📐モンテカルロツリーサーチ(Monte Carlo Tree Search、MCTS)

モンテカルロツリーサーチ(Monte Carlo Tree Search、MCTS)は、特に複雑な決定空間を持つゲームや問題において最適な手を決定するためのアルゴリズムです。主にコンピュータがボードゲーム(例えば囲碁やチェス)のような状態空間が巨大なゲームをプレイする際に用いられます。

MCTSの基本的な構造とプロセス

MCTSは以下の四つの主要なステップで構成されます:

  1. 選択 (Selection): 既に探索されたツリーの中から、ある基準(例えばUCT(Upper Confidence bounds applied to Trees)など)に基づいて、次に探索するノード(状態)を選択します。

  2. 展開 (Expansion): 選択されたノードから一つ以上の新しい子ノード(新しい可能な状態)を生成し、探索ツリーに追加します。

  3. シミュレーション (Simulation): 新しく追加されたノードから、ゲームの終了状態(勝利、敗北、引き分けなど)に到達するまでランダムまたはある程度の戦略に基づいてプレイを進めます。これにより、そのノードの勝利の確率を推定します。

  4. バックプロパゲーション (Backpropagation): シミュレーションの結果(勝ちや負け)をツリーの根に向かって逆伝播させ、各ノードの統計情報(勝ち数、訪問数など)を更新します。

特徴と利点

  • 非完全情報ゲームに適用可能: MCTSは完全情報ゲームだけでなく、非完全情報ゲームや多人数ゲームにも適用できます。

  • 動的なバランス: 探索(新しい手を試すこと)と利用(既知の良い手を使うこと)の間のバランスを動的に取りながら最適な手を探索します。

  • 柔軟性: MCTSはゲームのルールや特定の戦略に強く依存しないため、様々な種類のゲームや問題に適用可能です。

応用

MCTSは特にAlphaGoにおいて有名になりました。AlphaGoは囲碁のプロ棋士を破ることで知られ、その中核的なアルゴリズムの一部としてMCTSが用いられました。このように、MCTSは複雑な意思決定問題において強力なツールとしての地位を確立しています。


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