数字に強い社長になるポッドキャスト 第580回 セーフティネット保証と特別貸付

この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。

今回も、この番組の管理者である、中小企業診断士の六角が、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業への、資金繰支援策についてご説明いたします。

今回は、お問い合わせの多い、銀行へのセーフティネット保証(以下、SN保証)をつけた融資の申し込みと、日本政策金融公庫(以下、公庫)への新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下、特別貸付)の申し込みを、同時に行うことは問題ないかというご質問についてご回答したいと思います。

これに対する回答は、銀行と公庫に、そのことを知らせてあれば問題ないということです。

逆に、問題がある場合というのは、銀行に対しては公庫への融資申込をしていることを告げず、また、公庫へは銀行への融資申込をしていることを告げずに、両方の融資を受けてしまうことです。

このようなことをした場合、銀行へも公庫へも、直ちに、両方から融資を受けたことは伝わりません。

でも、次の決算期を迎えた後、その時作成された決算書を銀行と公庫に提出したときに、銀行と公庫の両方から融資を受けたことが分かってしまいます。

確かに、銀行と公庫の両者から融資を受けたことが、直ちに問題になることはありませんが、銀行も公庫も、融資をした会社に対して不信を抱き、それ以降の融資取引について警戒するようになる可能性があります。

とはいえ、融資の返済が延滞していなければ、銀行も公庫も、具体的に何らかの要請をすることはほとんどないと思いますが、銀行や公庫との良好な関係維持に悪影響を与えることにつながりますので、注意が必要です。

では、どのような融資の申し込みの仕方をすればよいのかというと、両方に融資の申し込みをするときに、銀行に対しては公庫から、公庫に対しては銀行から、それぞれ融資を受ける予定であることを前もって伝えれば、問題はありません。

例えば、総額6,000万円の融資を受けるために、銀行からSN保証のついた実質無利子融資3,000万円と、公庫から実質無利子の特別貸付3,000万円を利用する旨を、それぞれの申し込みのときに伝えることで問題はありません。

また、必要な融資額は3,000万円で足りるものの、なるべく早く融資を受けたいということで、銀行と公庫の両方に申し込みをするという方法も考えられます。

この場合、どちらか先に承認を得られた相手から融資を受け、その後、後に承認を得られた相手に対しては、取り下げをすれば問題はありません。

銀行や公庫は、融資の申し込みをした後に、その取り下げをすると、相手の心証を悪くすると考える経営者の方もいると思いますが、それについては、それほど懸念する必要はありません。

なお、これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社への資金繰支援策に限ることではありませんが、銀行や公庫へは、できるだけ自社の情報を伝えることが大切です。

しかし、実際には、融資の承認が得られなくなるかもしれないということを懸念して、できるだけ、自社の情報は銀行や公庫にはあまり伝えないようにしようという会社経営者の方も少なくありません。

確かに、すべての情報を伝えれば、必ず融資の承認を得られるという訳ではありません。

しかし、情報を小出しにして、銀行や公庫から融資を受けられさえすれば、自社の課題がすべて解決するということでもありません。

また、銀行や公庫には、自社を信用して融資をして欲しいと望みつつ、自社は、銀行や公庫をあまり信用できないので、情報は小出しにするということでは、仮に融資を受けられることになったとしても、深い信頼関係を築くことはできず、長期的にはあまり得策とはいえません。

したがって、銀行や公庫に融資を依頼するときは、その時だけ承認を得ることさえできればよいという考えではなく、長期的な視点に立ち、良好な関係をつくるという姿勢で臨むことが大切です。

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