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予測することの意義

こんにちは、Crop代表の古澤です。我々が提供するPredictionGeeksは、ユーザーに政治経済やテクノロジーに関する予測を行っていただきその予測精度を競うサービスです。このnoteでは、サービスのコアである「(人間が将来について)予測すること」の意義について考えていることを書きたいと思います。

予測に必要なこと

予測は多くの場面で行われています。トレーダーたちは将来の価格を予測して投資を行い、企業は将来の業績を予測してヒトやモノに投資を行います。予測無くては意思決定は難しいでしょう。

そもそも予測とはなんでしょうか?予測とは「世の中に散らばっている情報を集約し未来の出来事について推し量る」営みだと捉えることができます。そのため予測をするためにはまず第一に、情報の収集が必要です。データやニュース、他の人の意見など、予測対象に関する情報を自ら主体的に集めてこなくてはなりません。

より良い予測を行うためには収集する情報は多面的であるべきです。ある一面からだけ意見を取り入れるのではなく、様々な立場・意見の人の情報を取り入れる必要があります。例えばオリンピックの開催予測するなら、開催賛成派の人が行う予測・意見・理由だけでなく反対派の人のそれらも参考にすることが必要です。ニュースやデータ、意見は物事のある側面を写したものにすぎません。それらを多面的に組み合わせることによってバイアスのかからない予測を行うことができます。

第二に、得られた情報の解釈も予測には欠かせません。収集したニュースやデータ、他の人たちの意見をそのまま受け取るのではなく、それらの情報を批判的に検討し、意味するところを解釈することが必要です。この解釈の方法は予測者の経験や知識などによって大きく左右されるでしょう。例えばデータサイエンティストであれば集めてきたデータの統計的性質を見て予測するかもしれませんし、歴史に詳しい人であれば対象を歴史的観点から予測するかもしれません。

現代社会における「予測」の重要性

我々はこの「予測」という営みが現代社会において非常に重要であると考えています。先述の通り、予測は主体的かつ多面的な情報獲得、情報の解釈・批判的検討を伴うため、予測を通じてこれらを行い習慣化することで現在の情報化社会を取り巻く諸問題の抵抗勢力になり得ます。

まず主体的に情報を獲得して予測を行うことが予測者にとって新たな知識や好奇心を拡大する可能性があります。例えばアメリカ大統領選挙の結果を予測する場合、アメリカの政治・経済状況から選挙制度まで知っておく必要があります。ニュースサイトやウェブページの多くは、ユーザーの行動履歴に基づいたリコメンドエンジンを用いており、自分の興味関心に応じたニュース・情報を表示しています。これはユーザーにとって喜ばしいことである一方で、自分の興味あるニュースしか知れないフィルターバブルという状態に陥る可能性があります。フィルターバブルは情報の偏りを生み、社会の分断を生んでしまう可能性があると言われています。一方で予測を通して主体的に情報獲得することで、バブルの外側に抜け出せることができるかもしれません。

フェイクニュースなど事実に依拠しない誤った情報や誇張した意見が日々SNS等で拡散されており、大きな影響を及ぼすようになっています。これらの問題を解決するアプローチはいくつかあると思いますが、我々は人々の情報に対する接し方を変えることが根本的に必要だと考えています。つまり、情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、それを一回批判的に検討・解釈するプロセスが必要です。このプロセスは予測を行うことによって自然に行うことができます。SNSで「専門家」を名乗る人が多くニュースに対して彼らの意見を紹介するサービスもありますが、彼らの言っていることは本当に正しいのでしょうか?場合によっては彼らの意見がただのポジショントークである可能性もあります。ネットに溢れる意見は玉石混交です。予測に含まれる情報処理の過程で、情報の分別ができるようになると思っています。

最後に、予測をすると後から予測が当たっていたかどうか・なぜ当たっていたのかを後から検証することができます。自分の予測にどんな知識・情報・視点が足りていなかったのかを知り、次の予測に活かすことができます。この予測と検証のプロセスを繰り返すことによって、自分の知的成長を促すことができます。現在、テレビをはじめとするメディアでは多くの「専門家」が自らの予測を語っています。しかし彼らの予測が実際に当たっていたかどうかが事後的に検証されることは稀でしょう。(ちなみに予測に関して言えば「専門家の予測はそれほど正確ではない」ことが多くの研究で言われています。一方で専門家が卓越した知識を持っていることは事実でもあります。)予測が外れることはどんな人であってもあり得ますが、予測の「復習」をしないことは明らかに機会損失です。予測とその検証を通じて社会全体がより「賢くなる」ことができると考えています。

予測とPredictionGeeks

我々の提供するPredictionGeeksは予測を行うサービスです。ユーザーが確率分布の形で予測を提出、予測精度を定量化しユーザーランキングを作成、上位者に賞金を配布します。確率分布で予測を表現することによって、数学的な取り扱いを可能にし、予測精度を定量化します。

さらに、PredictionGeeksはユーザーが行った予測を独自のアルゴリズムを用いて集約し、一つの予測を形成します。我々が提供する予測は従来のデータを用いた手法では予測ができない領域でも可能であり、社会に大きく貢献できる可能性を秘めています。

我々はこのPredictionGeeksによって、先述した予測の重要性に応えていきたいと思っています。予測はまさに現代社会において求められている営みであり、これからますます重要になっていくでしょう。PredictionGeeksはそれを可能にするサービスです。まだまだ発展途上ですが、興味を持った方は是非参加してみてください!

追記

こちらのnote(とその元となる本)で私たちの考えと非常に近いことが書かれていますので、合わせてご覧ください!

曖昧な言葉遣いは予測が外れた場合の隠れ蓑になり、誰もメンツを失わずに済むが、どちらの政策が正しかったのか、社会が教訓を学ぶことはできない。
政治家、評論家、学者など権威とされる人々の予測を無批判に受け入れる前に、「この人物の過去の予測は正確だったのか」と問いかける必要がある。それが空疎な議論を防ぎ、予測と検証のプロセスを通じて社会が賢くなることにつながる。

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