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前回の記事で、資金繰見込表を作るには、売上見込みを立てる必要があると書きましたが、それに対し、売上見込みを立てるには、どうすればよいのかというご質問がありました。ただ、売上見込みは、資金繰予定表のために立てるものではなく、本来は、計画的な事業活動を行うのであれば、おのずと売上見込み(売上計画)を立てることになります。ただ、売上計画がない状態から資金繰予定表を作るときには、その時点で、売上計画を作らなければならなくなるということです。順番はいずれにしても、具体的に売上計画を作るにはどうすればよいかというと、平常時は、一般的には、売上は増加基調で作られるでしょう。

ただ、その度合いは、経営者の方の考え方によると思います。すなわち、積極展開する方もいれば、地道に展開しようとする方もいるでしょう。したがって、「売上はこんごどうなるか」ではなく、「売上をこんごどうするか」という観点から、売上計画は作られることになるでしょう。しかし、それを数値化してみると、ある程度、その売上計画の実現可能性が分かるようになります。例えば、積極的に売上を拡大しようとしている会社経営者が、その考えに基づいて売上計画を立てても、売上を増加するためには、新たな設備が必要になったり、従業員を増やし、かつ、育成したりしなければなりません。

そこで、売上に対する、設備投資や費用までを検討していくと、経営者の方針が実現できそうかどうかが数字で確かめられるようになり、当初のもの通りにならない場合は、何度か修正をしていくことで、より現実味を帯びるものになっていきます。よく、「売上計画を作っても、その通りになるとは限らないから、意味はない」と、否定的に考える経営者の方がいますが、私が、売上計画を立てることが大切と考えるのは、売上計画を立てることで、より実現性の高い方向性を確認できるからです。ですから、「勘」だけで行動するよりも、売上計画を立てる段階で、事業をある程度シミュレートできるので、経営者の構想はより早く実現できるようになると私は考えています。

話を、冒頭の質問にもどすと、事業活動が制限されているなかであっても、売上計画は、まず、経営者の方針に基づいて作ることになります。例えば、事業活動が制限される期間はどれくらいか、その間、何をするかということは、経営者が決めなければなりません。例えば、飲食店では、「事業活動が制限される期間は3か月間と見込まれ、その間はテイクアウトを中心に、前年同月の売上の40%を維持し、パートタイマーのシフトを50%減らしてもらう」という方針があれば、それに基づいて、具体的な数値を売上計画として明確化できます。さらに、それに基づいて、費用を算出すれば、利益(赤字)の見込みや、必要となる運転資金も明らかになります。いままで、このような売上計画を作ったことがない経営者の方は、比較的時間を確保しやすいいま、売上計画の作成をしてみることをお薦めします。

ところで、「事業計画を作ったとしても、それを融資申込のときに銀行に提出したときに、銀行は、その売上計画を実現できるものとして評価してくれるのか」という疑問を持つ方がいると思います。その疑問ももっともで、確かに、銀行は、売上計画がその通り実現するとは評価しないかもしれません。ただ、そうはいっても、売上計画を作っていな会社と比較した場合、どちらの会社が評価されるでしょうか?もちろん、売上計画を作ってある会社でしょう。

なぜなら、売上計画のある会社の方が、活動内容も明確であるし、売上計画は経営者のコミットメント(責任をもって達成しようとする約束)として、銀行は受け止めます。売上計画が達成されるかどうかも大切ですが、計画性のある会社の方が評価され、その結果、融資の承認も得やすくなるでしょう。なお、当事務所では、新型ウィルス感染症の影響を受けた会社さまからのご相談については、電子メールでのみ、無償でお受けしておりますので、ご希望の方は、こちらからお寄せください。→ http://yuushi-zaimu.net/contact/

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