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Emiko Matsuura
2021年5月21日 12:16
外はしとしと雨が降っていた。熱帯魚を取り扱う「水魚」の店内には、客の姿はない。外が薄暗くなってきた。そろそろ店を閉めようかと思っていた7時過ぎに、その女はふらりと店に入ってきた。いや戸が開く音が聞こえなかったので、水守はその客が入って来たのに気が付かなかった。背後に人の気配を感じ、振り返った水守は腰を抜かしそうになった。「あ、いらっしゃいませ。」女はすらりとした立ち姿で、白黒模様の