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平時からの備えが評価を得る

前回の記事で、「売上計画は、まず、経営者の方針に基づいて作る」と述べました。これに対し、「それでは、経済危機に直面している時は、どのような事業活動をすればいいのか」というご質問を受けました。このような質問は、これまでいくつか受けていますが、私も明確に回答できません。なぜなら、新型コロナウイルス感染症の影響が、いつまで続くか、予想できないからです。思い切って新たな事業に進出してみたら、経済状況が予想より早く正常化し、新たな事業に進出する必要はなかったということになるかもしれません。

逆に、新型コロナウイルス感染症の影響は長く続かないと見込んで、新たな事業には進出せずいたら、意外と経済状況の正常化が遅く、既存の事業を続けることができなくなってしまったということになるかもしれません。でも、ここは、リスクをとらないことの方が無難だと思うので、私だったら、既存事業の継続を前提にする方を、一般的には、お薦めします。いずれにしても、判断が難しい状況にあるということを、改めて感じました。

ただ、もうひとつお薦めしたいことは、多くの経営者の方は、このことに関しては、耳にたこができるくらい聞いていると思いますが、危機への備えです。その危機への備えで、いま、注目を浴びている会社は、チューリッヒ保険です。同社は、新型コロナウイルス感染症の影響が出たことから、コールセンター業務を、オペレーターの自宅で行えるようにしています。(ご参考→ https://bit.ly/3cMDyEu )コールセンター業務は、個人データを扱うことから、社外で行わせることは難しいと言われてきたのですが、オペレーターの自宅のパソコンに、個人データが残らない仕組みを作ったため、それが実現できているそうです。

ただ、ここで注目したいのは、これは、もちろん、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めてから準備したのではなく、20年ほどまえから、BCP(事業継続計画)として取り組んできたことで、ここで、その成果が発揮されているということです。このBCPは、東日本大震災のときも注目を浴びていますが、一昨年9月に起きた、北海道胆振東部地震でも、改めて注目された会社がありました。地震直後は、北海道全域が停電したにもかかわらず、北海道内にある1,100店のうち、95%以上の店舗が営業を続けた、コンビニエンスストアのセイコーマートは、BCPに基づいて停電に備えていたことで、利用者から賞賛を浴びています。(ご参考→ https://bit.ly/2S5ymTY

当時、他のコンビニエンスストアは、停電でレジが使えず、休業したところが多かっのですが、セイコーマートは、停電の際は車を使って最低限の電源を確保することがマニュアル化されており、さらに、近くに車が置けない場合やガソリンがない場合を想定し、電気や通信回線が使えなくても使える小型会計端末を全店舗に配布していたことが奏功したようです。このような会社の姿勢は、自社の活動を維持したことだけでなく、社会からの会社への信頼性を高めることにもなっていると思います。

確かに、今回のような危機は、頻繁には起きないことから、経営者の方は、そういったことへの備えには、なかなか気が向かない場合が多いと思います。ただ、危機への備えに熱心な会社は、危機が過ぎ去った後も大きな評価を得られるということを考えれば、通常の方法では、ライバルとの差別化がなかなか難しい時代にあっては、それを打開する突破口にもなるものと、私は考えています。

そして、いま起きている、新型コロナウイルス感染症の影響は、本当に残念なことではありますが、BCPを導入していない会社にとっては、それを採り入れ、自社の基盤をより強くするために機会にもなるのではないかと思います。なお、当事務所では、新型ウィルス感染症の影響を受けた会社さまからのご相談については、電子メールでのみ、無償でお受けしておりますので、ご希望の方は、こちらからお寄せください。→ http://yuushi-zaimu.net/contact/

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