪失時のデメリットが敗北であるため,硬直盤面からこのカード1枚で長期間睨みあうのは難しい。
・採用数は少ないが,《無情な行動》を食らうと即死する
・接死を持たないため,滅多にないがサイズで上回られるとどうしようもない。沼渡りもない。

特に大きい強みは「伝説ではない」ことで,この屈強なボディから《キキジキの鏡像》でのコピー作成はそちらのほうもコンボと言えるほどのインパクトを誇ります。
半面,敗北デメリットのせいで,硬直盤面での睨み合いが難しいのは大きな弱みと言えます。
ちなみに《無情な行動》での即死ですが,現在の採用率ではよほど細い嚙み合いがないと食らうことはそうないです。(というか結構回してて1回も食らったことがありません。)
ただし,今後世の黒いデッキが全員3枚積んでるとかの状況になると,さすがにデッキコンセプト自体が崩壊する可能性があります。

総じて,このカードは《黙示録、シェオルドレッド》と比較しても見劣りしないカードであり,はっきり言って通常の【ラクドスミッドレンジ】での使用にも十分耐えるレベルだと考えています。このカードがマジで強いおかげで前項のコンボ条件②を満たしている感じですね。

カウンター周りの誘発に関する注意として,以下の点があります。
・カウンターが1個乗っているこのカードのアップッキープ誘発にスタックしてこのカードを除去した場合,ゲームに敗北しない。
・カウンターが0個のこのカードのアップキープ誘発にスタックしてこのカードを除去,あるいは《変態変異》を除去して別のクリーチャーに変わったとしても,敗北を免れることはできない。
前者は自分の敗北を回避する際に有効な情報ですので,覚えておくと便利です。
後者は,つまるところ《変態変異》でコピー作成された《ドロスの魔神》のアップキープ誘発が起きた時点で,一部例外を除いて即死の回避は不可能ということです。このコンボの強力さを物語っていますね。

② 《変態変異》

コンプラ的にまずいデッキ名の元凶

コンボパーツの片割れ。見た目的にコンボ専用のおもちゃっぽく見えますが,使い方次第で結構テクいことができるオタクカードとしての側面も持っています。

以下例
・相手の強力なクリーチャーのコピーを得る。特に【エニグマ・ファイヤーズ】が不用意に《機械の母,エリシュ・ノーン》を出してきた際にコピーすることで,逆に相手を詰ませられる可能性がある。
・相手のやばいクリーチャーを貧弱なクリーチャーに変えることで無力化する。
・相手が伝説のクリーチャー(A)と他のクリーチャー(B)をコントロールしている際に,BをAのコピーにすることで,実質的にBを除去することができる。
・自分の《鏡割りの寓話》が裏返った際,他の召喚酔いしていないクリーチャーを《キキジキの鏡像》のコピーにすることで,即座に能力を使用する。

こんな感じで,このカードを使って状況を打開できるとかなりドヤれるため,他にも色々使い方を考えてみてください。いい使い方があったらぜひ教えてください。

③ 呪文貫き

やっぱり軽さは正義なんだよなぁ

青が足されたことで,当然ですが打ち消しが使用可能になっています。
メインボードの打ち消しについてもいろいろ試しましたが,メインはできるだけ自分の動きを阻害しないものがいいということで,1マナのこちらを選択しました。
普通のカードなので特に語ることもないですし,採用する打ち消しは好みによるところですので,例えば《かき消し》とかでも全然問題ないと思います。
サイドボードを含めた打ち消しの採用は,【ラクドスミッドレンジ】によくある「ハンデスで相手のキーカッドを抜いたけどトップ解決で引かれました」という負け方をケアできる点でマッチしています。

④ 死体鑑定士

3色とはいえ3マナ3/3にこの能力がつくのはすげぇ時代だな

かつてスタンダードで猛威を振るった【グリクシスミッドレンジ】のメインアクター。《キキジキの鏡像》との組合せのヤバさは当然健在です。
墓地のクリーチャーしか食えない点は《墓地の侵入者》に劣りますが,それでも「《巧みな軍略》に3/3がついて3マナ」は流石に法外なため,ほとんどのマッチアップで《墓地の侵入者》より優れていると言っていいと思います。特にこのデッキはコンボデッキでもあるため,コンボパーツを探せる優位性は非常に大きいです。
この能力で《死の飢えのタイタン、クロクサ》を落とした時のニチャニチャ感はかなりいいですね。

⑤ 搭載歩行機械

一特撮ファンとしてはメカゴジラ版を使いたいのですが,実プレイではFoilを使わないというこだわりを持っているため,泣く泣く諦めました。

まぁまぁ「なんで入ってんのこれ?」っていうカードですが,流石にかつてスタンダードを席巻しただけあり,カードパワーは悪くない程度の水準はあります。
《変態変異》で相手のクリーチャーをこいつのコピーにすると,0/0となり状況起因処理で死亡するため,除去のように運用することができるということで採用しました。この手の系列のカードの中では一番カードパワーが高いと思います。(アリーナでは未実装のため,代わりに《石とぐろの海蛇》になります。さすがに弱い。
とはいえ,本気でそういう運用をするなら,こいつを2枚に《変態変異》を4積みするくらい思い切った構築をすべきで,半端に1枚取るくらいならこの枠は《勢団の銀行破り》とかでよかったかなと感じています。

⑥ 《龍神、ニコル・ボーラス》

このバージョンを使っているのですが,イラストに馴染みがなさすぎてめちゃくちゃ確認されます

シンボルはクッソ厳しいですが,流石ラスボスの性能といった感じのPW。特にミッドレンジやコントロール相手に定着すると,圧倒的なリソース刈り取り能力で相手のワンチャンを挫いてくれます。
一応場にいる全てのPWの忠誠値能力を得られるのですが,基本的に本人のプラス能力が最強なのでそれを連打していくことになります。
メインに入れるには重く,少々尖ったカード選択ではありますが,【青白ロータス】が結構いるだろうという読みで,今回はメイン1サイド1という割合で投入しました。

⑦ サイドボードの打ち消し

《否認》1
《軽蔑的な一撃》1
《イオン化》2

サイド後追加する打ち消し。主にコントロールデッキ,コンボデッキにサイドインします。
《イオン化》はマナ拘束の軽いハードカウンターとして有用なのですが,流石に3マナはちょっと重かったので,2マナのカウンターにした方が無難な感じです。

⑧ マナベース

青13 黒19 赤15
バランスは上記のとおり。青は必要頻度が少ないため,ギリギリまで絞っています。色はこんな感じで何とかなりますが,アンタップインタイミングに合わせた土地選択は詰めが足りないと感じています。
特に1ターン目アンタップインの黒マナ12はちょっと少ないため,《憑依された峰》を《黒割れの崖》か《血の墓所》に差し替えてもいいかもしれません。
《島》の採用については,たまに《廃墟の地》を使われたときにイラつくことがありますが,恐らく素引きするともっとイラつくことになるので,現時点では見送っています。

一点声を大にして言いたいのは,モード両面土地は採用するべきではありません。3色デッキがあんな土地採用して回るわけねーだろ!
そう、私こそは「全日本3色デッキにモード両面土地を採用するな委員会委員長」を務める者。皆さんご唱和ください,「3色デッキで!モード両面土地を!!使うな!!!」
※ぶっちゃけこの部分は宗教なので適当に聞き流してください。

環境各デッキとの相性とサイドボードプラン

ここから,環境にいる各デッキとの相性感とサイドボードプランを説明します。
サイドボードプランについては,ひとまず現状のものを元に解説しますが,現状のサイドボードがベストだとは全然思っていないし,正直自分のサイドボーディングの正しさに全然自信がないので,参考程度にしてください。どちらかというとサイドボード後コンボプランを残すのか残さないのかの大方針の方が重要だと考えています。
パイオニア環境はあまりにもデッキが多すぎて,すべて網羅するのはしんどいため,今回記載する足切りラインは2023年8月10日時点で晴れる屋での登録率3%以上としています。

1.【ラクドスミッドレンジ】

相性 五分〜微有利
サイドボード後コンボプランを残したり残さなかったりする

サイドプラン
コンボ残す場合
OUT  《思考囲い》4
IN 《勢団の銀行破り》1 《コラガンの命令》2 《ヴェールのリリアナ》1
コンボ残さない場合
OUT 《思考囲い》2 《変態変異》3 《ドロスの魔神》3
IN 《勢団の銀行破り》1 《真っ白》1 《絶滅の契機》1 《コラガンの命令》2 《ヴェールのリリアナ》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1 《黙示録、シェオルドレッド》1

概ね五分〜微有利程度のマッチアップです。《死体鑑定士》は無条件で強く,《龍神、ニコル・ボーラス》もゲームを決定づける差異と言えます。
サイドボーディングにコンボを残すパターンと残さないパターンがあるのは,このマッチアップでどちらのサイドプランが正解なのか,まだ結論が出ていないからです。
現行の採用率的に《無情な行動》による突然死はそこまで厳しく警戒する必要はないと思いますが,うっかり食らうのはあまりにももったいないため,出す必要がないほどの優位を取れているなら《ドロスの魔神》を出すのは控えたほうがいいでしょう。

2.【緑単】

相性 五分〜微有利
サイドボード後コンボプランを残す

サイドプラン
先攻
OUT 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《呪文貫き》2 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《コラガンの命令》2 《絶滅の契機》2 
後攻
OUT 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《砕骨の巨人》2 《呪文貫き》2 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《コラガンの命令》2 《絶滅の契機》2 《否認》1 《軽蔑的な一撃》

【ラクドスミッドレンジ】では特にメイン戦が不利となるマッチアップですが,このデッキではコンボ要素により相性が大幅に改善しています
基本的にこちらのコンボに対して相手は干渉できない上に,普通に出てくるクリーチャーは全て《ドロスの魔神》にサイズ負けしているため,殴るプランで押し切られることはそうそうありません。ただ,相手もコンボプランを有しているため,概ねどちらが早くコンボを決めるかという勝負になります。
流石にお互いの引きによる部分が大きため,ガン有利とまではいきませんが,構造上こちらのほうがコンボへのアクセス性が高く,相手のアクションに干渉できるため,それなりに有利に戦うことができるはずです。

3.【青白コントロール】・【青白ロータス】

相性 有利
サイドボード後コンボプランを残さない

サイドプラン
OUT 《搭載歩行機械》1 《致命的な一押し》4 《変態変異》3 《ドロスの魔神》3
IN 《勢団の銀行破り》1 《否認》1 《軽蔑的な一撃》1 《イオン化》2 《真っ白》1 《コラガンの命令》2 《ヴェールのリリアナ》1 《敵対するもの,オブ・ニクシリス》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1

厳密には違うデッキなのですが,サイドボードプランが同じため,まとめて記載します。
基本的にハンデスからのクロック展開,相手のビッグアクションを打ち消しで弾いて攻めきるか,こちらの致命的なカードを通してゲームを掌握していきます。
ハンデス・打ち消し・アド源全てを持つという点で,まぁ不利な要素は1ミリもないよなというマッチアップだと思います。

4.【ラクドスサクリファイス】

相性 不利
サイドボード後コンボプランを残さない

サイドプラン
OUT 《致命的な一押し》2 《変態変異》3 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《勢団の銀行破り》1 《否認》1 《コラガンの命令》2 《碑出告が全てを貪る》1 《黙示録、シェオルドレッド》1

環境で最も相性が悪いデッキです。
そもそも【ラクドスミッドレンジ】では分が悪い相手な上に,《魔女のかまど》を置かれると頼みのコンボがほぼ通らなくなります。
《ドロスの魔神》の飛行が基本止まらないのと,誘発型能力のおかげで猫かまどでの相手ライフが差し引き−1になるところはいいポイントなので,それで押し切ることを目指すことになります。
《呪文貫き》のうっかり噛み合いが一番優位を取れるポイントなので,祈りましょう。

5.【白単人間】

相性 微有利
サイドボード後コンボプランを残す

サイドプラン
OUT 《思考囲い》2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《絶命の契機》2 《碑出告が全てを貪る》1 《黙示録、シェオルドレッド》1

そもそもミッドレンジ部分で相性が良く,コンボに対する干渉も少ないためやりやすい相手ではありますが,先手からぶん回った時の速度感が流石に厳しいため,シビアなゲームになります。
相手は大抵の場合,サイド後《ゴバカーンへの侵攻》や《婚礼の発表》なんかの邪まなカードを入れてくるため,《呪文貫き》は残したほうが無難だと思います。

6.【ロータス・コンボ】

相性 微有利
サイドボード後コンボプランを残す

サイドプラン
OUT 《搭載歩行機械》1 《致命的な一押し》4 《砕骨の巨人》2
IN 《否認》1 《軽蔑的な一撃》1 《イオン化》2 《ヴェールのリリアナ》1 《敵対するもの、オブ・ニクシリス》1 《黙示録、シェオルドレッド》1

基本的にはハンデス,打消しで相手をスローダウンさせている間に,展開したクロックでの押し切りやコンボでの勝利を目指します。
概ねこちらのハンデスや打ち消しより多くの有効札を相手が引けるかというだけのゲームになりがちです。

7.【アブザンパルヘリオン】

相性 微不利〜五分
サイドボード後コンボプランを残す

OUT 《搭載歩行機械》1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《ヴェールのリリアナ》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《真っ白》1 《コラガンの命令》2 《碑出告が全てを貪る》1

今回土壇場でサイドボードの墓地対策をかなり減らしたため,あまりいいサイドボーディングができなくなっています。
とはいえ《ドロスの魔神》が強いマッチアップで,立ててさえおけば相手のシュートで即死する危険はかなり軽減できます。
こちらのコンボに対する干渉もほとんどないため,《ドロスの魔神》さえ引ければ優位にことを運べます。
最近ガード低下の隙をぬって【イゼット・フェニックス】なんかも復調の兆しがあるようなので,まとめて厚く見るならサイドボードの墓地対策を増やそうかなというところです。

8.【スピリット】

相性 不明
サイドボード後コンボプランを残す

OUT 《搭載歩行機械》1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《絶滅の契機》2 《ヴェールのリリアナ》1 

アリーナ,紙ともに対戦経験が薄いため,相性については正直よくわかりません。あんまり不利な感じはしないのですが,相手は噛み合い最強デッキなので…

9.【グルール機体】

相性 有利
サイドボード後コンボプランを残す

OUT 《搭載歩行機械》1 《思考囲い》2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》1 《龍神、ニコル・ボーラス》1
IN 《絶滅の契機》2 《コラガンの命令》2 《ヴェールのリリアナ》1

有利とかいう次元じゃないレベルで有利なマッチアップです。
相手の全てのクリーチャーのサイズを上回る《ドロスの魔神》がとにかく強く,コンボへの干渉もほとんどありません。
唯一《ドロスの魔神》を除けられる《アクロス戦争》に至っては,コンボを止めることができない上に,こちらの《無情な行動》でも即死するようになり,コンボパーツが増えている始末です。
地味に《呪文貫き》が滅茶苦茶効く相手で,《エシカの戦車》なんかに当てられると,それだけでゲームが決まるレベルのテンポアドバンテージが得られます。

終わりに

パイオニア環境のデッキは尖ったシナジーデッキが多く,マッチアップの相性やその場の引きにゲームを左右される要素が非常に大きいと感じます。
正直プレイしていてとにかく辛く感じるフォーマットなので,私の考えるパイオニアでのデッキ選択基準は「そのデッキを使って起こる負け方を受け入れられるかどうか」が,プレイしてストレスを溜めないって意味で一番大事じゃないかなと思っています。
今回エリア予選を抜けられたのも,幸運半分デッキ選択半分という感じですが,ひとまずいい結果を得ることができたので一安心といったところですね。
私は特にプレイングよりもデッキ構築でエッジを出していくタイプのプレイヤーであるため,今回使用した【Grixis Dross】については,一定の成功を収めたということで,ある程度満足しています。
とはいえ改善の余地はまだまだありますし,今後しばらくは急に禁止改定でデッキが消えない限り調整を続けていこうと考えています。

エリア予選期間はもうちょっとありますし,そうでなくてもなかなか面白いデッキだと思いますので,気になるなと感じていただけたようでしたら,是非一度触ってみてほしいです。ラクドス持ってたら数千円分カード買うだけで組めちゃうぞ!

おまけ

Q.結局抜けたリストはなんでサイドボードが14枚なの?

A.デッキリスト不備で《碑出告が全てを貪る》を書き忘れて,ゲームロスか使用を諦めるかの選択で使用を諦めたからです…

ゴメンネ…ゴメンネ…

【20230824追記】微調整した最新のリスト

エリア予選行脚やその後の調整をフィードバックした,最新のリストを掲載します。

アグロに転がされることがまぁまぁあったので,メインに《食肉鉤虐殺事件》,サイドに追加の全除去の《衰滅》を取りました。
サイドの打消しの内容もブラッシュアップしています。

《食肉鉤虐殺事件》の採用は結構なブレイクスルーで,アグロ対策はもちろん,苦手意識のあった【ラクドスサクリファイス】と【ボロスピア】がかなりやりやすくなったと感じています。

当時と相性感が変わったデッキを以下に挙げていきます。

【青白ロータス】
有利→五分~微有利
アリーナのエクスプローラーでやってた時はほとんど負けないくらい相性がいいと感じていたのですが,紙でやっているとなぜかきつく感じることが結構あったため,このくらいの位置に。
エクスプローラで無いのは《龍王ドロモカ》くらいのはずですが,そんな感じのきつさでもなく。
というか今でもアリーナではガン有利だと感じているのですが,なんで紙だとあんなにきついんだ……?

【ラクドスサクリファイス】
不利→微不利
完全に五分とまではいきませんが,やりあった時の勝敗やゲーム感,《食肉鉤虐殺事件》の採用で,思ったほど絶不利ではないと感じました。
こちらは【青白ロータス】とは逆に,一時期アリーナで当たるたびにメコメコにされていたことが原因でガン不利だと思い込んでいた可能性があります。1t囲いで見て無かったはずの《魔女のかまど》を返しに置かれた回数両手の指じゃ足りねぇぞ!

今週末が今シーズン最後のエリア予選ということで,「このデッキおすすめです!」と言ってしまいたいところですが,このデッキは一応【ラクドスミッドレンジ】相当のプレイ難度はあるため,正直言って全く未経験からいきなり握ることはあまりお勧めできません。偉そうに講釈垂れる立場ではないのですが,こういう煮詰まった環境で全く触ったことのないタイプのデッキに手を出すと大抵ロクな結果に繋がらないと思います。
しかし,これまである程度【ラクドスミッドレンジ】を使用していて,でも勝ちきれない,何かブレイクスルーが欲しい,そんな方にはぜひ一度試していただきたい構築だと自負しています。命を預けられると思っていただけたならぜひ使っていただきたいですし,そしてその上で予選突破という結果を得ていただけたなら,非常に幸いに思います。

11月のファイナルまでにエルドレインとイクサランの2セットが出る上に,禁止改定も挟まるっぽい様子なので,今後しばらくパイオニアはお休みしようと思います。やっててきつすぎるねんこのフォーマット…
来シーズンのモダンはどこまでガチるか決めかねていますが,一応出られる範囲で店舗予選やプレミアム予選くらいは出ていきたいなと考えています。プロモも結構欲しいのでね!

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https://twitter.com/rokujin64

ではこれにて。


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