数字に強い社長になるポッドキャスト 第582回 コロナ融資に対応した金融機関の取組事例

この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。

今回も、この番組の管理者である、中小企業診断士の六角が、事業活動に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業への、資金繰支援策についてご説明いたします。

まず、資金繰支援策に関して、改善点がありましたので、それについてお伝えします。

まだ、実施日は分からないのですが、民間金融機関で利用できる、セーフティネット保証等の信用保証の付いた実質無利子融資の限度額と、日本政策金融公庫の特別貸付の限度額は、それぞれ、3,000万円であったものが、1,000万円増額され、4,000万円に拡充されます。

したがって、2度目の融資を受けようと考えている方は、まず、この利用限度額が増加した、実質無利子融資を利用することをお薦めします。

それでは本題に移ります。

今回は、事業活動に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業への資金繰支援に応じている金融機関が、現在は、どのような対応をしているのかということについてご説明したいと思います。

これについては、金融庁が、これまで、何度か、「新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例」という書面を、同庁のWebpageで公開しており、そこから、伺い知ることができます。

なお、この書面には、「新型コロナウイルス感染症について、債務の条件変更・新規融資など、事業者の実情に応じた万全の対応を金融機関に要請し、事業者への資金繰り支援の促進を当面の検査・監督の最重点事項として、特別ヒアリング等で、金融機関の取組状況を確認してきており、その確認した金融機関の取組みのうち、他の金融機関の参考となる事例について、随時取りまとめ・公表する」と述べられています。

すなわち、表向きは「他の金融機関の参考となる事例」として公表していますが、実質的には、金融庁の意向に沿ったものを公表している、すなわち、金融庁が他の金融機関に実践して欲しいことを、「他の金融機関の参考となる事例」という言い回しで公表していると考えられます。

では、具体的にどのようなものがあるのかということについてですが、その中で参考となるようなものをいくつかご紹介したいと思います。

まず、リスケジュール関連では、「事業者からの条件変更等の相談があった場合には、審査を行うことなく、まずは、3か月の元金据置、または、期限延長を実施した。

事業者からの相談を受け、これまでの事業実績の評価に基づき、今後も事業を継続させていくため、1年間の元金据置・期限延長を実施した。

受注が大幅に減少した事業者に対し、積極的な支援策として、まず、1年間の元金据置を実施し、将来の資金面の見通しがついた時点で、見通しに合わせ返済期限を柔軟に延長予定」など、融資を受けている会社からの申し出通りにリスケジュールすることを先に決め、後から返済をどうするかを考えるという対応をしているようです。

つぎに、新規融資関連では、「中小企業等への新たな資金供給手段として、最短即日、最大でも3営業日以内で融資判断する、コロナ対応の緊急ファンドを創設した。

営業店に対し、数か月先までの資金繰りの確認支援(資金繰り表の作成サポート等)を能動的に提案し、実施しつつ、確認した資金繰りの状況に応じて、元金据置等の条件変更や新規融資を事業者に提示する」などという取

り組みが行われており、多くの融資申込に能動的に応じる姿勢が見られるようです。

そのつぎに、書類の簡素化などに関しては、「融資実行にあたり、資金収支の状況など必要な情報についての資料がそろっていなくても、聞き取り・ヒアリングで足ることとする。

条件変更について柔軟に対応することとし、必要な事業計画等の書類については、業況が落ち着いてから後々でよいとの取扱いとする。新たな資料・データを求めず、原則、過去に提出を受けたデータ等により融資や条件変更等の可否を判断し、確認が必要な情報についても、すぐに提出が可能な直近のデータ等のみで対応する。

通常であれば、事業者との間で今後の売上見通しを立てた上で実行する必要のある融資について、新型コロナウイルス感染症による今後の影響が必ずしも見通せないことを踏まえて、収支予測資料等を求めず融資を実行する」など、口頭での説明や、新たに資料を作成せずに、現時点であるものだけで融資判断をするようにしているようです。

最後に、私もこれは斬新と感じたのですが、「市町村と協議の上、金融機関が事業者の売上高の減少を確認・書類に押印することを以って、市町村におけるセーフティネット保証の認定に十分とする取扱いを実施」というものがありました。

これは、恐らく、金融機関が売上高の減少を確認すれば、市町村は売上高の減少を確認せずに、そのまま認定するということだと思います。

現在、金融機関では、セーフティネット保証等の認定を、申請者に代わって行うということは行われているところがありますが、売上高の減少の確認までを金融機関が行うことで、より、迅速に、セーフティネット保証等の申請が可能になると思われます。

以上が、「他の金融機関の参考となる事例」として公表されているものであり、これらのような取り組みが広がれば、資金繰支援を受けようとする会社にとっては、より容易に支援が受けられるようになると思います。

金融機関に融資などの申し込みに行くことが負担と感じている経営者の方は、現在は、金融機関の対応は、従来よりも事業者の方に寄り添っていると思われますので、ぜひ、お気軽にご相談されることをお薦めします。

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