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存続困難な企業は無理に救わなくて良い

[要旨]

神戸国際大学の中村教授は、経済産業局の職員が、「存続が困難な企業を無理して救わなくて良い」と言ったと伝えています。ゾンビ会社については、早く淘汰されるべきという意見と、地域の雇用を支えているという意見がありますが、地域金融機関の負担が増加することを考えると、中村教授の伝えている経済産業局の見解は信頼できるものと思われます。

[本文]

令和4年12月27日に、神戸国際大学経済学部の中村智彦教授が、ゾンビ会社に関する記事を、Yahoo!ニュースに寄稿していました。中村教授の記事には、「ある地方の中小企業支援機関職員は、経済産業局の職員から、『存続が困難な企業を無理して救わなくて良いです』と言われたという。『コロナ禍も一段落し、これ以上、ゾンビ企業を存続させるわけにはいかないという雰囲気が強くなっている』とも言う」と書かれています。この内容については、実名は書かれていないため、事実であるとは完全に断定はできません。

しかし、最近は、ゾンビ会社に関する報道が頻繁にあることから、経済産業省は、ゾンビ会社の延命になるような支援策は避けようとしているのではないかと、私は想像しています。とはいえ、このゾンビ会社に関しては、まだ、見解が分かれていると思います。否定的な意見では、本来は淘汰されるべき会社を税金で救うことはおかしいというものです。一方で、肯定的な意見は、ゾンビ会社であっても、大企業からのしわ寄せを受けているために割を食っているだけであり、また、地域の雇用を維持しているのから、なるべく助けるべきであるというものです。

私は、肯定派の指すような会社は少なくないと考えていますが、その一方で、単に放漫経営をしているために業績が悪い状態が続いている会社もあると考えています。ところが、両者を明確に区分することは難しい面もあります。放漫経営をしている会社であっても、地域の雇用を維持している会社もありますし、また、どういう状態が放漫経営なのかを明確にすることも難しい面もあります。

だからといって、否定的な意見の根拠となっている、本来なら淘汰されるべき会社がいつまでも温存されることも望ましくありません。さらに、現在は、地方都市での経済活動が衰退しており、ゾンビ会社が減らないままであると、地域金融機関の負担が増加し、さらに地方の経済活動を悪化させてしまうことになるでしょう。そう考えると、「存続が困難な企業を無理して救わなくて良い」と経済産業局の職員が言ったという中村教授の記事は、真実味が高いと、私は考えています。

2023/1/6 No.2214

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